2024/10/12〜10月下旬 ポレポレ東中野にて上映
10/12(土)〜18(金) 11:50 10/19(土)〜25(金) 9:50
※10/26以降上映未定
新・しんとく空想の森映画祭にて上映10月12日(土)~14日(月・祝) 映画祭情報
一人追込み漁でグルクンを捕る
製作:森の映画社
プロデューサー:藤本幸久
共同監督:藤本幸久・影山あさ子
撮影:藤本幸久 栗原良介 中井信介 大島和典 酒村多緒
水中撮影:新田勝也 栗原良介
録音:藤本幸久
グレーディング:村石誠
編集:藤本幸久 影山あさ子
音楽・ナレーター:川本真理
ゼロ歳で沖縄戦を生き延びた本島北部国頭村(くにがみそん)の漁師、勝ちゃん(山城善勝さん)。「一人追込み漁」を編み出し、数百キロのグルクン(タカサゴ)の群れをたった一人で捕る、世界でただ一人の人。米軍占領下で始まった沖縄の戦後。6歳の少女が米兵に殺された由美子ちゃん事件(1955年)、宮森小学校米軍機墜落事故(1959年)、コザ暴動(1970年)など、沖縄の戦後史と勝ちゃんの半生を重ね合わせて描く。まさに勝ちゃんの半生は、沖縄の庶民の戦後そのもの。
1944年10月4日生まれの勝ちゃん、生まれて6日後に沖縄戦の最初の大規模空襲「10・10空襲」がありました。 逃げ込んだガマで日本兵に「子供を黙らせろ(殺せ)」と言われた勝ちゃんの両親は、勝ちゃんを抱いてガマを出て米軍の捕虜となり生き延びた。
沖縄戦を生き延びた人たちのことを沖縄では「艦砲ぬ喰ぇー残さー(かんぽうぬくぇーぬくさー) 」と言うそうです。「艦砲射撃の喰い残し」と言う意味。勝ちゃんもその一人です。戦後、焼け野原となった沖縄で、陸のものは全て焼かれ、土地も畑も米軍基地にとられ、食べるものは海の物しかありませんでした。生き延びため漁師になった。勝ちゃんの原点です。
日本/2024年/98分
文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会助成作品
<イベント情報> ポレポレ東中野にて
藤本幸久監督+スペシャルゲストによるトーク開催!監督のみの来場日もあり!
10/12(土)11:50の回上映後 トークイベント<登壇>
原一男(映画監督) × 藤本幸久、影山あさ子(監督)
10/13(日)11:50の回上映後 トークイベント<登壇>
金平茂紀(ジャーナリスト) × 藤本幸久(監督)
10/14(月祝)11:50の回上映後 トークイベント<登壇>
土井敏邦(ジャーナリスト/ドキュメンタリー映画監督)×藤本幸久(監督)
10/15(火)〜18(金)各日11:50の回上映後
10/19(土)&20(日)各日9:50の回上映後
舞台挨拶<登壇>藤本幸久(監督)
詳細はこちら
2024年10月06日
2024年10月03日
本を綴る
監督・総合プロデュース:篠原哲雄
脚本:千勝一凛
撮影:上野彰吾、尾道幸治
音楽:GEN
主題歌:ASKA 「I feel so good」
出演:矢柴俊博(一ノ関哲弘)、宮本真希(石野沙夜)、長谷川朝晴(小笠原功ニ)、加藤久雄(平野源次)、 遠藤久美子(朝比奈花)、川岡大次郎(北野豊人)、石川恋(伊達夕夏)、丈(結城文博)、米野真織(岩佐美玖)
一ノ関哲弘はベストセラーもある小説家だが、あることがきっかけで小説が書けなくなった。今は全国の書店を巡りながら、書評やコラムを書くのが本業となった。旅先で出会う人や本はまさに一期一会、刺激を受け暖かいもので胸を満たしながら、書けなくなった自分と向き合っている。那須の図書館司書の石野沙夜と出会い、森の中の書店で一冊の古書を手にとった。中には宛名を書いた恋文が挟まれていて、一ノ関は京都にいるらしいその宛名の人へ届けようと思い立つ。ちょうど京都には学生時代からの友人がいた。
書けなくなった作家一ノ関哲弘を矢柴俊博さん。帽子も書店で本の相談にのる姿もよくお似合いでした。書けなくなった原因は少し後で明かされますが、悩んだり苦しんだりしたことで、思いが深く広くなったんじゃないでしょうか。作家さんはどんなことも栄養にして、作品に生かすことができますよね。映画にもほかの仕事にも通じるかもしれません。よく言われますが、人生無駄なことなんてない。
東京都の書店は8割も閉店してしまったそうです。なんだかあちこち消えてしまった感がありましたが、そんなに!と驚きました。2021年、東京都書店商業組合が「一人でも多くのお客様に足を運んで貰えるように」と、YouTubeチャンネルを開設しました。取材を続けるうちに書店にまつわるドラマを制作することになりました。2022年『本を贈る』という短編のドラマ9話が完成し、2022年2月25日より配信中です。そちらを元に映画版もできて、このたび劇場公開となりました。全国にある本屋さん、図書館、本を好きな方々に観ていただきたいロードムービーです。本は書棚であなたが来てくれるのを待っています。(白)
初日舞台挨拶@K’sシネマ
左より千勝一凛(脚本)、長谷川朝晴、矢柴俊博、宮本真希、篠原哲雄監督
左より千勝一凛(脚本)、長谷川朝晴、矢柴俊博、宮本真希、篠原哲雄監督
2023年/日本/カラー/ビスタ/107分
配給:アークエンタテインメント
(c)ストラーユ
http://honwotsuzuru.com
★2024年10月5日(金)新宿K's cinemaほか全国ロードショー
●YouTubeドラマ『本を贈る』はこちら。(約10分~15分×9話、『本を贈る』)
●YouTubeチャンネル「東京の本屋さん ~街に本屋があるということ~」はこちら。中でも松岡茉優さんの「推し本のプレゼン」が熱いです。思わず、本屋さんへ走ってしまいそう。
◆クラウドファンディング実施中!(2024年10月31日 23:59まで)
https://motion-gallery.net/projects/honwotsuzuru
HAPPYEND
監督・脚本:空音央
撮影:ビル・キルスタイン
音楽:リア・オユヤン・ルスリ
出演:栗原颯人(ユウタ)、日高由起刀(コウ)、林裕太(アタちゃん)、シナ・ペン(ミン)、ARAZI(トム)、祷キララ(フミ)、中島歩(岡田先生)、矢作マサル(校長秘書)、PUSHIM(コウの母・福子)、渡辺真紀子(ユウタの母・陽子)、佐野史郎(長井校長)
XX年後の日本。高3のユウタとコウは幼馴染で大親友。アタちゃんやミンやトム、いつもの仲間とふざけあって楽しい毎日を送っている。ある晩こっそり学校に忍び込んだユウタとコウは、とんでもないいたずらをした。翌朝、長井校長は怒り心頭。誰も名乗り出ないので学校中に監視カメラがしかけられた。生徒たちは反発し大騒動になる。
この事件をきっかけに、コウは自分の将来や社会について深く考えるようになった。早くから学校外で活動しているフミともよく話す分、これまで通りでいたいユウタと距離ができてしまう。
自由で物事に頓着しないユウタ。コウはもっとまじめ。高3にしてはのんびりした高校生活のシーンが続きます。「こら!」ではすまないいたずらにはびっくり。どうやったの?
AIを使った監視カメラの映像が登場して、ああ先の設定なんだなとわかります。今でも公開されていないだけで、監視カメラはどこにでも設置されているのでしょう。それが学校内のすみずみまで映し出し、成績にまで関わってきたら?それは御免こうむりたいです。力で抑え込もうとする校長は、誰かに似ていませんか?
そんな設定の中で揺らいでいく仲間たちとの関わりや友情が描かれています。生徒役のほとんどが映画初出演、初長編の空監督は映像にとどまらず多方面で活躍、スタッフも国際色豊かです。風通しの良い感じがするのはそのせいでしょうか?
人は変わっていくし、友情もなくなるかもしれない。でもなかったことにしなければ、思い出の場所はちゃんとあるはず。
ほとんど一目ぼれでキャスティングしたというフレッシュな俳優たち、主演の栗原颯人(ユウタ)、日高由起刀(コウ)も映画初出演です。撮影が進むにつれて5人はすっかり仲良くなり、監督はとても嬉しかったとか。(白)
仲良し5人組と空音央監督(オフィシャル画像)
2024年/日本、アメリカ/カラー/113分
配給:ビターズ・エンド
(C)Music Research Club LLC
https://www.bitters.co.jp/HAPPYEND/
https://x.com/HAPPYEND_mv
https://www.instagram.com/happyend.movie
★2024年10月4日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
2024年09月22日
Viva Niki タロット・ガーデンへの道
2024年9月25日より東京写真美術館ホール、9月27日よりシネスイッチ銀座ほか
全国順次公開 劇場情報
彫刻庭園「タロット・ガーデン」を巡るドキュメンタリー
監督・撮影・脚本:松本路子
ナレーション:小泉今日子
編集:池田剛 音楽監修:青柳いづみこ
オリジナルエンディング曲:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)
「ナナ」シリーズなど、カラフルでエスプリあふれる女性像で知られるフランス生まれのアーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)。
70年代に女性解放運動の女性たちや第一線で活動する石岡瑛子、オノ・ヨーコ、草間彌生をはじめ女性アーティストの肖像も撮り、「のびやかな女たち」(1978)という写真集を出版した写真家の松本路子さん。世界で活躍する女性アーティストに目を向け、80年代、スウェーデンで制作された巨大な女性像「ホーン」のことを知り、ニキ・ド・サンファルに出会ったのは1981年。
既成の価値観と闘い続けた20世紀最初のフェミニスト・アーティストとも呼ばれるニキ・ド・サンファルに魅了された松本さんは、ニキの大胆にして繊細、何よりも自由な発想と遊び心に魅せられ写真撮影を続け、1986年には写真集「ニキ・ド・サンファール」(パルコ出版)を出版。以来10数年にわたり、ヨーロッパ各地で作家と作品を撮影しつづけていた。
そんな松本さんが、「人生でやり残したことは何だろう?」と考えたとき、「ニキが構想を語ってくれたタロット・ガーデンの完成した姿を観ていない」ということを思い出し、本作品を製作した。2018年から始め、途中、コロナ禍で中断したが、今年完成。二人のたどってきた道が交差し、過去から現代、そして未来に向けての歴史をつなぎ、ニキ・ド・サンファルの軌跡を伝える作品ができた。
下記公式HPより
ニキ・ド・サンファルはフランス貴族の娘として誕生。女性としての様々な困難を怒りと共にアートに反映させてきた時代を経て、開放感に包まれた女性像「ナナ」シリーズを創作。20世紀のヴィーナスとも呼べるカラフルで陽気なナナは徐々に巨大化していく。さらに遊び心あふれる数々の野外彫刻や建造物を創り、その集大成として生まれたのが「タロット・ガーデン」である。イタリアはトスカーナのオリーブの森にあるこの彫刻庭園には、大アルカナのタロットカード22枚の寓意画が彫刻や建物として作られている。奇想天外で愉快なマジカルワールドは、だれもがワクワクする空間となっており、現在も多くのファンが訪れている。
私も1975年頃から女性解放運動の写真を撮り始め、運動に参加していました。松本さんは写真家として参加していたのでしょうが、私は運動に参加しながら記録として撮っていました。松本さんにも数回、出会いました。松本さんは1978年に「のびやかな女たち」を出しているので、私とはすれ違いだったと思います。私は1975年から1989年頃まで彼女たちのことを撮っていました。
「のびやかな女たち」のあと、何度か松本さんの写真展にも行き、ニキ・ド・サンファルのことを知りました。なんだか不思議な創造物を創る人だなと最初は思ったのですが、色彩の美さ、形、表現のユニークさにとても惹かれていきました。松本路子さんが、集大成であるこの映画を作ったと知り、これはどうしても観なくてはと思いました。ニキ・ド・サンファルのタロット・ガーデンについては、他にもドキュメンタリーで観たことはあるけど、20年かかって創ったニキ・ド・サンファルの仕事を、このタロット・ガーデンの構想から聞いていた松本さんの視点で描いたのは、また興味深い。それにニキだけでなく、娘さん、お孫さん、その他、ここの制作に関わった人達にも取材している。よりいっそうタロット・ガーデンの成り立ちについて知ることができる(暁)。
【公式サイト】https://nikifilm-project.com/
製作:ニキの映画を創る会
助成:ポーラ美術振興財団、クラウドファンディングPLAN GO、藤田晴子の会、上野千鶴子基金
後援:ニキアート財団 グラフィックデザイン:辛嶋陽子
配給・宣伝:ミモザフィルムズ 宣伝協力:クレスト
2024年/日本/日本語/76分/カラー&モノクロ/1.78:1/ステレオ
全国順次公開 劇場情報
彫刻庭園「タロット・ガーデン」を巡るドキュメンタリー
監督・撮影・脚本:松本路子
ナレーション:小泉今日子
編集:池田剛 音楽監修:青柳いづみこ
オリジナルエンディング曲:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)
「ナナ」シリーズなど、カラフルでエスプリあふれる女性像で知られるフランス生まれのアーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)。
70年代に女性解放運動の女性たちや第一線で活動する石岡瑛子、オノ・ヨーコ、草間彌生をはじめ女性アーティストの肖像も撮り、「のびやかな女たち」(1978)という写真集を出版した写真家の松本路子さん。世界で活躍する女性アーティストに目を向け、80年代、スウェーデンで制作された巨大な女性像「ホーン」のことを知り、ニキ・ド・サンファルに出会ったのは1981年。
既成の価値観と闘い続けた20世紀最初のフェミニスト・アーティストとも呼ばれるニキ・ド・サンファルに魅了された松本さんは、ニキの大胆にして繊細、何よりも自由な発想と遊び心に魅せられ写真撮影を続け、1986年には写真集「ニキ・ド・サンファール」(パルコ出版)を出版。以来10数年にわたり、ヨーロッパ各地で作家と作品を撮影しつづけていた。
そんな松本さんが、「人生でやり残したことは何だろう?」と考えたとき、「ニキが構想を語ってくれたタロット・ガーデンの完成した姿を観ていない」ということを思い出し、本作品を製作した。2018年から始め、途中、コロナ禍で中断したが、今年完成。二人のたどってきた道が交差し、過去から現代、そして未来に向けての歴史をつなぎ、ニキ・ド・サンファルの軌跡を伝える作品ができた。
下記公式HPより
ニキ・ド・サンファルはフランス貴族の娘として誕生。女性としての様々な困難を怒りと共にアートに反映させてきた時代を経て、開放感に包まれた女性像「ナナ」シリーズを創作。20世紀のヴィーナスとも呼べるカラフルで陽気なナナは徐々に巨大化していく。さらに遊び心あふれる数々の野外彫刻や建造物を創り、その集大成として生まれたのが「タロット・ガーデン」である。イタリアはトスカーナのオリーブの森にあるこの彫刻庭園には、大アルカナのタロットカード22枚の寓意画が彫刻や建物として作られている。奇想天外で愉快なマジカルワールドは、だれもがワクワクする空間となっており、現在も多くのファンが訪れている。
私も1975年頃から女性解放運動の写真を撮り始め、運動に参加していました。松本さんは写真家として参加していたのでしょうが、私は運動に参加しながら記録として撮っていました。松本さんにも数回、出会いました。松本さんは1978年に「のびやかな女たち」を出しているので、私とはすれ違いだったと思います。私は1975年から1989年頃まで彼女たちのことを撮っていました。
「のびやかな女たち」のあと、何度か松本さんの写真展にも行き、ニキ・ド・サンファルのことを知りました。なんだか不思議な創造物を創る人だなと最初は思ったのですが、色彩の美さ、形、表現のユニークさにとても惹かれていきました。松本路子さんが、集大成であるこの映画を作ったと知り、これはどうしても観なくてはと思いました。ニキ・ド・サンファルのタロット・ガーデンについては、他にもドキュメンタリーで観たことはあるけど、20年かかって創ったニキ・ド・サンファルの仕事を、このタロット・ガーデンの構想から聞いていた松本さんの視点で描いたのは、また興味深い。それにニキだけでなく、娘さん、お孫さん、その他、ここの制作に関わった人達にも取材している。よりいっそうタロット・ガーデンの成り立ちについて知ることができる(暁)。
【公式サイト】https://nikifilm-project.com/
製作:ニキの映画を創る会
助成:ポーラ美術振興財団、クラウドファンディングPLAN GO、藤田晴子の会、上野千鶴子基金
後援:ニキアート財団 グラフィックデザイン:辛嶋陽子
配給・宣伝:ミモザフィルムズ 宣伝協力:クレスト
2024年/日本/日本語/76分/カラー&モノクロ/1.78:1/ステレオ
2024年09月15日
ぼくが生きてる、ふたつの世界
監督:呉美保
原作:五十嵐大「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」と改題して7月に再販 (幻冬舎文庫 い 74-1)
脚本:港岳彦
撮影:田中創
出演:吉沢亮(五十嵐大)、忍足亜希子(五十嵐明子)、今井彰人(五十嵐陽介)、ユースケ・サンタマリア(河合幸彦)、烏丸せつこ(鈴木広子)、でんでん(鈴木康雄)
宮城県の小さな港町で暮らす、五十嵐家に男の子が誕生した。大と名付けられて優しい両親や祖父母に愛情いっぱいに育てられる。祖父母はきこえるが、両親は二人とも耳がきこえない。きこえる大は大好きな母の通訳をすることが喜びで「普通」のことだった。しかし、小学生になるとほかの子の母親と違うことがわかり、参観日のお知らせも見せないまま捨ててしまう。中学生から母と距離をとるようになり、高校進学のときに母に不満や怒りをぶつけてしまう。
無為な日々を過ごしながら20歳になり、父の後押しもあって上京する。バイト先のパチンコ屋でめっぽう明るいろう者のおばさん智子に出逢った。誘われた手話のサークルで「きこえない親の子どもをコーダ(*)と呼び、日本に2万数千人もいること」を知る。
*コーダ(CODA, Children of Deaf Adults)とは、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どものことを指す
『そこのみにて光輝く』(2014)『きみはいい子』(2015)呉美保(お みぽ)監督9年ぶり長編監督作。出産と子育てのため、長編映画の制作から遠ざかっていましたが、プロデューサーからの声かけで復帰。呉監督が一貫して撮り続けている家族がテーマです。今回はろう者の両親とコーダの一人息子の28年間の物語。
きこえない人は外から見てわかりません。後ろから来た車がクラクションを鳴らしても気づきません。幼い大が車道側を歩く母をひっぱるシーンがあります。母親は息子を守って車道側にいるわけで、この守り守られが映画の進行と一緒に変化していきます。
両親はじめ、ろう者役はすべてろう者の俳優をキャスティング。これからも出番が増えるといいですね。主演の吉沢亮さんは手話を一から学びましたが、表現を抑えめにしてきたこれまでの演技と違い、伝わること第一の手話は身振りや表情を大きく動かします。一つひとつに意味があって戸惑ったそうです。住んでいる地域、家庭など立場によっても微妙に異なる手話を、演技と共にとてもナチュラルに表現していたと指導された方も絶賛。中学生から大人になるまでの成長ぶりにもどうぞご注目ください。
手話が登場するドラマや映画がヒットすると、しばらくの間関心が高まり学ぶ人が増えるようです。もう一つの日本語として「手話と点字」を学校や公共の施設などで学べたならもっと広まるのになぁ。(白)
2024年/日本/カラー/105分
配給:ギャガ
(C)五十嵐大/幻冬舎 (C)2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
https://gaga.ne.jp/FutatsunoSekai/
★2024年9月20日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ードショー