2019年06月16日

シネマ歌舞伎『鷺娘/日高川入相花王』

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『鷺娘』配役
鷺の精:坂東玉三郎

『日高川入相花王』配役
清姫:坂東玉三郎
人形遣い:尾上菊之助
船頭:市川九團次

「鷺娘」
しんしんと雪の降る水辺の柳の下に、蛇の目傘を差した白無垢姿の娘がひとり佇んでいます。娘は実は道ならぬ恋に悩む白鷺の精。一途な恋心を綴っていきますが、いつしか白鷺の姿に戻った娘は、遂げられぬ恋に苦しみもがき、降りしきる雪の中息絶えるのでした。(2005年5月歌舞伎座公演)

同時上映「日高川入相花王」
恋する安珍を追って日高川の渡し場にたどり着く清姫ですが、船頭は川を渡してくれません。安珍への嫉妬と恨みの激情を燃やす清姫はついに。(2005年10月歌舞伎座)

「鷺娘」
坂東玉三郎が人間に恋した白鷺の精に。舞台上で一瞬に衣装を変える引き抜き、上半身の衣装を裏返すぶっかえりなどがあり、華やかで飽きのこない演目。ラストの白い衣装はアップの時に鷺の羽の模様が見える。数十キロにも及ぶ衣裳や鬘をつけて踊り続けるのは大変。2009年以降全編を踊ることはないそう。

「日高川入相花王」
坂東玉三郎が清姫を人形として演じる。顔の傾け方や手の動かし方、ちょっとぎくしゃくした感じが人形そのもの!人形遣い役との呼吸もぴったり。無表情なのにその動きで感情まで伝える。大蛇となり大海を渡る場面は荒ぶる感情が爆発。鬼のお面にも感情が宿る。(堀)


配給:松竹
公式サイト:https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/02/
★2019年6月21日(金)~7月4日(木)東劇ほか全国にて2週間限定上映
posted by ほりきみき at 00:28| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

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監督:野口照夫(実写パート)・山本清史(エオルゼアパート)
脚本:吹原幸太
原作:「一撃確殺SS日記」(マイディー)/ ファイナルファンタジーXIV(スクウェア・エニックス)
出演:坂口健太郎、吉田鋼太郎、佐久間由衣、山本舞香、前原 滉、今泉佑唯、野々村はな、
和田正人、山田純大、佐藤隆太、財前直見
声の出演:南條愛乃、寿美菜子、悠木碧

自分が子供の頃から、何を考えているのか全く分からなかった父の背中を見て、心の中でそうつぶやくアキオ(坂口健太郎)。仕事一筋で単身赴任中だった父(吉田鋼太郎)が、突然会社を辞めて家に帰って来たのだ。母と妹も一日中ボーっとテレビを見ている父を、遠巻きに眺めている。父の本音を知りたい、そんな願いに突き動かされたアキオに、ある計画が閃く。アキオの得意なオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の世界に父を誘導し、自分は正体を隠して、共に冒険に出るのだ。その名も〈光のお父さん計画〉!アキオは顔も本名も知らないゲーム仲間たちに協力を呼び掛け、励まされる。だが、この時のアキオは思いもしなかった。父に家族も知らない意外な顔があるとは。

子どもとの距離感は難しい。ましてや家庭を妻に任せてきた父親には。何とかしたい。でも、どうしたらいい?
子どもも実は同じようなことを考えて、きっかけを探しているのかもしれない。普遍的な問題をオンラインゲームで立場を隠して繋がり、クリアした息子が書いた人気ブログの映画化。
親子では面と向かって話せないことも他人ならさらっと話せることがある。息子は素性を隠してネットで父と繋がり、家族への思いを知った。思いがあれば必要なのはきっかけ。親子だからのもどかしさを坂口健太郎と吉田鋼太郎がちょっと笑わせ、でもしみじみと絶妙なバランスで演じ、共感を紡ぎ出す。(堀)


2019年/日本/カラー/114分
配給:ギャガ 
©2019「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」製作委員会 
©マイディー/スクウェア・エニックス
公式サイト:https://gaga.ne.jp/hikarinootosan/
★2019年6月21日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
posted by ほりきみき at 00:15| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月15日

ある町の高い煙突 

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監督:松村克弥
原作:新田次郎
脚本:松村克弥、渡辺善則
撮影:辻智彦
音楽:小野川浩幸
出演:井手麻渡、渡辺大、小島梨里杏、吉川晃司、仲代達也

1910年、茨城県久慈郡入四間の裕福な地主の家に生まれ育った関根三郎(井手麻渡)は、ノルウェー人の鉱山技師から「この美しい村は大きく変わるかもしれません」と告げられる。隣村の日立鉱山が大量の銅を生産しているため、煙害が拡大するだろうというのだ。
鉱山から出ている黄色い煙は亜硫酸ガスで、松や杉、栗に蕎麦、大麦小麦など、植物から作物まで何もかも枯らしてしまう。村の権力者である三郎の祖父の兵馬(仲代達矢)は事態を重く見て、分家の恒吉(伊嵜充則)を連れて鉱山会社へ掛け合いに行くが、「補償はするが煙害は我慢してくれ」と言われてしまう。
30年前に村長だった兵馬は採掘の権利料で村が潤い、農家の次男三男の働き口にもなると考えて許可したのだが、今となっては深く後悔していた。そのことを遺言のように三郎に告げた直後に倒れ、5日後に亡くなってしまう。三郎は祖父の遺志を継ぎ、進学も外交官になる夢も捨てて、煙害と闘うことを決意する。

今から100年前、日立鉱山から出る亜硫酸ガスの煙害に苦しんだ住民と企業が補償交渉を繰り返す中で100mもの煙突を立てることに行き着くまでを描く。農家の次男三男の働き口になると採掘を許可した村の名士が自分の判断を後悔し、煙害を無くす交渉を孫に託し、孫も外交官になる夢を諦めて祖父の跡を継ぐ。企業側も営利に走らず、より良い方向を探ろうとした。これは実話を基にしたという。煙突により煙害をなくした上で植樹を重ねるという両者の協力により、枯れた山が緑を取り戻す。
環境汚染は今も昔も抱える問題。今もどこかで起きている。最初から汚染がないに越したことはないが、汚染が起きてしまっても、その後の対応次第では元に戻せることもあるのだ。
お金で補償すれば済むことではない。100年前に奔走した人々の姿を描くことで、現代の私たちがすべきことを示唆する。お金を手にしたばかりに不幸になった家族の話は他人事ではない。(堀)


2019年/日本/カラー/シネマスコープサイズ/5.1ch/130分
配給:エレファントハウス/Kムーブ
(C) 2019 Kムーブ
公式サイト:https://www.takaientotsu.jp/
★2019年6月22日(土)有楽町スバル座ほか全国ロードショー
(ユナイテッド・シネマ水戸、シネプレックスつくば 6月14日(金)先行公開)


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あいが、そいで、こい

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監督:柴田啓佑
脚本:村上かのん
撮影:神野誉晃
音楽:Less is More
出演:小川あん、髙橋雄祐、長部努、古川ヒロシ、廣瀬祐樹、中垣内彩加、山田雅人

2001年の夏、海辺の田舎町に住む高校生・萩尾亮は、同級生の学、小杉、堀田と共に高校最後の夏休みを過ごすことになった。
ある日、イルカの調教師を夢見て台湾からやってきた留学生・王佳鈴(ワンジャーリン)と出逢う。イルカや海を嫌う亮はリンと対立するが、彼女の来日した本当の想いを知ったことをきっかけに心を通わせることとなる…。

恋のきっかけは予想だにしないところから生まれるもの。高校最後の夏。嫌々始めたバイトで知り合った台湾人少女と反発してし合いながらも惹かれていく。それを不安げに見つめる幼馴染の少女。ヤキモキすればするほど主人公は彼女に惹かれてしまう。幼馴染の辛さに共感。悪友の恋。それを肴にして盛り上がる友情。楽しい夏も思いがけない事件で終わりを告げる。やりきれない悲しみも仲間がいれば乗り越えられる。(堀)

2018年/日本/カラー/シネマスコープ/ステレオ/115分
配給:ENBUゼミナール
©ENBUゼミナール
公式サイト:http://aigasoidekoi.com/
★2019年6月22日より、新宿K’s Cinemaにて3週間上映、他全国順次ロードショー


posted by ほりきみき at 23:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カスリコ

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監督:高瀨將嗣
脚本:國吉卓爾(『カスリコ』第26回新人シナリオコンクール 特別賞 大伴昌司賞準佳作)  
撮影:今泉尚亮
音楽:辻 陽
出演:石橋 保、宅麻 伸、中村育二、山根和馬、鎌倉太郎、金児憲史、高橋かおり、高橋長英、小市慢太郎、西山浩司、高杉 亘、伊嵜充則、及川いぞう、西村雄正、大家由祐子、池上幸平、服部妙子

高知一と言われた板前の岡田吾一(石橋保)は賭博にのめり込んだ挙句に店を手放し、途方に暮れていた。そんなとき、ヤクザの荒木五郎(宅麻伸)から「カスリコ」の仕事を紹介され、常連客の引き立てや商売人の才覚もあり、少しずつカスリを増やしていく。
三年の歳月が流れ、すっかり賭博をやめた吾一は荒木から再び店を始めるよう勧められた。開店準備に取り掛かり、ようやく再起の道が見えた吾一に、再び思いもよらぬ事態が訪れてしまう。 吾一はどん底の己の人生に勝つため、最後の大勝負に挑んだ。

舞台は昭和40年代の土佐。タイトルのカスリコとは、賭場で客の世話や使い走りをして、僅かなご祝儀をめぐんでもらう下仕事。
手本引きと呼ばれる賭博で店を潰した板前が見栄を捨てて、カスリコとなって一からやり直す。当時を完璧に再現し、白黒で見せる映像は昭和の男のロマンたっぷりに展開。実直そうだが、大きな決断を厭わない主人公に石橋保。その主人公に目をかけるヤクザに宅麻伸。渋い着物姿が懐の深さを感じさせた。
ところで、原作は第26回新人シナリオコンクール準佳作受賞作。書いたのは高知在住の國吉卓爾で、放蕩三昧だった若い頃に目にした、賭場の人間模様を基にシナリオを執筆したという。70歳で初めて書いたシナリオがコンクールで受賞したのだから驚きである。「もう歳だから」は言い訳に過ぎない。いつからでも始められると背中を押された気がする。(堀)


2018年/日本/モノクロ/ビスタサイズ/5.1ch/114分
配給:シネムーブ/太秦
(C) 2018 珠出版
公式サイト:http://kasuriko.com/index.php
★2019年6月22日(土) ユーロスペースほか全国順次公開

posted by ほりきみき at 23:30| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする