2021年12月05日

街は誰のもの?

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監督・撮影・編集:阿部航太
整音:鈴木万里
出演:エニーボ(サン・パウロ)、チアゴ・アルヴィン(ベロ・オリゾンチ)、オドルス(プラナルチナ)、中川敦夫(サン・パウロ)、ピア(リオ・デ・ジャネイロ) 
*()内は出逢った都市

南米一の大都市サン・パウロ。そこには多様なルーツ、カルチャーが混沌とするブラジル特有の都市の姿があった。東京でグラフィックデザイナーとして活動する阿部航太が、2018~2019のブラジル滞在で体感した「街」。そこには歪んだ社会に抗いながら、混沌の波を巧みに乗りこなすグラフィテイロ、スケーター、そして街を歩き、座り込み、踊り明かす人々がいた。ブラジルの4都市を巡り、路上から投げかけられた一つの問いへの答えを追うストリート・ドキュメンタリー。

この作品に登場するグラフィテイロ(グラフティを描く人)たちは、警察の目を気にしながら、あっというまに描き上げていなくなります。スプレー缶だって安くはないのに「ここにいるよ」という発信なのでしょうね。大きな壁に自由にメッセージや好きな絵を描けたら、さぞ楽しいはず。歓迎してくれる人も中にはいて、なんだか嬉しくなります。所有者が気に入って消されずに残っていくといいな。
このストリートアートは、世界中で描かれてアーティストとして認められた人もいますね。バンクシーやバスキアも。台湾の虹の村「彩虹眷村」も観光スポットとして有名です。お爺ちゃんが家や道路にポップな絵を描き始めて話題になりました。2019年に訪ねて、あまりに面白くてバスの集合時間に遅れてしまったんでした。
東京では落書きとみなされてすぐ消されてしまうんでしょうか。高速道路や高架下で読めない文字?を見かけるくらいです。ちゃんと所有者に許可をもらったか、発注されたかと思われるものは原宿などにあるようですね。浅草仲見世の商店のシャッターには、日本の四季や祭りなどが描かれています。閉店後でないと見られませんが、寄席や演劇の帰りに観るのが楽しみです。Googleマップであちこち壁伝いに探してみようかな。
「街は誰のもの?」というタイトルの答えは、観た人によって少しずつ違うでしょう。でも願うのは、誰もが生きていける街であること。(白)


『街は誰のもの?』は、サンパウロの街中で壁に落書きをしている人たちを追ったドキュメンタリー。私は2018年12月から2019年2月まで、ピースボートの船で世界一周の旅に出て、途中、リオデジャネイロの街中を観光し、その時、落書きの多さにびっくりした。ファベーラ(スラム街)の家々の壁にはずっと落書きが続いていた。さすがにコルコバードの丘、イパネマ海岸、コパカバーナなどの観光地の周辺には落書きが少なかったけど、その後に行った、ウルグアイ、アルゼンチン、チリと、南米の国々は落書きのオンパレードだった。南米に行ってびっくりしたことです。街の文化というべきか、混沌とした街の姿なのか。あるいは若者の発露の場所なのかもしれません。庶民が暮らす街中にはこの落書きがあふれていて、街の文化を形成している。この映画でも文化、あるいは仕事として書かれています(暁)。

南米の落書き写真:撮影 宮崎暁美
リオデジャネイロ街中の落書き
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チリ・パルパライソ観光地のカラフルな落書き
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チリ・パルパライソ街中の落書き
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参考記事 シネマジャーナルHP スタッフ日記
ピースボート世界一周船旅の写真整理(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/484784517.html

2021年/日本/カラー/98分
配給:Trash Talk Club
(C)KOTA ABE
https://www.machidare.com/
★2021年12月11日(土)シアター・イメージフォータムにてロードショー

posted by shiraishi at 13:25| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月28日

彼女が好きなものは

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監督・脚本:草野翔吾
原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫)
撮影:月永雄太
出演:神尾楓珠(安藤純)、山田杏奈(三浦紗枝)、前田旺志郎(高岡亮平)、三浦獠太(小野雄介)、池田朱那(今宮くるみ)、三浦透子(佐倉奈緒)、渡辺大知(近藤隼人)、山口紗弥加(安藤みづき)、磯村勇斗(Mr.ファーレンハイト)、今井翼(佐々木誠)

⾼校⽣の安藤純は⾃分がゲイであることを隠している。ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝が、男性同⼠の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇。BL好きを隠している紗枝から「誰にも⾔わないで」と口止めされ、そこから2人は急接近。しばらしくて、純は紗枝から告白される。「⾃分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」。
一縷の望みをかけ、純は紗枝の告⽩を受け⼊れ、付き合うことになったのだが…。

高校生の恋愛ものにひとひねり。最近あちこちで見かける神尾楓珠くん(濃いイケメンなので目にとまる)がゲイであることで悩む男子高校生。映画初主演。今ドラマ「顔だけ先生」主演でも注目されています。『ミスミソウ』(2018)で仰天させられた山田杏奈さん溌剌としていて制服姿も可愛いです。純の親友亮平役に前田旺志郎くん、ついこの前『うみべの女の子』でも見たばかりで、転校してきたの?と思ってしまうくらい、高校生役がはまります。それもこんな友達がいてほしいというタイプ。つっかかる隼人も正直。
”ふつう”でいたい純が悩むのを母親が必死で支えようとしていて、つい母親の気持ちになって自分ならどうするかと考えてしまいます。紗枝も一時引いてしまいますが、なんとか立ち直ります。今井翼さん演じる佐々木誠には、もっと大人なりの対処の仕方があったのでは、と不満。それもストーリーのうちですが、ハリセンで叩いてやりたいと思ってしまうのは私だけ?(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/121分
配給:バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース
(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
https://kanosuki.jp/
★2021年12月3日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 17:38| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月27日

CHAIN チェイン

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監督:福岡芳穂
脚本:港岳彦
撮影:栢野直樹
音楽:中城隆
出演:上川周作(山川桜七郎)、塩顕治(斎藤一)、池内祥人(松之助)、村井崇記(藤堂平助)、佐々木詩音(大石鍬次郎)、延岡圭悟(窪川藤次)、松本薫(惣吉)、和田光沙(お染)、辻凪子(お鈴)、土居志央梨(花香太夫)、駒野侃(永倉新八)、宮本伊織(原田左之助)、東山龍平(中岡慎太郎)、山本真莉(つる)、鈴川法子(ふね)、水上竜士(萱野長修)、福本清三(水野弥三郎)、大西信満(土方歳三)、山本浩司(近藤勇)、渋川清彦(武田観柳斎)、高岡蒼佑(伊東甲子太郎)

幕末・京都。会津を脱藩した浪人山川桜七郎は、賭場の用心棒として雇われていた。賭場の胴元、侠客・水野弥三郎に御陵衛士の篠原泰之進、藤堂平助が資金繰りの相談をしている時、九州の菓子屋の息子・松之助が賭け金の持ち逃げで引っ立てられてくる。同郷と知った篠原が松之助を救い藤堂らと出ていこうとした時、陰間乞食・惣吉が襲い掛かり、咄嗟に篠原は惣吉の脇腹を斬るが、同時に用心棒の桜七郎が藤堂の前に立ちはだかった。藤堂は刀を交える中で桜七郎に対し侍としての共感を抱き、御陵衛士への合流を誘う。しかし桜七郎は無言で去る。片や松之助は屯所の下男として御陵衛士盟主・伊東甲子太郎始め仲間たちから快く迎え入れられる。そんな様子を、斎藤一がじっと見つめていた。

「京都芸術大学映画学科」プロジェクト【北白川派】第8弾。1867年11月18日に起こった新撰組終焉の象徴“油小路の変“を、よく知られた人物でなく、新しく浪人山川桜七郎を作り出して中心において描いています。このときの時代背景や暗殺にいたるまでは、新撰組に詳しい方々ならよくご存知かと思います。私は池田谷事件は知っていても、伊東甲子太郎が謀殺されたこちらは知りませんでした。新撰組は脱退が禁じられていたので、分離したと見せて御陵衛士を立ち上げたけれども、結局粛清されたということのようです。
現在の油小路に突如侍姿のキャストが出現するというシーンが挟まれていて、今の時代と当時はそれこそ地続きなのだという実感がわきます。キャストは現役の学生からプロのベテラン俳優まで入り混じり、プロの俳優の圧倒的な存在感と、経験の浅い彼らの、演技とは別な生々しさを感じる作品でした。
どこの土地もそこで死んだ人間たちの血や汗がしみついていそうですが、京都は特にそれが積み重なっている気がします。「伊東甲子太郎外数名殉難跡」という石碑が本光寺の門前に建てられています(昭和46年)。京都駅から10分ほどだそうです。いつか行って安らかにと祈りたい気分になりました。監督は京都芸大の福岡芳穂教授、港岳彦氏の脚本は『あゝ、荒野』『宮本から君へ』などどれも毎回印象に残ります。互いに真剣を振り回した時代を映した作品の中で、何千回も斬られた福本清三さんが賭場の親方として出演しています。この作品が遺作となりました。(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/114分
配給:マジックアワー
(C)北白川派
http://www.chain-movie.com/
★2021年11月26日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 01:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月26日

ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”

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監督:堤幸彦
撮影監督:山本英夫
出演:嵐(相葉雅紀、松本潤、二宮和也、大野智、櫻井翔)

人気グループ”嵐”のデビュー20周年記念ツアーを体感できる初のライブフィルム。2019年12月23日、東京ドームで1日限りの映画撮影のために「シューティング・ライブ」が開催された。52000人の観客で埋め尽くされた会場と嵐5人のパフォーマンスをドローンを含む125台のカメラが撮影、一人一人のライブフィルムができるほどの映像を記録した。

本作は2021年6月、第24回上海国際映画祭のGala部門とDolby Vision部門出品。両部門への同時出品は史上初、最高の上映環境であるドルビーシネマで、ワールドプレミアを飾りました。2020年には中国・北京でのコンサート開催予定でしたが、コロナ禍のために中止。映画の形で中国のファンに届けたことになります。そしてようやく日本のファンも劇場で体感できることになりました。
東京ドームのてっぺんの席でコンサートを見たことがありますが、ステージははるかに遠いです。この映像は5人が目の前の特等席!さらにあらゆる方向から捉えた映像を楽しめます。次々と歌われるヒット曲に包まれて、ライブ会場にいる感覚です。
20年間トップを走り続けてきた”嵐”は2020年12月31日で活動休止となりました。この映画で夢の続きを見ましょう。5人が輝いています。(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/148分
配給:松竹
(C)2021 J Storm Inc.
https://recordofmemories.jp/
★2021年11月26日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 23:31| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スパゲティコード・ラブ

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監督:丸山健志 
脚本:蛭田直美
撮影:神戸千木
主題歌:三浦透子「Never」
出演:倉悠貴(羽田天)、三浦透子(桜庭心)、清水尋也(大森慎吾)、八木莉可子(黒須凛)、古畑新之(氷室翼)、青木柚(赤羽圭)、xiangyu(千葉桜)、香川沙耶(綾瀬夏美)、上大迫祐希(小川花)、三谷麟太郎(宍戸一樹)、佐藤睦(渋谷桃子)、ゆりやんレトリィバァ(目黒梅子)、 土村芳(剣持雫)

フードデリバリー配達員の羽田は大好きなアイドルへの気持ちの区切りをつけるため、配達1000件を目指している。桜庭心はシンガーソングライターの夢を諦めてダラダラ過ごしている。大森慎吾はfacebookの友達が5000人もいるが、本当の友達はいない。広告クリエイターの凛はプレッシャーに押しつぶされそうだ。カメラマンの氷室は力不足を自覚。死にたいが口癖の桜を心配しつつ、圭は告白できない。モデルの夏美は本業よりパパ活が忙しい。不登校の女子高生の花はインスタにウソの投稿。中学生の一樹はコンビニで時間をつぶす。失恋して引きこもる桃子は占いに依存、隣室の梅子はそれに聞き耳を立てている。雫は不倫相手に尽くすのが生きがい。これがなくなったら…。

丸山健志監督は乃木坂46のデビューシングルからミュージックビデオを手がけ、ドキュメンタリー『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』を2015年に発表しています。たくさんの登場人物に光をあてて、まとめていくのはお得意なのかもしれません。テンポよくストーリーが紡がれます。「スパゲティコード」とは、解読不能なほど複雑に絡み合ったプログラミングコードのことだそうです。
登場する若者たちは東京でそれぞれの愛を模索しています。初めは関わりなど見えなかったのが、次第に複雑に連鎖し、絡み合っていきます。みんな寂しくて、あるいは迷ってもがいているのですが、自分の心や身体だって思い通りにはなりません。ましてやほかの人を知ること、理解することは難しいです。してもらうことも。人生は一回限りなのに時間が足りません。
この作品に出てくる人たちが、傷ついたり、泣いたり、回り道したりして見つけたものをそっと分けてもらえるのが観客。胸に大事にしまってお帰り下さい。ほどき方がわかるかも。(白)


いかにも今どきの若い人たちの姿がポップに描かれていて、最初、若い感覚についていけないのではと思ったのですが、なかなかどうして、テンポのいい群像劇で、どんどんひきこまれていきました。現代社会で生き方に迷う姿が眩しかったです。(咲)

2020年/日本/カラー/シネスコ/96分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)「スパゲティコード・ラブ」製作委員会
https://happinet-phantom.com/spaghetticodelove/
★2021年11月26日(金)渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開

posted by shiraishi at 21:21| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする