2021年11月28日

彼女が好きなものは

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監督・脚本:草野翔吾
原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫)
撮影:月永雄太
出演:神尾楓珠(安藤純)、山田杏奈(三浦紗枝)、前田旺志郎(高岡亮平)、三浦獠太(小野雄介)、池田朱那(今宮くるみ)、三浦透子(佐倉奈緒)、渡辺大知(近藤隼人)、山口紗弥加(安藤みづき)、磯村勇斗(Mr.ファーレンハイト)、今井翼(佐々木誠)

⾼校⽣の安藤純は⾃分がゲイであることを隠している。ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝が、男性同⼠の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇。BL好きを隠している紗枝から「誰にも⾔わないで」と口止めされ、そこから2人は急接近。しばらしくて、純は紗枝から告白される。「⾃分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」。
一縷の望みをかけ、純は紗枝の告⽩を受け⼊れ、付き合うことになったのだが…。

高校生の恋愛ものにひとひねり。最近あちこちで見かける神尾楓珠くん(濃いイケメンなので目にとまる)がゲイであることで悩む男子高校生。映画初主演。今ドラマ「顔だけ先生」主演でも注目されています。『ミスミソウ』(2018)で仰天させられた山田杏奈さん溌剌としていて制服姿も可愛いです。純の親友亮平役に前田旺志郎くん、ついこの前『うみべの女の子』でも見たばかりで、転校してきたの?と思ってしまうくらい、高校生役がはまります。それもこんな友達がいてほしいというタイプ。つっかかる隼人も正直。
”ふつう”でいたい純が悩むのを母親が必死で支えようとしていて、つい母親の気持ちになって自分ならどうするかと考えてしまいます。紗枝も一時引いてしまいますが、なんとか立ち直ります。今井翼さん演じる佐々木誠には、もっと大人なりの対処の仕方があったのでは、と不満。それもストーリーのうちですが、ハリセンで叩いてやりたいと思ってしまうのは私だけ?(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/121分
配給:バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース
(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
https://kanosuki.jp/
★2021年12月3日(金)ロードショー

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2021年11月27日

CHAIN チェイン

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監督:福岡芳穂
脚本:港岳彦
撮影:栢野直樹
音楽:中城隆
出演:上川周作(山川桜七郎)、塩顕治(斎藤一)、池内祥人(松之助)、村井崇記(藤堂平助)、佐々木詩音(大石鍬次郎)、延岡圭悟(窪川藤次)、松本薫(惣吉)、和田光沙(お染)、辻凪子(お鈴)、土居志央梨(花香太夫)、駒野侃(永倉新八)、宮本伊織(原田左之助)、東山龍平(中岡慎太郎)、山本真莉(つる)、鈴川法子(ふね)、水上竜士(萱野長修)、福本清三(水野弥三郎)、大西信満(土方歳三)、山本浩司(近藤勇)、渋川清彦(武田観柳斎)、高岡蒼佑(伊東甲子太郎)

幕末・京都。会津を脱藩した浪人山川桜七郎は、賭場の用心棒として雇われていた。賭場の胴元、侠客・水野弥三郎に御陵衛士の篠原泰之進、藤堂平助が資金繰りの相談をしている時、九州の菓子屋の息子・松之助が賭け金の持ち逃げで引っ立てられてくる。同郷と知った篠原が松之助を救い藤堂らと出ていこうとした時、陰間乞食・惣吉が襲い掛かり、咄嗟に篠原は惣吉の脇腹を斬るが、同時に用心棒の桜七郎が藤堂の前に立ちはだかった。藤堂は刀を交える中で桜七郎に対し侍としての共感を抱き、御陵衛士への合流を誘う。しかし桜七郎は無言で去る。片や松之助は屯所の下男として御陵衛士盟主・伊東甲子太郎始め仲間たちから快く迎え入れられる。そんな様子を、斎藤一がじっと見つめていた。

「京都芸術大学映画学科」プロジェクト【北白川派】第8弾。1867年11月18日に起こった新撰組終焉の象徴“油小路の変“を、よく知られた人物でなく、新しく浪人山川桜七郎を作り出して中心において描いています。このときの時代背景や暗殺にいたるまでは、新撰組に詳しい方々ならよくご存知かと思います。私は池田谷事件は知っていても、伊東甲子太郎が謀殺されたこちらは知りませんでした。新撰組は脱退が禁じられていたので、分離したと見せて御陵衛士を立ち上げたけれども、結局粛清されたということのようです。
現在の油小路に突如侍姿のキャストが出現するというシーンが挟まれていて、今の時代と当時はそれこそ地続きなのだという実感がわきます。キャストは現役の学生からプロのベテラン俳優まで入り混じり、プロの俳優の圧倒的な存在感と、経験の浅い彼らの、演技とは別な生々しさを感じる作品でした。
どこの土地もそこで死んだ人間たちの血や汗がしみついていそうですが、京都は特にそれが積み重なっている気がします。「伊東甲子太郎外数名殉難跡」という石碑が本光寺の門前に建てられています(昭和46年)。京都駅から10分ほどだそうです。いつか行って安らかにと祈りたい気分になりました。監督は京都芸大の福岡芳穂教授、港岳彦氏の脚本は『あゝ、荒野』『宮本から君へ』などどれも毎回印象に残ります。互いに真剣を振り回した時代を映した作品の中で、何千回も斬られた福本清三さんが賭場の親方として出演しています。この作品が遺作となりました。(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/114分
配給:マジックアワー
(C)北白川派
http://www.chain-movie.com/
★2021年11月26日(金)ロードショー
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2021年11月26日

ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”

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監督:堤幸彦
撮影監督:山本英夫
出演:嵐(相葉雅紀、松本潤、二宮和也、大野智、櫻井翔)

人気グループ”嵐”のデビュー20周年記念ツアーを体感できる初のライブフィルム。2019年12月23日、東京ドームで1日限りの映画撮影のために「シューティング・ライブ」が開催された。52000人の観客で埋め尽くされた会場と嵐5人のパフォーマンスをドローンを含む125台のカメラが撮影、一人一人のライブフィルムができるほどの映像を記録した。

本作は2021年6月、第24回上海国際映画祭のGala部門とDolby Vision部門出品。両部門への同時出品は史上初、最高の上映環境であるドルビーシネマで、ワールドプレミアを飾りました。2020年には中国・北京でのコンサート開催予定でしたが、コロナ禍のために中止。映画の形で中国のファンに届けたことになります。そしてようやく日本のファンも劇場で体感できることになりました。
東京ドームのてっぺんの席でコンサートを見たことがありますが、ステージははるかに遠いです。この映像は5人が目の前の特等席!さらにあらゆる方向から捉えた映像を楽しめます。次々と歌われるヒット曲に包まれて、ライブ会場にいる感覚です。
20年間トップを走り続けてきた”嵐”は2020年12月31日で活動休止となりました。この映画で夢の続きを見ましょう。5人が輝いています。(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/148分
配給:松竹
(C)2021 J Storm Inc.
https://recordofmemories.jp/
★2021年11月26日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 23:31| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スパゲティコード・ラブ

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監督:丸山健志 
脚本:蛭田直美
撮影:神戸千木
主題歌:三浦透子「Never」
出演:倉悠貴(羽田天)、三浦透子(桜庭心)、清水尋也(大森慎吾)、八木莉可子(黒須凛)、古畑新之(氷室翼)、青木柚(赤羽圭)、xiangyu(千葉桜)、香川沙耶(綾瀬夏美)、上大迫祐希(小川花)、三谷麟太郎(宍戸一樹)、佐藤睦(渋谷桃子)、ゆりやんレトリィバァ(目黒梅子)、 土村芳(剣持雫)

フードデリバリー配達員の羽田は大好きなアイドルへの気持ちの区切りをつけるため、配達1000件を目指している。桜庭心はシンガーソングライターの夢を諦めてダラダラ過ごしている。大森慎吾はfacebookの友達が5000人もいるが、本当の友達はいない。広告クリエイターの凛はプレッシャーに押しつぶされそうだ。カメラマンの氷室は力不足を自覚。死にたいが口癖の桜を心配しつつ、圭は告白できない。モデルの夏美は本業よりパパ活が忙しい。不登校の女子高生の花はインスタにウソの投稿。中学生の一樹はコンビニで時間をつぶす。失恋して引きこもる桃子は占いに依存、隣室の梅子はそれに聞き耳を立てている。雫は不倫相手に尽くすのが生きがい。これがなくなったら…。

丸山健志監督は乃木坂46のデビューシングルからミュージックビデオを手がけ、ドキュメンタリー『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』を2015年に発表しています。たくさんの登場人物に光をあてて、まとめていくのはお得意なのかもしれません。テンポよくストーリーが紡がれます。「スパゲティコード」とは、解読不能なほど複雑に絡み合ったプログラミングコードのことだそうです。
登場する若者たちは東京でそれぞれの愛を模索しています。初めは関わりなど見えなかったのが、次第に複雑に連鎖し、絡み合っていきます。みんな寂しくて、あるいは迷ってもがいているのですが、自分の心や身体だって思い通りにはなりません。ましてやほかの人を知ること、理解することは難しいです。してもらうことも。人生は一回限りなのに時間が足りません。
この作品に出てくる人たちが、傷ついたり、泣いたり、回り道したりして見つけたものをそっと分けてもらえるのが観客。胸に大事にしまってお帰り下さい。ほどき方がわかるかも。(白)


いかにも今どきの若い人たちの姿がポップに描かれていて、最初、若い感覚についていけないのではと思ったのですが、なかなかどうして、テンポのいい群像劇で、どんどんひきこまれていきました。現代社会で生き方に迷う姿が眩しかったです。(咲)

2020年/日本/カラー/シネスコ/96分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)「スパゲティコード・ラブ」製作委員会
https://happinet-phantom.com/spaghetticodelove/
★2021年11月26日(金)渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開

posted by shiraishi at 21:21| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月21日

水俣曼荼羅

劇場公開 2021年11月27日 公開劇場情報

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©疾走プロダクション

監督・撮影:原一男
構成・編集:秦岳志
エグゼクティブプロデューサー:浪越宏治
プロデューサー:小林佐智子 原一男 長岡野亜 島野千尋
整音:小川武

はじまりの海 おわらない世界

日本四大公害病の一つとして知られる水俣病。補償をめぐっていまだ裁判の続く患者たちの闘いを15年に渡って取材し、5年の編集を経て完成したドキュメンタリー。1956年に水俣病が公式確認されて以来65年、今も患者としての認定や救済をめぐって裁判が続く。「水俣はもう、解決済み」そう世間では、思われているかも知れない。でもいまなお和解を拒否して裁判闘争を継続している人たちがいる。映画は3部からなる。
坂本しのぶさん始め、水俣病患者の方の生活や日常、思いを描くだけでなく、これまでの水俣病の医学的研究で得られたもの、現在に至るまで続く裁判闘争の経過や闘争に長くかかわってきた人たちの人間模様が凝縮された一大叙事詩。まさしく「曼荼羅」というのがふさわしい。
かつて水俣は海の幸に恵まれた不知火海の豊かな漁村だったが、化学肥料などを生産する化学工業会社・チッソの城下町になり栄えた。しかし、有機水銀がその海に流され、その発展と引きかえに〝死に至る病″を背負った。それは今なお、暗い陰を落としている。不自由な身体のまま大人になった胎児性、あるいは小児性の患者さんたち。彼らの現在の姿が映される。「末端神経ではなく、有機水銀が大脳皮質神経細胞に損傷を与えることが、原因だ」これまでの常識を覆す、あらたな水俣病像論も提出される。

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©疾走プロダクション

原監督のドキュメンタリーは出てくる人の魅力が最大限引き出され面白い。しつこく迫る原監督に根負けするのだろうか(笑)。坂本しのぶさんの写真や映像はこれまでたくさん見てきたが、この作品ほど彼女の素顔&魅力を見せてくれたものを知らない。50年余りの時がたち、彼女も年を取ったが、この作品ではしのぶさんは「恋多き女」として描かれる(笑)。彼女が恋したという相手も数人、一緒に登場する。その時の彼女がまるで乙女のよう。恥ずかしがる姿が可愛いしのぶさんです。それにしても「恋した相手」まで映画に出演させてしまうとは。
2017年の東京フィルメックスで『ニッポン国vs泉南石綿村』(2017)が観客賞を受賞した時、監督は「この映画は撮影に8年、編集に2年かかりましたが、この映画と並行して水俣病の映画を撮っています。水俣病の方は撮影を始めて12年。未だに形になっていません」と語っていたが、それが完成し映画という形になった。6時間を超える作品だが、15年という取材の年月を思えば長くはない。このくらいの時間が必要だった。そして、国と県を相手取っての裁判はいまなお係争中。しかし、何人もの患者さんが亡くなっている。今年はハリウッド製作の『MINAMATA ―ミナマタ―』も公開され、改めて水俣病に注目が集まっているが、終わりの見えない裁判闘争はそろそろ終わってほしい。
このドキュメンタリーに写真を提供している桑原史成さんの<水俣病を撮り続けて60年 桑原史成写真展「MINAMATA」>に行きました。10月12日にこの作品の試写をを観て、16日に桑原さんの写真展に行ったのですが、坂本しのぶさんの最近の姿を映像で見て、50年前の彼女の姿を写真で見て、彼女なりに生きてきたと感じ、思わず涙してしまいました。ユージン・スミスさんの助手を務めた石川武志さんの写真展にも行きましたが、そのレポートはスタッフ日記に掲載しています。また、現在はユージン・スミスさんの写真展も開催中。この機会に皆さん行ってみませんか。水俣だけでないユージン・スミスさんの写真も見ることができます。詳細は下記に(暁)。


*スタッフ日記参照
『MINAMATA ―ミナマタ―』公開記念 桑原史成・石川武志写真展・ユージン・スミスとアイリーンが写した「MINAMATA」作品展&ユージン・スミス集大成写真展のお知らせ
http://cinemajournal.seesaa.net/article/483705121.html

水俣病をテーマにした桑原史成さんと石川武志さんの写真展に行ってきました。原一男監督の『水俣曼荼羅』も11月28日から公開されます(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/484153661.html

桑原史成写真美術館@津和野で「アフガニスタン崩壊」1/19まで開催中 (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/484246699.html

原一男監督が、水俣で公害による病に苦しみながら暮らす人々に長年寄り添って撮った渾身の作品。372分という長尺に身構えて観ましたが、水俣の人たちが65年以上、翻弄されてきたことを思うと、この映画の長さは必要な時間軸なのだと思いました。
裁判に勝ったところで身体がよくなるわけじゃないという言葉がずっしり響きました。なぜ水俣の人たちは、こんな思いをして生きることになってしまったのか・・・ 元凶となった企業の無責任、そして、管理すべき行政の無責任にむなしくなりました。そして、それは水俣病に限ったことではないということにも気付かされます。安部のマスクや、go to travelなど、無駄にお金を使うことは得意でも、ほんとに支援の必要な人にお金を出さないのが行政なのだと思うと、ほんとに悲しいです。(咲)


『水俣曼荼羅』公式HP
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 (映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
製作・配給:疾走プロダクション 配給協力:風狂映画舎
2020年/372分/DCP/16:9/日本/ドキュメンタリー
posted by akemi at 17:08| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする