2020年12月11日

私をくいとめて

watasiwo pos.jpg

監督・脚本:大九明子
原作:綿矢りさ
撮影:中村夏葉
出演:のん(黒田みつ子)、林遣都(多田)、臼田あさ美(ノゾミ)、若林拓也(カーター)、山田真歩、前野朋哉、片桐はいり(澤田)、橋本愛(皐月)

黒田みつ子、31歳。おひとり様ライフがすっかり板についた。おひとり様だけれど独りぼっちじゃない。みつ子の脳内には相談役の「A」がいる。AはアンサーのA。だから迷ったときや困ったときは「A」に尋ねる。答えが見つかる。いつまでもこの楽しく穏やかな日々が続くと思っていた…が、みつ子は年下の営業マン 多田くんが気になってきた。たまたま近所に住んでいるのがわかって、一人分も二人分も手間は一緒、と夕飯をおすそ分けしている。なんだかいそいそと料理をする自分にびっくりしている。これは恋なのか?もちろん「A」に相談し、恐る恐る前進してみることにした。

あの『勝手にふるえてろ』(2017)のタッグ(綿矢りさ原作&大九明子監督)が再集結した本作、みごと今年の第33回東京国際映画祭で観客賞を受賞!大九明子監督は“史上初”2度目の受賞を果たしました!! おめでとうございます!!!
これまでいろいろな役柄ののんさんを見てきましたが、本作ではとにかくよく喋る。ずっと喋る。
そばに誰もいなくても彼女の脳内には「A」がいるんです。この「A」の落ち着いた声がいいです。安心感倍増。「私はあなたなんですから」と毎回釘をさすのも忘れません。
そしていつもお腹を空かしている多田君が良い。のんさんも可愛いのですが、林遣都さんも超可愛いです。東京へ中3の修学旅行で来て、渋谷でスカウトされたそうですが、この子には注目するでしょう、納得。のんさんの親友皐月、イカした上司に先輩と魅力満載の皆様との会話がまた良い。お一人様のあなたも、年下彼氏がまだいないあなたも楽しめること請け合います。
気になる脳内相談役の「A」は映画を見ると明らかになります。私にも一人ほしい。
公式HPには「震えてる」ポスターやコラボのお知らせ、おまけつきムビチケ情報など盛りだくさんです。どうぞアクセスを。(白)


thumbnail_11月24日(火)上映会イベント/オフィシャル写真②.jpg
<先行公開!誰か「私をくいとめて」お悩み相談付き上映会イベント>
大九明子監督、可愛い衣裳と髪型のんさん

最近は聞かなくなりましたが、リア充という言葉は友人が多い上に付き合っている人がいて、彼らと楽しい日々を過ごしているというイメージがあります。その点では主人公のみつ子は完璧な非リア充。本人もそれを自虐的に語っている場面もありますが、本当にそうなんでしょうか。みつ子は冒頭で天ぷらの食品サンプルを作る体験教室に参加し、帰りにデパ地下で天ぷらを買って帰り、美味しい夕飯で締めくくっていました。また別の日はお一人様焼き肉を楽しむなど、週末は興味や気分に合わせて出掛けています。何だかとっても自由に見える。これもまたある種のリア充ではないかって思えてきます。
大九明子監督が描く主人公はいつもこんな感じ。ちょっと世間一般からは外れているのですが、彼女たちは生きることに不器用ですが、いつもちゃんと地面に足がついています。だから共感してしまうんでしょうね。
さて、今回の恋の相手はみつ子と同じように、生きることに不器用そうな年下の男性。林遣都が演じています。イメージどんぴしゃりです。2人のやり取りは「ここははっきり言っちゃいなさいよ」と見ていてハラハラというか、イライラというか(笑)。最後まで目が離せません。(堀)


2020年/日本/カラー/シネスコ/133分
配給:日活
(C)2020「私をくいとめて」製作委員会
https://kuitomete.jp/
★2020年12月18日(金)
posted by shiraishi at 00:59| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月08日

戦車闘争 

sensha-tousou.jpg

監督・撮影・編集:辻 豊史
プロデューサー: 小池和洋
ナレーター:泉谷しげる

ベトナム戦争終盤を迎えていた 1972 年、アメリカ軍は破損した戦車を神奈川県相模原市の在日米陸軍相模総合補給廠で修理し、再び戦地に送るべく横浜ノースドックへ輸送していた。それを知って「アメリカの戦争に日本が加担するなんて許せない!」と憤った市民がノースドック手前の村雨橋で座り込みを敢行、戦車の輸送は断念された。この事件をきっかけに相模総合補給廠の前にはテントが立ち並び、およそ 100 日間におよぶ抗議活動がはじまる。映画『戦車闘争』は、抗議活動参加者、機動隊員、地元商店主、運送会社社員、市議会議員など座り込みをしていた側から彼らを排除する側、活動に巻き込まれてしまった立場までのあらゆる当事者やジャーナリスト、専門家など総勢 54 人の証言によって、日本現代史上希に見る約 100 日間の闘争の顛末を明らかにする白熱のドキュメンタリー映画である。

ベトナム戦争で使われた戦車を相模原市で修理していたことも、それを再び戦地に送ることを阻止しようとした市民がいたことも知りませんでした。いろいろな形で関わった人たちが次々と登場し、当時のことを振り返ります。話を聞いているうちに、座り込みをしていた人たちが一枚岩ではなかったことが分かってきました。同じように阻止しようとしていても、立場が違うと考え方がこんなにも違うのかと驚きます。
また、市民vsアメリカ軍でもなかったことも分かってきます。戦車の修理をしていたのは3500人の日本人技術者たち。座り込んだ人たちを排除しようとしたのは日本の機動隊。そして、車両制限令で重量オーバーだった戦車やトレーラーの通行を禁止できていたのに、「車両制限令は米軍と自衛隊は不適用」と政令改正したのは閣僚たち。その結果、戦車の搬出を請け負った民間の運送業者。さまざまな立場が入り乱れます。
作品の後半は戦車闘争そのものだけでなく、日米安保条約や日米地位協定、そして憲法第九条について、いろいろな立場から解釈が繰り広げられます。岸信介が極東の範囲をふわっとさせて、憲法第九条と日米安保条約を両立させたのに、孫が台無しにしたなどと結構、過激な発言もあり、最後まで興味深いです。(堀)


1969年~1970年頃、高校生だった私はベトナム戦争に反対し、べ平連のデモに何度か参加していた。べ平連は各地の市民がべ平連を名乗り、地域単位だったり、職場単位、学校単位と、様々な形で存在した。そして、あちこちの地域でベトナム戦争に反対しべ平連デモが行われていた。私は同級生に誘われ都内でのデモに参加していたが、この映画にも出てきた小田実さんや吉岡忍さん、和田春樹さんなども参加していたので、いわゆる中心的な行動に参加していたのかもしれない。そのデモにはヘルメットに角棒を持った学生運動の人たちも参加していたこともあったので、「ベトナム戦争に反対する」誰でもが参加自由のデモだったのでしょう。その程度の意識ではあったけど、あの当時は「戦争に反対する」気持ちを持ったたくさんの人たちが行動していた。まだ高校生であまり詳しくは知らなかったけど、一枚板ではなく、それぞれの単位で行動していたように思う。社会党や共産党など党派系、学生運動各派、そして市民運動というように。
ベトナム戦争は1975年に終わったが、その間、日本にあるアメリカ軍の基地からは、ベトナムに向け兵士や武器、戦闘機などが運ばれていた。沖縄からが多かったが、日本各地にある米軍の基地から運ばれていた。その中で相模原市にある在日米陸軍相模総合補給廠から、戦車が修理され運ばれているということがわかり、1972年に相模総合補給廠の門の前にたくさんの人が阻止のため座りこみをしたというのは知ってはいたけど、ここには参加しなかったので、こんな風に党派を超えてたくさんの人たちが座り込んでいたというのは知らなかった。このドキュメンタリーで知った。当時のことを知っている人からすれば、これはすごいことだと思う。「アメリカの戦争に日本が加担するなんて許せない!」という思いは同じでも、その人たちがこの一箇所にまとまって100日もの阻止を続けたというのは画期的なこと。それにしても、この100日間に渡った「戦車闘争」のことは、これまで知られてこなかったことが多いと感じた。当時、どの程度、新聞やTVなどで報道されていたかというと、余り多くなかったと思う。そういう意味でこのドキュメンタリーは大きな役割を果たしている。映像記録として残すことで、バラバラの個人の記憶として残っていた状況を総合的に記録として残し、参加しなかった人や、このことを知らなかった人の記憶にも残っていく。
これを観て、この「アメリカ軍」に対する闘争で闘わされていたのは日本人同士、これは今の辺野古の闘争も通じると思った。反対する市民、機動隊、工事や運搬をする日本人がアメリカ軍のために闘わされている。50年近く前も、今も同じことを繰り返している。経済的に基地に頼らざるを得ない地元の人の思いと、危険との隣り合わせ。米軍と日本政府の対応は変わっていない(暁)。


2020 年/日本/DCP/104 分/ドキュメンタリー
配給:マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム
(C)2020 戦車闘争の映画をつくる会/フィルム・クラフト
公式サイト:https://sensha-tousou.com/
★2020年12月12日(土)より、ポレポレ東中野、あつぎのえいがかんkik他、全国順次ロードショー
posted by ほりきみき at 22:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月06日

レディ・トゥ・レディ

lady to lady poster.jpg

監督・脚本:藤澤浩和
撮影:伊藤麻樹
ダンス監修:堀口史朗、桜田まゆ
出演:大塚千弘(鈴木真子)、内田慈(城島一華)、木下ほうか(木村克己)ほか

生活に追われる主婦・鈴木真子と、売れない独身女優・城島一華は、高校時代にダンスで脚光を浴びた二人だった。同窓会で再会して、クラスメートの前で切った大見栄がきっかけで社交ダンスカップルを組む事に。初めて家庭のためではない自分のために時間を生きる事になった真子と、傷だらけの女優生命を懸けた一華の壮絶な練習の日々が始まった。 かつてのコーチ・木村に師事しつつも簡単には取り戻せない肉体のキレ。 しかしパートナーとの衝突、肉体との対話は確実に二人の人生を変えていく。

女性ペアでの社交ダンスに挑んだ真子(まこ)と一華(いちか)。男女ペアが常識の競技ダンスに新風を吹き込めるのか?!高校卒業以来別々の道を歩んできた二人が、再会して共通の目標に向かっていく元気の出るガールズ・ダンス・ムービーです。
藤沢監督の最新作に、オーディションを経て参加した主演の大塚千弘さん、内田慈さんは息もぴったり、厳しいダンスの特訓も夜を徹しての撮影も乗り越えました。観終わると、こちらも丸めていた背中がぴっと伸びて、ダンスでなくとも楽しいことを探してみよう、新しいことに挑戦してみようと思える作品です。
ダンス・ムービーと言えば、周防正行監督の『Shall we ダンス?』(1996)、映画が大ヒットして社交ダンスが一大ブームになり、2004年にはアメリカでリメイクされたのを思い出します。主演の役所広司さんがストーリーが進むにつれて素敵になっていきました。その映画が大好きという主演の大塚千弘さん、内田慈さんお二人に取材ができました。只今まとめ中です。後少しお待ちくださいませ。
★インタビュー記事アップしました。こちらです。(白)


社交ダンスって男女で踊るものだと思っていましたが、ジュニアは女子同士で組むこともあるとこの作品で知りました。中学生までは一緒に踊っていた2人が久しぶりにペアを組む。バイトをして生計を立てる売れない女優とパートで生計を支える主婦。あの頃はお互いのことを何でも知っていたのに、今は相手のことがさっぱり見えない。そんな2人がダンスのレッスンを通じて、相手のことを理解していく姿は私たちにも置き換えることができるかもしれません。(堀)

社交ダンスの女性ペア。考えてもみなかった発想を映画にした作品に喝采。二人の踊るシーンをみたら、思わずまるまった背中をピシッと伸ばさなくてはと思いました。私自身はダンスは踊らないけど、社交ダンスをすることで、人生に張り合いをみつけようとする二人の姿を見て、思わず応援したくなりました。そして先入観にとらわれず、人から何を言われようと、自分がやりたいこと、信じる道をゆくという行動に対して勇気をもらいました。二人は挫折しそうにもなりながらも、女性同士のダンスの道を歩むことで周りを変えていきます(暁)。

2020年/日本/カラー/90分
配給:トラヴィス
(C)2020 イングス
http://lady-to-lady.net/
★2020年12月11日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

メイキング映像が紹介されています。お二人のダンス特訓シーン!
https://twitter.com/ladytoladymovie
posted by shiraishi at 17:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

天外者(てんがらもん)

tengaeamon pos.jpg

監督:田中光敏
脚本:小松江里子
撮影:山本浩太郎
出演:三浦春馬(五代友厚)、三浦翔平(坂本龍馬)、西川貴教(岩崎弥太郎)、森永悠希(伊藤博文)、森川葵(はる)、蓮佛美沙子(五代豊子)、生瀬勝久(五代徳夫)、筒井真理子(五代やす)ほか

時代を越え、志は未来に生き続ける
五代才助(友厚)は薩摩藩士の家に生まれ、子どものころに父から世界地図を見せられて、我が藩我が国にこだわらない広い視野を持って成長した。激動の幕末に、高杉晋作、坂本龍馬に出逢い、後の明治政府の立役者となる人々との知己を得る。遊女はると知り合った五代は、誰もが夢を見ることのできる国を作ることを念頭におく。藩命により念願であった欧州渡航を果たし、語学と商才を磨く。明治政府役人を経て実業家となり、今日に続く商都大阪の基礎を作り上げ「東の渋沢栄一、西の五代友厚」とも評される功績を挙げた。

“天外者(てんがらもん)”とはすさまじい才能の持ち主のことをいうそうです。2015年のNHKの朝ドラ「あさが来た」でヒロインのあさが尊敬する人物として五代友厚が登場しました。ディーン・フジオカが演じて大人気となり、脚本を書き換えて出演時期を延ばしたと聞いています。「五代ロス」の言葉も生まれましたね。
この才能にあふれ、商才がありながら大義と正義を重んじた人物を三浦春馬さんが演じました。精魂込めて未来への希望を熱く語った彼が、実人生を閉じてしまうとは誰も予想だにしませんでした。完成を観ずに逝ってしまった彼の胸中は想像もつかず、若いのに何故?と惜しくてなりません。
五代友厚の命日の9月25日、五代友厚が初代会頭を務めた大阪商工会議所にて関係者試写会が行われました。田中光敏監督が登壇し感謝の言葉を述べました。春馬さんについての言葉をここに引用します。
「彼はスクリーンの中で、精一杯最高の芝居をしてくれています。春馬くんが僕に、“僕をこの作品に呼んでくれてありがとう”と、言ってくれました。ただ彼が完成した作品を観れないのが、残念です」。最後に「たくさんの方々に観てもらいたいと思っています。大阪から日本、そして世界中の人々が観てもらえるような作品になっていると信じて今日送り出します。ぜひ皆さんのお力をさらに借りて、まわりの方々に広めていただけたらと思います。三浦春馬を始め、それを支えたたくさんの素晴らしい役者たちの最高の演技をぜひご覧ください」(白)


作品としては江戸の終わりから明治半ばまでを描いていますが、歴史の表舞台ではない部分にスポットが当てられ、「そうだったんだ」と興味深い。例えばグラバー邸で有名なトーマス・グラバー。残っている建物は有名ですが、彼本人は何をしていたのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。五代を経済的に大きく支え、それは結果として日本の近代化に大きな手助けとなったことが映画を見るとわかります。
晩年、五代は大阪商法会議所を設立し、初代会頭に就任します。ただ、彼には黒い噂もあって、大阪の財界人たちから非難を浴びました。すると「地位か名誉か金か、いや大切なのは目的だ」と声をあげたのです。偉大な人の先を見据えた行動は理解されにくいのかもしれません。そういえば薩英戦争で捕虜になったときの行動もみなから非難を浴びました。
五代友厚はNHK「あさが来た」でディーン・フジオカが演じたことで知り、思慮深いイメージ持っていました。本作ではそれとは違う、がむしゃらに真っすぐな熱い五代友厚を三浦春馬が見せてくれます。(堀)


私はNHKの朝ドラ「あさが来た」を観てなかったので、五代友厚のことはこの『天外者』を観て、その足跡を知りました。鎖国していた江戸時代から、開国して世の中が大きく変わった明治時代。当時を生きた人たちは、さぞかし面食らったことと思います。激変した世の中に、なかなか対応できなかった人もいるのではないでしょうか。そんな中で、未来を見据えて行動を起こした人たちがいて、今の日本があるのだと、あらためて思いました。
個人的には、本作、薩摩藩の藩主・島津斉彬を演じた榎木孝明さんが一番の楽しみでした。藩で特に役についていない五代に洋行の費用を出すことを反対する側近もいる中、「若者であることは貴重。大きく育てよう」という素敵なお殿様。行動に移そうとする若者を支援する人もまた、夢を見れる国の実現に必要な人なのだと思いました。(咲)


2020年/日本/カラー/109分
配給:ギグリーボックス
(C)2020「五代友厚」製作委員会
https://tengaramon-movie.com/
★2020年12月11日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

■Youtubeリンク
  1、約束編:https://youtu.be/zFO62cP_dmM
  2、決意編:https://youtu.be/Who5KZlKKn0
  3、友情編:https://youtu.be/Qonn32ENUeg
posted by shiraishi at 16:58| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月04日

夏、至るころ 

natsuitarukoro_poster_visual.jpg

原案:監督:池田エライザ 
脚本:下田悠子
撮影:今井孝博 
照明:長沼修二 
録音:菰田慎之介 
美術:松本慎太朗
音楽:西山宏幸
出演:倉悠貴、石内呂依、さいとうなり、安部賢一、杉野希妃、大塚まさじ、高良健吾、リリー・フランキー、原日出子

翔(倉悠貴)と泰我(石内呂依)は高校最後の夏を迎えていた。二人は幼い頃から祭りの太鼓をたたいてきた。だが、泰我が突然、受験勉強に専念するから太鼓をやめると言い出す。ずっと一緒だと思っていた翔は急に立ちすくんでしまう。自分はどうしたらよいのか、わからない……。
息子の将来を気にかける父(安部賢一)と母(杉野希妃)、やさしい祖父(リリー・フランキー)と祖母(原日出子)、かわいい弟。あたたかい家族に囲まれると、さらに焦りが増してくる翔。ある日、祖父のお使いでペットショップを訪れた翔は、ギターを持った不思議な少女・都(さいとうなり)と出会う。彼女は音楽をあきらめて東京から故郷に戻ってきていた……。

本作は地域の「食」や「高校生」とコラボした美味しい青春映画制作プロジェクト『ぼくらのレシピ図鑑』の第二弾として、福岡県田川市を舞台にして作られました。池田エライザ監督は地元でのオーディションやワークショップにも参加したそう。
翔を演じたのは映画初主演の倉悠貴。映画『樹海村』(清水崇監督)、『街の上で』(今泉力哉監督)、主演作『衝動』(土井笑生監督)の公開が控えています。泰我役には全国2012人の中からオーディションで選ばれた石内呂依。
主人公の父親役には大分県出身で、『ガチ☆星』の主演を務めた安部賢一、母親役は自身もプロデューサーや監督として評価の高い杉野希妃、祖父役に是枝作品常連のリリー・フランキー、祖母役に2019年、映画『鈴木家の嘘』(野尻克己監督)で第33回高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞した原日出子と実力派が脇をがっちり支えています。
翔は将来を決める時期に差し掛かったけれど、どうしたらいいかわからない。両親は幸せになりなさいと言ってくれるけれど、幸せって何だろうと悩みます。18歳には難しいですよね。私がその年齢の頃、高校の先生から「今はまだ決められなくて当然。だからこそ、親御さんが大学に進学してもいいといってくれるなら、モラトリアム期間として、もう4年、自由に過ごしてみたら」と言ってくれたのを思い出しました。
悩んだ翔は祖父や母に幸せって何?と聞くのですが、2人の答えに胸がほっこりしました。特にリリー・フランキー演じる祖父の答えは妻にとって最高の言葉でした。あ~私もそんな風に言われてみたい!(堀)


池田エライザさんの出演作を高校生役から観ていて、いろんな顔を見せる方だなぁと思っていましたが本作では初監督。きちんと作られた青春映画でした。これまでのモデルや女優の経験も生かして、出演者によりそって作られたのでしょう。ベテラン俳優陣が初々しい初主演の二人を盛り立てていました。さいとうなりさんの不思議少女も独特。映画と同じく一生忘れられない夏になったはず。
太鼓は三味線と同じくなぜか心ざわつかせるのですが、この作品でも始まりからラストまでストーリーを貫く役割を果たしています。同じ福岡が舞台の『無法松の一生』松五郎の男気あふれる太鼓を思い出しました。(白)


2020年/104分/G/日本
配給:キネマ旬報DD 映画24区
©2020「夏、至るころ」製作委員会
公式サイト:http://www.natsu-itarukoro.jp/
★2020年12月4日(金)公開
posted by ほりきみき at 18:46| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする