2023年09月24日

ハント  原題:헌트  英題:HUNT

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監督・脚本:イ・ジョンジェ
出演:イ・ジョンジェ、チョン・ウソン、チョン・ヘジン、ホ・ソンテ、コ・ユンジョン、キム・ジョンス、チョン・マンシク

1983年、ワシントンDC。米韓首脳会議のため訪米した全斗煥大統領の警護にあたる安全企画部(旧 KCIA)の海外次長パク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)と国内次長キム・ジョンド(チョン・ウソン)。CIAがテロの動きを察知、銃撃戦の末、犯人グループを射殺。暗殺事件は未然に防がれた。パク次長とキム次長は、組織内に入り込んだ北のスパイ“トンニム”を探し出す任務を命じられ、それぞれ捜査をはじめる。二重スパイを見つけなければ自分たちが疑われるかもしれない緊迫した状況で、二人は巨大な陰謀に巻き込まれていく・・・

イ・ジョンジェ主演の『純愛譜』(2000年)と『Interview インタビュー』(2000年)を同じ日に同じ劇場で続けて観て、ほんとに同じ人?とびっくりしたら、その前に観ていた『イルマーレ』もイ・ジョンジェだったと知り、演技派イ・ジョンジェにすっかりぞっこんになりました。その彼がついに初監督! しかも大親友でありビジネスパートナーであり隣人のチョン・ウソンとのW主演! チョン・ウソンは、初主演の『KUMIHO 千年愛』以来の大ファン♪ 七変化のイ・ジョンジェと違って、どんな役でも、あくまでチョン・ウソン。その大好きな二人が共演した『太陽はない』を韓国文化院で観ることが出来た時の嬉しかったこと! そして、『ハント』は、その『太陽はない』の共演から、なんと20年以上の時を経ての共演なのです。もう期待以上の映画でした。
派手なアクションシーンや、緊張感溢れる場面がテンポよく展開しますが、監督イ・ジョンジェが伝えたかったのは、誤ったイデオロギーや、フェイクニュースに翻弄されないでほしいという思い。「イカゲーム シーズン2」の撮影で忙しい中、来日して、記者会見と舞台挨拶に登壇したのも、本作を作った意図を直接日本の観客に伝えたかったからと語っていたのが頼もしかったです。 その時の様子は、下記でご覧ください。(咲)


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映画『ハント』 イ・ジョンジェ監督記者会見
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/500612546.html

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映画『ハント』ジャパンプレミア  イ・ジョンジェ 初監督作品への思いを日本のファンに語る
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/500612114.html

facebookアルバム イ・ジョンジェ初監督作品『ハント』記者会見&ジャパンプレミア
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.791557082971879&type=3

2022年/韓国/DCP5.1ch/シネマスコープ/韓国語・英語・日本語/125分/PG12
字幕翻訳:福留友子・字幕監修:秋月望
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx.com/huntmoviejp
★2023年9月29日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー

posted by sakiko at 02:18| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月17日

コンフィデンシャル 国際共助捜査   原題:공조2: 인터내셔날  英題:CONFIDENTIAL ASSIGNMENT 2: INTERNATIONAL

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監督:イ・ソクフン(『ヒマラヤ ~地上8、000メートルの絆~』
出演:ヒョンビン(『レイトオータム』「愛の不時着」)、ユ・ヘジン(『タクシー運転手~約束は海を越えて~』)、イム・ユナ(少女時代)(『手紙と線路と小さな奇跡』)、ダニエル・ヘニー(「春のワルツ」)、チン・ソンギュ(『エクストリーム・ジョブ』

韓国に降り立った、北朝鮮のエリート特殊捜査員リム・チョルリョン。彼の任務は、北から逃亡した国際犯罪組織のリーダーと消えた10億ドルを追うこと。北から「国際共助捜査」の要請があり、捜査の失敗により左遷されていた南の破天荒なベテラン刑事カン・ジンテは、現場復帰をかけ相棒に志願する。実は2人は2度目のタッグで、チョルリョンに恋するジンテの義妹ミニョンは、彼との再会を心待ちにしていた。互いの真の目的や機密情報を隠しながらも、リーダーの隠れ家に踏み込んだ時、FBI捜査官のジャックが現れる。激しい争いの果てにチームを組み直した3者・3国の前に、驚愕の黒幕が立ちはだかる・・・

冒頭、ニューヨークで繰り広げられるカーチェイスに銃撃戦。北朝鮮から逃亡した国際犯罪組織のリーダーを連れ帰るべく北朝鮮から来たヒョンビン演じる刑事リム・チョルリョンと、アメリカを飛び立つまではFBIの管轄だとぴったりと寄り添うダニエル・ヘニー演じるFBI捜査官ジャック。ドラマ「私の名前はキム・サムスン」(2005年)で共演した二人の登場に、最初からワクワクしました。
ソウルに着き、今度は、『コンフィデンシャル/共助』(2017年)でタッグを組んだユ・ヘジン演じる南の庶民派刑事の登場! 本作でも大いに笑わせてくれました。
ジンテの義妹ミニョンは、前作でチョルリョンに惚れて、彼との再会に念入りにお化粧をして迎えて胸躍らせるのですが、続いて現れたFBI捜査官ジャックの美男子ぶりにときめいてしまいます。どちらも捨てがたいイケメン♪ 動揺するミニョンをキュートに演じたユナちゃん、2022 第58回 大鐘賞映画祭 女優助演賞を受賞しました。
ヒョンビンは、激しいアクションシーンの9割を自身でこなしたそうで、さすが海兵隊に志願して所属した頑強さを感じます。「私の名前はキム・サムスン」の時には、まだ少年のあどけなさもあったヒョンビンが、すっかり渋い大人の男になりました。ダニエル・ヘニーは、歳を感じさせない甘い雰囲気。ユナちゃんが二人のどちらにもドキドキしてしまうのがわかります。
さて、10億円と共に消えた国際犯罪組織のリーダー。黒幕は誰なのか? 北、南、FBIの3人の共助の行方をハラハラしながら見守りました。(咲)


2022年/韓国/カラー/シネスコ/5.1ch デジタル/129分
字幕翻訳:根本理恵
配給:ギャガ 
公式サイト:https://gaga.ne.jp/confidential/
★2023年9月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国公開


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2023年08月27日

復讐の記憶   原題: 리멤버(リメンバー) 英題:REMEMBER

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監督: イ・イルヒョン(『華麗なるリベンジ』)
出演: イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン

80を越えたピルジュは、ファミリーレストランで勤続17年を迎えた最高齢アルバイト。同僚の20 代の青年インギュとは「フレディ」「ジェイソン」と呼び合う親しい仲だ。
認知症に見舞われ、自分の記憶が長くは続かないと悟ったピルジュは、バイトを辞め、60年前から計画していた復讐殺人を決行すべく銃を手にする。日本植民地時代、ピルジュは家族すべてを親日派の為に失ったのだ。標的の5人の名前を忘れないよう指にタトゥーで刻む。赤いポルシェを買い、インギュを1週間の約束で運転手に雇う。何も知らないインギュは、最初の復讐現場で監視カメラに映っていたことから第一容疑者にされてしまう。ピルジュの復讐計画を知ったインギュは、警察に追われながらもピルジュを制止しようと同行する・・・

日本植民地時代、ピルジュの父は濡れ衣で捕まり、拷問の末に亡くなり、母は後を追って自死。兄は強制徴用された日本の炭鉱で亡くなり、姉は慰安婦として従軍後、故郷に帰り命を絶っています。家族を死に追いやるも生き続けている「親日派」が、ピルジュの復讐の対象。当時、先頭に立って創氏改名に応じ、日本の手先となったキム・チドク。ピルジュの姉の許嫁でもあったのですが、ピルジュに責められ、「あの時代を生きただけ」と言い放ちます。親日派になることが生きる術だったことに思いが至ります。

本作の原作は、クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ共演のカナダ・ドイツ合作映画『手紙は憶えている』(2015年 監督:アトム・エゴヤン、脚本:ベンジャミン・オーガスト)。 アウシュビッツ収容所の生存者である主人公が、家族を殺したナチス兵士が身分を偽り、今も生きていることを知り復讐の旅に出るという物語。韓国の歴史や社会を背景にして、大胆にリメイクしています。

まだ50代前半のイ・ソンミン(1968年生まれ)が、特殊メイクとはいえ、80代の高齢者に見えてびっくりさせられます。ドラマ「未生~ミセン~」(2014年)、映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2018年)、『KCIA 南山の部長たち』(2020年)等々と共に名優ぶりが印象に残る作品です。
若い相棒インギュ役のナム・ジュヒョク、親日派キム・チドク役パク・クニョン、二人を追うカン刑事を演じたチョン・マンシクも好演です。

復讐に燃えるピルジュですが、最後の5人目の標的「清原」の正体を知った時、胸が震えました。戦争が人の心の奥深くに傷を残すこと、そして、それは誰にも言えないことなのだと。(咲)


2019年/韓国/128分/カラー/スコープサイズ/5.1ch
配給:ハーク 配給協力:FLICKK
公式サイト:https://fukushu.jp/
★2023年9月1日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開




posted by sakiko at 14:39| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月20日

イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K、ドキュメンタリー映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術』

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©MOVIE DA PRODUCTIONS & PINEHOUSE FILM CO., LTD., 2022


韓国の巨匠イ・チャンドン初の特集上映
「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」


配給:JAIHO
公式サイト:https://leechangdong4k.com/
★2023年8月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

長編デビュー作『グリーンフィッシュ』から『バーニング 劇場版』までの6作品は4K上映となり、レストア作業はイ・チャンドン監督自らが指揮を執っています。

【上映作品】
『イ・チャンドン アイロニーの芸術』
『バーニング 劇場版 4K』
『ポエトリー アグネスの詩 4K レストア』
『シークレット・サンシャイン 4K レストア』
『オアシス4K レストア』
『ペパーミント・キャンディー4K レストア』
『グリーンフィッシュ 4K レストア』



『イ・チャンドン アイロニーの芸術』   原題:Lee Chang-dong: The art of irony
監督:アラン・マザール 『THE STRANGE CASE OF ATOM EGOYAN』(2010年・未)
出演:イ・チャンドン、ムン・ソングン、ソル・ギョング、ソン・ガンホ、チョン・ドヨン、ムン・ソリ、ユ・アイン
2022年/フランス・韓国/韓国語/カラー./ビスタ/5.1ch/99分

イ・チャンドン作品に魅了されたフランスのドキュメンタリー監督アラン・マザールの脚本を元に、被写体であるイ・チャンドン自らがこれまでに制作した映画と人生を語る。

教鞭を執る傍ら、小説家として活動し幾つかの著書も出版したイ・チャンドン。43歳の時に、『グリーンフィッシュ』で監督デビュー。続く『ペパーミント・キャンディー』では現在から過去へ時間を遡る方法で、1人の男の人生をエモーショナルに描き、韓国のみならず海外でも上映され、世界中でその名を知られるようになる。『オアシス』では、男女の究極の愛を描き、ヴェネチア国際映画祭で監督賞、主演のムン・ソリは新人女優賞に輝いた。2002年、韓国文化観光部の長官に就任する。その後、『シークレット・サンシャイン』を発表。過酷な運命に翻弄される主人公を演じたチョン・ドヨンは、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞する。その後、『ポエトリー アグネスの詩』がカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、『バーニング 劇場版』が同映画祭で国際批評家連盟賞他、多数の賞を受賞。
本作では、監督作全6作品を現在から過去へと辿り、ゆかりの地に自ら足を運ぶ“聖地巡礼”で振り返る。

『ペパーミント・キャンディー』のごとく、現在から過去に遡って、イ・チャンドンが映像作家となった原点を探る旅。イ・チャンドン自身が、映画ごとに作った時の思いや背景を語り、俳優たちが撮影当時のことを振り返ります。『バーニング 劇場版』のユ・アイン、『シークレット・サンシャイン』のソン・ガンホとチョン・ドヨン、『オアシス』のムン・ソリとソル・ギョング、続いて『ペパーミント・キャンディー』でもソル・ギョング。そして、初監督作品『グリーンフィッシュ』。それぞれの映画に、そんな意味があったのかと、あらためて映画を見直したくなりました。
新作が出来るたびに、ソウル劇場で初お披露目して映画人が集い祝う習わしだったのに、そのソウル劇場もシネコンに押されてなくなる運命と寂しそうに語るイ・チャンドン。
さらに映画監督となる前に遡って、独裁時代に自分の思いを小説に綴ったこと、小学校の頃から物語を書いて、友達に読んでもらっていたことが語られます。通っていた小学校で映画『あの空にも悲しみが』の撮影が行われ、お願いして出演させてもらったのが、映画との初めての出会い。何かに導かれるように、イ・チャンドンはなるべくして映画監督になったのだと思いました。
韓国の人たちの人生には、日本の植民地支配、朝鮮戦争、軍事独裁政治、光州事件等々、さまざまな苦難を経験したことが背景に横たわっていることも、あらためて認識させられました。
思えば、イ・チャンドン監督に初めてお会いしたのは、『ペパーミント・キャンディー』が赤坂の国際交流基金フォーラムでのアジア・フィルム・フェスティバルで上映された時のことでした。私の座っているすぐ脇を通って入場されたのですが、とても素敵で、「ご自分で主演をされた方がよかったのでは」などと、ソル・ギョングに失礼なことを思ったのでした。ソル・ギョングも、あの映画で初めて観たので、名優との認識がなかった次第です。(咲)


posted by sakiko at 18:05| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月06日

もしかしたら私たちは別れたかもしれない  原題:어쩌면 우린 헤어졌는지 모른다 英題:Someone You Loved

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(C)2023 kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved

監督・脚本:ヒョン・スル
出演:イ・ドンフィ(『エクストリーム・ジョブ』)、チョン・ウンチェ(『へウォンの恋愛日記』)、カン・ギル(『ベイビー・ブローカー』)、チョン・ダウン(『The Witch/魔女』)、コ・ギュピル(『君の結婚式』)

不動産会社に勤めるアヨン(チョン・ウンチェ)。彼女が新婚夫婦に部屋を案内したマンションの入口で、美大の恩師に声をかけられる。「今は絵を描いてない」というアヨンに「個展を開く時には声をかけてよ」という恩師。アヨンは、美大の同級生で親友から恋人になったジュノ(イ・ドンフィ)が公務員浪人生で、絵を諦め、就職して生計を担っているのだ。それなのに、ジュノは試験勉強もろくにせず、バイトや遊びに明け暮れている。ある日、忘れ物をして家に帰ったアヨンは、図書館に行っているはずのジュノが友達と家で遊んでいて、もう我慢の限度と「もう、終わりに」と言い捨てる。その後、外出したジュノが帰宅すると廊下に自分の荷物が積んである。荷物を持って友人の店に行き、働かせてもらうジュノ。店に来た若い女性と親しくなるジュノ。一方、アヨンも仕事を通じて、新たな出会いがある。そして、1年後・・・

紆余曲折があって、またよりを戻す物語かと思ったら、そうではありませんでした。
倦怠期を迎えた二人が別れ、愛する人が知らない人になる過程を描いた話でした。かつて恋人との別れを経験した人すべてに、それぞれの思いがよぎると思います。いつまでも相手が忘れられなくて、うじうじする人もいれば、さっさと見切りをつけて、あらたな人生を歩む人もいるでしょう。
さて、アヨンとジュノの一年後、どうなったかは、ぜひ劇場でご覧ください。(咲)


2023年/韓国/ 103分/カラー/シネマスコープ/ 5.1ch
日本語字幕:石井絹香
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx-asia.com/syl/
★2023年8月11日(金) シネマート新宿ほか 順次公開


posted by sakiko at 13:21| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする