2023年03月26日

ケアを紡いで

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監督:大宮浩一
企画:鈴木ゆずな
撮影:田中圭
出演:鈴木ゆずな・翔太夫妻、友人たち

ありのままを記録してもらえれば—そう語る看護師の鈴木ゆずなさん。
27歳でステージ4の舌がんの診断を受けた彼女は、仕事を休み、治療を続けています。やりたいことをリストに書き出して、家族や友人を招いて念願の結婚披露パーティーをひらいたり、富士山に登ったり。一方でゆずなさんは日々の気づきを言葉にしていきます。
「生きにくさを感じる人は他にもたくさんいますよね」
「ネガティブな自分を抑圧せず、素直に受け入れた」
「“今、自分は辛いんだな”と否定も肯定もせずただ受け入れる」
本作は、ゆずなさんが夫の翔太さんや友人たち、そしてあらたに出会ったNPO法人「地域で共に生きるナノ」の仲間たちと時を重ね、命と向き合い、日々の暮らしを紡いでいく姿を描くドキュメンタリー映画です。

生まれてきたら、いつかは死ぬときが来ます。でも100歳の長寿が珍しくない時代、20代で癌になったゆずなさん。映像を残すことを望みました。看護師の仕事柄、知識は豊富、自分の病気と冷静に向き合っています。ゆずなさんを支えるご家族やお友達の映像もたくさんはさまれています。いつもそばにいた旦那様の翔太さん、他人の私ですがありがとうと言いたいです。
シネジャでは、頼もしいスタッフだった(梅)さんが闘病を経て亡くなりました。もう10年になりますが、ポスターの「帽子をかぶって眼鏡をかけているゆずなさん」が彼女に見えて、思い出が蘇ってきました。(白)


2022年/日本/カラー/89分
配給:東風
(C)大宮映像製作所
https://care-tsumuide.com/
★2023年4月1日(土)ロードショー

posted by shiraishi at 18:14| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月25日

わたしの見ている世界が全て

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監督:佐近圭太郎
脚本:末木はるみ、佐近圭太郎
撮影:村松良
音楽:大橋柾人
出演:森⽥想(熊野遥風)、中村映⾥⼦(熊野実和子)、中崎敏(熊野拓也)、熊野善啓(熊野啓介)、松浦祐也、川瀬陽太、カトウシンスケ、⼩林リュージュ、新⾕ゆづみ、三村和敬、堀春菜

熊野遥風は、大学進学を機に実家を飛び出し、ベンチャー企業で活躍していた。しかし、目標達成のためには手段を選ばない性格が災いし、パワハラを理由に退職に追い込まれる。復讐心に燃える遥風は、自ら事業を立ち上げて見返そうとするが、資金の工面に苦戦。母の訃報をきっかけに実家に戻った遥風は、3兄弟に実家を売って現金化することを提案する。興味のない姉と、断固反対する兄と弟。野望に燃える遥風は、家族を実家から追い出すため、「家族自立化計画」を始める―。

遥風はデキル女性ですが、自信があるあまりやり方は強引で自分のペースだけで生きています。少しだけ他の人への配慮があれば波風たたないのに、見えているのは自分の世界だけ。一人で生きる分にはそれでいいですが、巻き込まれる周りは大変。クビになったときも、わが身を振り返ることはありません。
家を出たのも家族と価値観が違いすぎたから。自分の起業資金のために、親の残した実家を売ろうと躍起です。兄弟をなんとかしたくともモノを片付けるようなわけにいきません。親亡き後、どこにでも起こりそうなすったもんだが描かれます。
遥風の思惑は外れるのか?家はいったいどうなるのか?
あなたは誰に親近感がわくでしょうか?

佐近(さこん)監督、前作『東京バタフライ』に続く⻑編⼆作⽬。森⽥想(こころ)さんは、本作にて、マドリード国際映画祭主演⼥優賞(外国映画部⾨)を受賞しました。(白)


2022年/日本/カラー/アメリカンビスタ/82分
配給:Tokyo New Cinema
(C)2022 Tokyo New Cinema
https://tokyonewcinema.com/works/wataseka/
★2023年3月31日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 14:52| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月18日

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー

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監督・脚本:阪元裕吾
アクション監督:園村健介
撮影:伊集守忠
音楽:松原憲
主題歌:新しい学校のリーダーズ
出演:髙石あかり(杉本ちさと)、伊澤彩織(深川まひろ)、水石亜飛夢(田坂)、中井友望(宮内茉奈)、飛永翼(須佐野)、橋野純平(赤木)、安倍乙(向井さくら)、渡辺哲(松本さん)、丞威(神村ゆうり)、濱田龍臣(神村まこと)

ちさととまひろは、今日もまた途方にくれている。殺し屋としてきっちり仕事をしていても、社会生活は全くのダメダメな二人は、お金の管理ができない。請求書が届いてもほったらかし、ほとんど行かなかったジムの会費が鬼のようにたまっていた。教習所や保険や、とお金が出て行くばかり。一方殺し屋協会のバイト兄弟ゆうりとまことも同じく途方に暮れている。正社員のちさと&まひろと違って、入ってくるお金は微々たるもの。なんとか正社員になりたい!あの二人をやっつけて、自分たちが正社員になろう!!と夢を描くのだった。

2021年に公開、ロングランした前作『ベイビーわるきゅーれ』の続編。ちさととまひろの日常はあのまま変わらず、というかグダグダのダメさ加減が「ちょっと待て!」と言いたくなるレベル。お節介なおばちゃんでなくともそう思うはず。ぢかし確実に前より絆が深まっています。そんな二人も仕事ではプロ、バイト待遇のほかの殺し屋から妬まれ、狙われるほどです。
二人を蹴落としたいゆうり役を丞威さん、『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』に現れた長身のヤクザ島倉に目が留まりました。ドニー・イェンと東京タワーで死闘を繰り広げています。弟まこと役の濱田龍臣さんは子役から活躍、念願のウルトラマン役もかなえて今回本格アクション。園村アクション監督の指導のもと、繰り返したというアクションシーンに注目。長袖着ていますが、撮影は真夏だったそうです。(白)


★第1弾の阪元裕吾監督インタビューはこちら
今回ちさととまひろのお二人に取材の野望を抱いていたのに、果たせず残念。いつかきっと。

2023年/日本/カラー/101分
配給:渋谷プロダクション
(C)2023「ベイビーわるきゅーれ2」製作委員会
https://babywalkure.com/
★2023年3月24日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 00:27| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雑魚どもよ、大志を抱け!

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監督・原作:足立紳
脚本:松本稔、足立紳
撮影:猪本雅三 新里勝也
音楽:海田庄吾
出演:池川侑希弥(高崎瞬)、田代輝(村瀬隆造)、白石葵一(戸梶元太・トカゲ)、
松藤史恩(星正太郎)、岩田奏(西野聡)、蒼井旬(玉島明)、坂元愛登(小林幸介)、高崎佳子(臼田あさ美)、浜野謙太(高崎作朗)、新津ちせ(高崎ワコ)、河井青葉(村瀬美奈)、永瀬正敏(村瀬真樹夫)

地方の町の平凡な小学生、瞬。両親と妹との4人家族。目下の心配ごとは教育に熱心な母が、無理やり塾に行かせようとしていること。母の乳がんも心配だけど、すぐ手術跡を見せるのはやめてほしい。
瞬の仲間は頼りがいのある隆造、いじめられっ子のトカゲ、ヤンキー姉のいる正太郎。それに将来は映画監督になりたい聡たちだ。不良中学生の指示で明たちが聡を脅しているのを見てしまった。怖くて知らないふりをしてしまった瞬はトカゲたちと溝ができてしまう。そんなとき母の癌が再発した。自分を卑怯者で弱虫と認めた瞬は、もう死に物狂いで立ち向かうしかない。

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男の子たちが線路にたたずんでいるのを観ると、あのリヴァー・フェニックス主演の名作『スタンド・バイ・ミー』(1986)を思い出します。長じて作家になった主人公が少年時代を思い起こすもので、個性的な少年たちがいつまでも記憶に残りました。
こちらは足立紳監督が、相米信二監督に師事していた20年も前に書いていた脚本が元。小説「弱虫日記」を出版したのが2017年、ブラッシュアップしてようやく映画化なったものです。監督の分身のような主人公・瞬をはじめフレッシュな少年たちはオーディションで選ばれ、短い少年時代の輝きを残しました。脇の大人たちも一癖あり、ちょっと悲しくて面白い、足立監督映画の香りが濃厚です。(白)


2022年/日本/カラー/シネスコ/145分
配給:東映ビデオ
(C)2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会
https://zakodomoyo-movie.jp/
★2023年3月24日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 00:22| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月11日

妖怪の孫

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監督:内山雄人
企画:河村光庸
音楽:岩代太郎
アニメーション:べんぴねこ
ナレーター:古舘寛治

“昭和の妖怪”と呼ばれた政治家・岸信介。第56、57代 内閣総理大臣を務めた。長女の洋子と安倍晋太郎の間に次男として生まれたのが安倍晋三である。2006年から1年間(第1次安倍内閣)、2012~2020年(第2次~第4次安倍内閣)内閣総理大臣として最長在任期間を記録した。その間スローガン”美しい国、日本”を掲げていた安倍元総理は、祖父岸信介を尊敬し、祖父の悲願だった自主憲法の制定に力を入れていた。
2022年7月8日、参議院議員選挙の応援演説中に銃撃を受けて死亡。彼は何者だったのか、この国に何を遺したのか、残された映像から問いかける。

菅義偉のドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』の内山雄人監督とそのスタッフが再び、集結。安倍元総理の生いたちから始まり、政界に登場してからの映像、長かった総理在任期間中の、国会や記者会見での発言も数多く集められています。政治家の家系から生まれた総理には、庶民の生活などピンとこなかっただろうと想像します。長い長い在任中、投げかけられたたくさんの疑問には答えず、宿題ばかり残していってしまった感じがします。
河村光庸プロデューサーは、2022年6月11日、銃撃事件より早く、映画の公開も待たずに急逝しました。まだまだたくさんの映画を送り出してほしかったのに残念でなりません。(白)


2023年/日本/カラー/ドキュメンタリー/115分
配給:スターサンズ
(C)2023「妖怪の孫」製作委員会
https://youkai-mago.com/
予告編はこちら
★2023年3月17日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
posted by shiraishi at 20:24| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする