2025年01月12日

満ち足りた家族   原題:보통의 가족  英題:A NORMAL FAMILY

michitarita.jpg
(C)2024 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK ALL RIGHTS RESERVED

監督:ホ・ジノ(『八月のクリスマス』)
出演:ソル・ギョング、チャン・ドンゴン、キム・ヒエ、クローディア・キム

ひとつの事件をきっかけに、完璧な家族の崩壊が始まる・・・

兄ジェワン(ソル・ギョング)は、道徳よりも物質的な利益を優先して生きてきた弁護士だ。仕事のためなら、殺人犯の弁護でさえも厭わない。年下の2人目の妻ジス(クローディア・キム)や10代の娘らと共に豪華マンションに住み、家事は家政婦がこなす誰もがうらやむ暮らしだ。
一方、小児科医として働くジェギュ(チャン・ドンゴン)は、どんな時にも道徳的で良心的であることを信念に生きてきた。年長の妻ヨンギョン(キム・ヒエ)と10代息子と共に住む彼は、老いて痴呆気味になった母の介護にも献身的に当たり、品行方正な日々を送る。
まったく相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟。しかし2人は、それぞれの妻を伴って月に1回、高級レストランの個室に集い、ディナーを共にする。レストランではお得意様であるジェワン夫妻が常に優先され、兄弟家族同士の会話はどこかぎこちない。
ディナーが行われた夜、時を同じくある事件が起こり、満ち足りた日々を送る家族が想像だにしなかった衝撃の結末を招き寄せる――。

利益優先のいかにも計算高い弁護士を演じたソル・ギョング。いつになく冷血な雰囲気がみなぎっていて凄みがあります。
一方、人情味豊かな小児科医を演じたチャン・ドンゴンは、常に人道的な判断をしていたのに、あることから違う顔を見せ始める弟ジェギュを静かに体現。
ソル・ギョング、チャン・ドンゴン共に、確かな演技で唸らせてくれました。
わが子のこととなると、親はどう動く? 人間の本質を突き付けられた思いです。(咲)


PXL_20241120_095849533.jpg
ジャパンプレミア チャン・ドンゴン&ホ・ジノ監督登壇
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/508760172.html

2024年/韓国/109分/シネスコサイズ/5.1ch
字幕翻訳:福留友子
提供:KDDI 配給:日活/KDDI
公式サイト:https://michitaritakazoku.jp/
★2025年1月17日(金) 全国ロードショー
posted by sakiko at 20:14| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月05日

#彼女が死んだ  原題: 그녀가 죽었다(彼女が死んだ)英題:FOLLOWING

kanojoga.jpg
© 2024 NGENE FILM ALL RIGHTS RESERVED

監督:キム・セフィ
出演:ピョン・ヨハン、シン・ヘソン、イエル、ユン・ビョンヒ、パク・イェニ、シム・ダルギ、パク・ミョンフン

不動産公認仲介士のク·ジョンテ(ピョン・ヨハン)は、顧客が預けた鍵でその家に入り、他人の人生を盗み見るのが楽しみだ。ソーセージを食べながらビーガンサラダの写真を投稿するSNSインフルエンサーのハン·ソラ(シン・ヘソン)から部屋の借り手を探してほしいと鍵を預かり、彼女の不在の時を待つ。ある日、ハン·ソラの家に入ることに成功したク·ジョンテは、彼女がソファーで死んでいる姿を発見する。その後、彼がソラの家に出入りしたことを知る何者かが脅迫を始め、事件を担当する強力班刑事オ·ヨンジュ(イエル)の捜査網が彼に向かって迫ってくる。濡れ衣を晴らすべく自ら犯人を探さなければならないク·ジョンテは、ハン·ソラのSNSを通じて周辺の人物をあたりながら真犯人を探しに出るが…。

ピョン・ヨハンが、好奇心旺盛なク·ジョンテを、いたずらっぽい感じで演じていてキュート! 食べる姿が豪快なSNSインフルエンサーのハン·ソラを演じているシン・ヘソン、どこかで見た顔と思ったら、ドラマ「哲仁王后(チョルインワンフ) 俺がクイーン!?」で、現代では男性だったのに、タイムスリップしたら王宮で暮らす女性だったという役が絶妙だった女優さんでした。
部屋に何度か忍び込んでいたのですが、よりによって部屋を借りたいというカップルを案内して入ったら、ソファに血まみれで死んでいるハン・ソラが・・・。 それなのに、次に行って部屋は何事もなかったよう! いったいどうして? と戸惑うク·ジョンテが可愛いです。事件を追う女性刑事オ·ヨンジュ役のイエルは、落ち着いた大人の魅力。(咲)


2024年/韓国/103分/DCP5.1ch/シネマスコープ
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx.com/movies/following/
★2025年1月10日(金)シネマート新宿ほか公開
posted by sakiko at 20:46| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月13日

市民捜査官ドッキ(原題:시민덕희 /英題:CITIZEN OF A KIND)

dokki.jpg


監督・脚本:パク・ヨンジュ
撮影:イ・ヒョンビン
音楽:ファン・サンジュン
出演:ラ・ミラン(ドッキ)、コンミョン(ジェミン)、ヨム・ヘラン、パク・ビョンウン、チャン・ユンジュ、イ・ムセン、アン・ウンジン

シングルマザーのドッキのクリーニング店が火事に遭った。なんとか店を立て直したいドッキは、銀行のソン代理の融資の話に飛びついた。融資のために必要だという手数料を言われるまま送金する。その後連絡が途絶えたので銀行に相談に行くと、ソン代理という人物は存在しなかった。振り込め詐欺だったとやっと気づくが、一文無しになり家賃も払えなくなった。落ち込むドッキにソン代理を名乗った男から電話が入った。文句をまくしたてるドッキに、詐欺集団の情報を提供するから警察へ通報して助けてほしいと懇願する。

名もなき市民が極悪詐欺集団に立ち向かった、39日間の大捜査線!
実際に2016年に起きた振り込め詐欺事件をモチーフにしていると聞いて驚きました。振り込め詐欺に遭った一般市民が、詐欺組織のメンバーからのSOSで、警察に相談しますがとりあってもらえません。そこで諦めるのでなく、素人ながら仲間と詐欺集団に近づいていきます。
危険すぎる~と思うのですが、ドッキを演じるのはベテランのラ・ミラン。このおばちゃんならいけるかも、と謎の信頼がわいてきます。ドッキを騙した詐欺集団の一員はジェミンという若者。『エクストリーム・ジョブ』で刑事役だったコンミョンが演じています。
巧妙に作られた集団は、高額報酬という惹句につられてきた若者を次々と補充し、彼らの個人情報を握って囲い込みます。今も世界中に散らばって、犯罪を繰り返していますが、なかなかトップまで迫れません。トカゲのしっぽのように末端を切り捨てていきます。そんな内側とドッキたちの奮闘ぶりを楽しめる作品です。(白)


2024/韓国/カラー/シネマスコープ/114分/DCP5.1ch
配給:クロックワークス
© 2023 SHOWBOX, PAGE ONE FILM AND C-JES STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.
https://klockworx.com/movies/duk-hee/
★2024年12月13日(金)より全国ロードショー

posted by shiraishi at 00:00| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月17日

地獄でも大丈夫   原題:지옥만세  英題:Hail to Hell

jigokudemo.jpg
(C) 2022 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

監督・脚本:イム・オジョン
出演:オ・ウリ、パン・ヒョリン、チョン・イジュ、パク・ソンフン

このままじゃ死ねない。死ぬ前にチェリンに復讐するのはどう?
二人だけの決死の修学旅行がはじまる・・・


いじめに悩まされてきた女子高生ナミとソヌ。クラスメイトとの修学旅行に行かずに自殺を図ろうとするも断念。2人は死ぬ前に、自分たちをいじめたリーダーで、今はソウルで幸せに暮らしているらしいチェリンに復讐しようと、2人だけの修学旅行に出かける。見つけ出した最悪のいじめっこチェリンは、新興宗教に出会って、女神のような善人に変わっていた。ナミとソヌは彼女が改心するきっかけとなったインチキくさい宗教団体の施設で過ごすことになる。
しかし、 ここにもいじめられっ子はいて・・・。
二人の決死の復讐計画は果たして実行されるのか?!

イム・オジョン監督
1982年生まれ。中央大学校で写真を専攻した後、韓国芸術総合学校映像院映画科に入 学。在学中に作った短編「嘘」はミジャンセン短編映画祭“愛に関する短いフィルム”最優 秀作品賞を受賞。その後「それ以上でもなく、それ以下でもなく」が全州国際映画祭に招 待され、監督としての頭角を表す。オムニバス「真昼のピクニック」の3番目のエピソード 「私が必要なら電話して」が評論家と観客の目に留まり、いよいよ初の長編デビュー作 「Hail to Hell」を完成させた。
30代女性の話(「私が必要なら電話して」)から10代の少女たちの話(『地獄万歳』)まで 幅広い女性キャラクターを扱う彼女は、明るく走り回る少女たちの躍動感を今回の映画 に盛り込みたかったと話す。


冒頭、チェリン率いる一団に、バースデーケーキを顔に押し付けられるソヌ。新しい携帯も奪い取られます。ナミもまたいじめられていて、食堂を営む母親に修学旅行に行きたくないと訴えます。楽しいはずの修学旅行に行きたくないなんて・・・  
水が抜かれた大きな湯舟で、自殺しようと話すナミとソヌ。窓の外では温泉祭の花火があがっていますが、いじめのリーダーだったチェリンが遊園地の倒産で逃げたと思ったらソウルで幸せにしているらしいという話が出てきて、どうやらこの温泉町は斜陽のよう。
ソウルで見つけたチェリンは、新興宗教の集団生活の場にいて、いつも笑顔の若い男ミョンホが皆を取りまとめています。チェリンはボランティアに励めば楽園に行けると信じて、ミョンホを慕っている様子。ナミとソヌは、穏やかな面持ちで暮らすチェリンを前に、どうしたものかと戸惑うのですが、そうするうちにこの集団の正体が見えてきます。
いじめていたチェリンにも心に傷があるよう。いじめるのは、逆に自分に自信がないから? 
いじめられる者だけでなく、いじめた者にも傷を残します。一生の中で、学校で暮らす十代の短い期間は、楽しい思い出に満ちたものであってほしいと願います。(咲)


2022年/韓国/韓国語/109分/カラー/5.1ch/DCP
製作:韓国映画アカデミー(KAFA)
配給:スモモ
公式サイト:https://www.sumomo-inc.com/okiokioki
★2024年11月23日(金・祝)より渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開



posted by sakiko at 01:06| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月14日

対外秘   原題:대외비(対外秘) 英題:THE DEVIL'S DEAL

taigaihi.jpg
ⓒ 2023 PLUS M ENTERTAINMENT ANDTWIN FILM/B.A. ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED. 

監督:イ・ウォンテ(『悪人伝』)
出演:チョ・ジヌン、イ・ソンミン、キム・ムヨル

国家を転覆させる極秘文書を奪え!
権力闘争の表と裏を描き切る絶対予測不能サスペンス


1992年、釜山。党の公認候補を約束されたヘウンは、国会議員選挙への出馬を決意する。ところが、陰で国をも動かす黒幕のスンテが、選挙直前になって、公認候補を自分の言いなりになる男に変える。激怒したヘウンは、釜山地域再開発計画に関する〈対外秘文書〉を手に入れ、チームを組んだギャングのピルドから選挙資金を得て無所属で出馬する。地元・海雲台の人々からの絶大な人気を誇るヘウンは圧倒的有利に見えたが、対外秘文書をヘウンが入手したことを知ったスンテが戦慄の逆襲を仕掛ける。だが、この選挙は、国を揺るがす壮絶な権力闘争の始まりに過ぎなかった・・・

日本では衆議院議員総選挙、アメリカでは大統領選挙が行われたばかりですが、選挙の当落は、裏で何がうごめいているのか、開けてみるまでわからないのが常。立候補した人は、投票日前の最後の最後まで「お願い」の声をあげますが、それほどまでして政治家になりたいのは、庶民の為というより、富と権力の為と思わせられることが多いような気がしてしまいます。
チョ・ジヌンさん演じるヘウンは、地元の海雲台の為に国会議員になりたいという熱血漢だったはずなのに、だんだん黒幕スンテの思惑にはまっていきます。スンテを演じたイ・ソンミンさん、温和な人柄の役が多いのに、本作では凄みを見せていて、さすが役者です。
キム・ムヨルさん演じるピルドは、暴力団なのに、どこか庶民派的なものを感じて、憎めません。
タイトルになっている<対外秘> は、釜山地域再開発計画の地図。再開発予定地を前もって知って、その土地を買い占めるということは、あちこちで行われて、甘い蜜を吸っている人たちがいそうです。(咲)



466408345_1105474061580178_8109786011294849219_n.jpg
『対外秘』は、第37回 東京国際映画祭で特別上映され、舞台挨拶にイ・ウォンテ監督、チョ・ジヌン、キム・ムヨルの3人が登壇しました。
一緒に登壇できなかったイ・ソンミンさんについて、「最高です! 何度も共演してお兄さんのよう。後輩にも優しいです」とチョ・ジヌンさん。上映前でしたので、映画で凄みのあるイ・ソンミンさんを見た観客はびっくりだったでしょう。やっぱり役者ですねぇ!

2023年/韓国/韓国語/116分/カラー/スコープ/5.1ch
字幕翻訳:鷹野文子
配給:キノフィルムズ 
公式サイト:https://www.taigaihi.jp/
★2024年11月15日(金)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷 他全国公開

posted by sakiko at 18:52| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする