2020年07月08日

磯部鉄平監督特集

7月10日(金)~7月23日(木)の2週間、2016~2019年の3年間の磯部鉄平監督の作品を上映します。

会 場:アップリンク吉祥寺
(東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目5-1パルコ地下2階)
 https://joji.uplink.co.jp

上映作品:
『ミは未来のミ』(60分)+短編1本

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高三の上村拓也は秋になっても進路を決めかね、焦りを感じながらもダラダラと過ごしていた。
ある日、仲良しグループの親友・高木が交通事故に遭う。上村は皆で交わした約束を果たすために仲間を集める。

短編『真夜中モラトリアム』(23分)または『そしてまた私たちはのぼってゆく』(34分)、どちらかとの組み合わせで上映。
★7月10日(金)~7月16日(木)19:35—21:11

『予定は未定』(27分)+『オーバーナイトウォーク』(43分)

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40歳を前にして独身の純子はお節介な叔母からお見合いを勧められるがピンとこない。
そんな彼女の元にある日、1枚の紙飛行機が飛んでくる。開いてみると男性の欄だけが埋められた婚姻届だった。

★7月17日(金)~7月23日(木)上映
配給:アルミード
posted by shiraishi at 22:06| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

横須賀綺譚

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監督・脚本:大塚信一
撮影:飯岡聖英
出演:小林竜樹(戸田春樹)、しじみ(薮内知華子)、川瀬陽太(川島拓)、長内美那子(静)、湯舟すぴか(絵里)、長屋和彰(梅田)、烏丸せつこ(陽子)

2008年、東京で結婚目前だった春樹と知華子。知華子の父親が要介護になったため、故郷に戻ることになった。
春樹は証券会社に勤めて多忙な生活をおくっており、知華子との生活ではなく東京で仕事を続ける方を選んだのだ。婚約を解消した知華子は友人の絵里と荷物をまとめる。本当に別れるのかと聞く絵里に「いい人だけど、薄情なの」と言って、家を出ていった。
それから9年後。春樹は震災で亡くなったはずの知華子が生きているかもしれない、と絵里から知らされた。春樹は 半信半疑のまま、知華子がいるという横須賀へと向かう。

小説家を目指していた知華子は夥しい数の本を持っていて、最初のシーンでカメラの前に本の山ができます。家を出た後大きな本棚は空っぽになりました。証券マンの春樹は本を持たない人のようです。どんな含みがあるのかなと思った始まりでした。
2011年3月の東日本大震災から今年で9年になります。地震の後にやってきた津波で、太平洋沿岸の地域は大きな被害を受けました。濁流に飲み込まれていく映像を声も出せずに見つめました。さらに追い打ちをかけた福島第1原発のメルトダウン、目に見えない放射能が住人から故郷を取り上げました。辛くて忘れたい人も、だからこそ忘れまいとする人も、日が経つにつれて記憶は薄れていきます。あの惨禍が遠いできごとであった人はなおさらです。
大塚監督は初めて世に送り出す映画の中に「あったことはなかったことにできない」という台詞を入れました。戦中戦後を生き抜いた静(しずか)さんが「忘れるもんか!」と叫ぶ声も耳に残ります。
マスク着用での大塚監督インタビューをいたしました。ただいま書き起こし中。少しお待ちくださいませ。(白)


☆インタビュー記事掲載しました。こちらです。

2019年/日本/カラー/シネスコ/86分
配給:MAP+Cinemago
(C)横須賀綺譚 shinichi Otsuka
https://www.yokosukakitan.com/
★2020年7月11日(土)より新宿K'Sシネマほか順次公開
posted by shiraishi at 22:52| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

もち

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監督・脚本:小松真弓
撮影:広川泰士
出演:佐藤由奈(ユナ)、蓬田稔(お爺ちゃん)、佐藤詩萌(シホ)、佐々木俊(タツ兄)、畠山育王(先生)

岩手県一関市本寺地区。中学3年生のユナのお祖母ちゃんが亡くなった。
葬儀の日は餅つきをしてみんなで食べるのがこの地区の習慣だが、最近は電動餅つき機にとって代わっている。お爺ちゃんは昔ながらの臼と杵を使った餅つきにしたいと譲らない。ユナは簡単なほうがいいのに、と思いながらもお爺ちゃんにとって大事なことなのだろうとそばにいる。
ユナの中学校はユナたちが卒業した後、廃校になることが決まっている。お祖母ちゃんが亡くなり、学校が無くなり、友達もみんな離れていくだろう。「いつか思い出せなくなる」とユナは不安だ。

ユナの住んでいる本寺地区は中世の昔、骨寺村荘園があったところ。今も営々と農業が続けられ、「陸奥国骨寺絵図」(重要文化財/中尊寺蔵)の面影をとどめているそうです。身体と心が大きく成長する思春期のユナは、不安や疑問を抱えています。変わらないように見えた周囲でも少しずつ変化はあり、思い出は積み重なって更新されていきます。
それでも意識して「忘れない」ように大切にするものもあります。なぜそうしなくてはいけないのか?ユナと一緒にものを真っすぐに見て、感じてみてください。登場する役者さんは演技経験のない、そこの住民の方々です。伝統の神楽を練習する子どもたちが真剣で、ユナが凛々しいです。小松監督・脚本のドラマですがドキュメンタリーかと思うほどリアルなのは、小松監督の丁寧な取材と自然な反応を引き出す演出力のたまもの。あなたが忘れたくないものは何ですか?(白)


タイトルはシンプルに「もち」。こだわりは「臼と杵で餅をつくこと」。でも、個人の家で餅をつく文化は日本ではだんだん薄れてしまった。この一関の本寺地区では葬儀の時に餅つきをして、出席した人たちで餅を食べるのが習慣らしい。「葬儀でもち」というのが珍しいと思い、「臼で杵でついた餅にこだわる」というところで我が家の餅つきを思い出した。
日本では正月に餅を食べる習慣が多いけど、我が家でも年末の12月30日に餅つきをしていた。かれこれ30年、1980年頃までは年末になると餅米をかまどでふかして臼と杵で餅をついていた。それもこれも、父が臼と杵で餅をつくことにこだわっていたから。官舎に住んでいた1975年頃までは木の臼、木の杵を使っていた。そのうち、この木の臼と杵が古くなって使えなくなってからは、散々探し回って石臼と木の杵にした。そしてかまども新しくした。あの頃、薪を集めるのにも苦労はなかったし、官舎にいた周りの人たちも餅つきがめずらしくて、餅つきの時にはみんな集まってきて、つきたての餅を餡や黄粉、大根おろしで絡め餅にして、みんなで一緒に食べた。懐かしい思い出。3,4日前から小豆を煮て餡を作る準備をしていた。
自宅を建て郊外へ引越ししたのは1977年頃。その頃には近所迷惑になるから薪を燃やすことができないかと思ったけれど、年1回のことなので近所に前日挨拶に回って「明日、餅をつくので」と断って、薪を使って餅米を外で蒸かし餅をつきをした。小さい頃は父と母で餅つきをしていたけど、私も中学生頃には餅つきを手伝うようになり、杵で餅をつく力仕事を担うようになった。そして、父が60歳をすぎた頃にはさすがに体力的に厳しくなり餅つきはやめた。
昭和30年代、地方ならともかく都内の個人の家で餅つきをするというのは珍しかったけど、今や地方でも神社やイベント以外で餅つきをするのはほとんどなくなり電動の餅つき機に変わってしまっている。この映画を観てそんなことを思い出し、時代の流れ、文化の伝承、こだわり、忘れたくない思い出などを考えた(暁)。


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初日舞台挨拶 小松真弓監督、及川プロデューサー


2019年/日本/カラー/61分
配給:フィルムランド
(C)TABITOFILMS・マガジンハウス
http://mochi-movie.com/
★2020年7月4日(土)ユーロスペースほかにてロードショー
posted by shiraishi at 20:47| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月27日

一度も撃ってません

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監督:阪本順治
脚本:丸山昇一
出演: 石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり
佐藤浩市、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡、新崎人生、井上真央
柄本明、寛 一 郎、前田亜季、渋川清彦、小野武彦、柄本佑、濱田マリ、堀部圭亮、原田麻由

市川進(石橋蓮司)、74歳。トレンチコートにブラックハットといういで立ちで、伝説のヒットマンと呼ばれる男。今日も依頼を受けた殺しの現場に現れる。
だが、実は一度も銃を撃ったことがない。本業はハードボイルド小説家。リアリティにこだわるあまり、密かに殺しの依頼を受けては、本物のヒットマン今西に実行を頼み、市川はその現場を取材し執筆に活かしているのだ。涙ぐましい努力にもかかわらず、小説は一向に売れず、妻・弥生(大楠道代)の年金が頼り。担当編集者の児玉(佐藤浩市)も愛想をつかしている。そんな市川の楽しみは、夜な夜なバー「Y」で、旧友で元検事の弁護士・石田(岸部一徳)や元ミュージカルの歌姫・ひかる(桃井かおり)と酒を酌み交わすこと。のうのうと暮らしていた市川だが、敵のヒットマン(豊川悦司)に命を狙われる羽目に。おまけに妻からは浮気を疑われてしまう・・・

豪華な出演陣が勢揃いして完成報告会見が行われたのは、3月9日のことでした。
本来は、朝日ホールでの完成披露試写会でお客様を前に舞台挨拶が行われる予定だったのですが、新型コロナウィルスの感染予防で、試写会は中止。マスコミ向けの記者会見となりました。

受付で熱を測り、マスクをしていない人にはマスクを渡すという感染予防は、今となっては当たり前ですが、当時はここまできたか・・・という感じでした。

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登壇者:石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、佐藤浩市、江口洋介、妻夫木聡、新崎人生、井上真央、渋川清彦、前田亜季、小野武彦、阪本順治監督

大勢の登壇者で、2段になっての会見となりました。

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主演の石橋蓮司さん、「これほどの豪華キャストが出演を受けてくれたのは、阪本監督が僕の遺作になると言って皆さんを説得したかららしい」と、まず笑わせてくれました。

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阪本順治監督、そんなことはないと否定しつつ、「蓮司さんは、常日ごろ、全身のアルコール消毒もされていますので、ご安心を」と、マスクをした記者席を意識しての言葉で応酬しました。

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登壇した方たち一人一人のお話からは、俳優仲間のオフの時の様子が垣間見れるようでした。それにしても、主役にもなれそうな大物俳優たちを、よくもこれだけ揃えたものです。

実は、記者会見に臨んだときには、まだ映画を観てなくて、これだけのメンバーの日程を合わせるのは、さぞかし大変だったのでは?と思っていました。

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その謎を明かしてくれたのが、妻夫木聡さん。
「お話をいただき、このメンバーの中で演じられるのがすごく嬉しかったのですが、皆さんのスケジュール調整が大変なのではと思いました。それが、2週間で撮ると聞いて、さらにびっくりしたら、僕の撮影は2~3日でした。蓮司さんは寝る暇もないスケジュールだったようですけど」
後に映画を観てみたら、なるほど! 妻夫木聡さんの出番は、ほんの少し。
メインの方たち以外は、うっかり居眠りしたら見過ごしてしまいそうですので、どうぞ気をつけて~!

石橋蓮司さんのいでたちもカッコよくて、渋いハードボイルドかと思いきや、皆それぞれどこか抜けたところのある人物で、なごませてくれました。(咲)



◆新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、当初の4月24日より公開を延期されていましたが、ようやく7月3日(金)より公開と決定し、それを受けて阪本順治監督よりのコメントが宣伝ご担当者様から届きました。

阪本順治監督よりコメント
「やっとの公開です。撮影はおととしです。いきすぎたグローバリズムの時代に、昭和のたたずまいをよしとして撮りあげた作品です。
この状況下での上映となり、まったく意図せぬ感想がうまれそうです。
懐かしさより、いつかこんなありさまが、ふざけたような遊び心が、あらためて懇求されるような、新しい日常のその次の日常がこんな風景となってくれればいいなあと、おこがましくも思ってしまいます。
懐古的ではなく未来図として。

メジャー系も、最も苦境に喘ぐ独立系の映画館も、やれるかぎりの防疫策をとり、みなさんをお待ちしています。
映画界の踏ん張りは続きますが、少しずつ映画は銀幕に戻ってきます。
アートで心の栄養を!」



2020年/日本/100分/G
製作:木下グループ
配給:キノフィルムズ
©︎2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ
公式サイト:http://eiga-ichidomo.com/
★2020年7月3日(金)TOHOシネマズ 日比谷、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 17:57| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

のぼる小寺さん

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監督:古厩智之(ふるまやともゆき)
原作:珈琲
脚本:吉田玲子
撮影:下垣外純
音楽:上田禎
主題歌:CHAI
出演:工藤遥(小寺)、伊藤健太郎(近藤)、鈴木仁(四条)、吉川愛(倉田梨乃)、小野花梨(田崎ありか)、両角周(益子)

クライミング部の小寺さんは、周囲の思惑など気にしないで、大好きなことだけ考えている。クラスでは「不思議ちゃん」位置だ。天然記念物なみに素直でまっすぐな小寺さんは「目の前にある壁を登ること」が目標。進路希望も正直に書いて、先生や部活の先輩たちを絶句させる。
これまで何にも熱くならずクールな男でいた近藤は、ひたすら登る小寺さんから目が離せなくなっていた。適当にやっていた卓球に真面目に取り組み、ありかと梨乃はあらためて自分の進路を考え、臆病だった四条も小寺さんを見て、少しずつ変わっていく。

ひたすら上を見てのぼり続ける小寺さん、その姿を見ている人たちはいろんなものを感じ取って、知らないうちに背中を押されています。まだ何者でもない「僕たち」が自分の道を見つけてちょっとだけ進んでいくストーリー。
部活に学校祭、友達との会話、好きな人への告白と「高校生活あるある」に胸がキュンとなります。見つめるだけだった近藤が、勇気を振り絞って小寺さんに話しかけるシーンにはこちらも緊張してしまいました。勘違いして喜ぶところも可愛いです。自分の好きなことだけ見つめていた小寺さんは、周囲に関心が薄く特に欲求もありません。たぶん初めての近藤からの告白に、小寺さんもちょっと心が動きます。二人が並んだシーンに思わずほっこりしました。
小寺さん役の工藤遥さんは、役が決まってからクライミングのトレーニングを重ね、“小寺さんのボルダリング”を見せてくれました。
(白)

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2019年/日本/カラー/シネスコ/100分
配給:ビターズ・エンド
(C)2020「のぼる小寺さん」製作委員会 (C)珈琲/講談社
http://koterasan.jp/
★2020年7月3日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 14:40| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする