2022年03月26日
私はヴァレンティナ(原題:Valentina)
監督・脚本:カッシオ・ペレイラ・ドス・サントス
出演:ティエッサ・ウィンバック、グタ・ストレッサー、ロムロ・ブラガ、ロナルド・ボナフロ、マリア・デ・マリア、ペドロ・ディニス
ブラジルの小さな街に引っ越してきた17歳のヴァレンティナ(ティエッサ・ウィンバック)。彼女は出生届の名であるラウルではなく、通称名で学校に通う手続きのため蒸発した父を探している。未だ恋を知らないゲイのジュリオ(ロナルド・ボナフロ)、未婚の母のアマンダ(レティシア・フランコ)など新しい友人や新生活にも慣れてきたが、自身がトランスジェンダーであることを伏せて暮らしていた。そんな中、参加した年越しパーティーで見知らぬ男性に襲われる事件が起きる。それをきっかけにSNSでのネットいじめや、匿名の脅迫、暴力沙汰など様々な危険が襲い掛かるのだった…
ブラジルはLGBTQの権利保障に対して前向きに動き、同性婚が認められた。その一方で差別はいまだ根強く残っており、トランスジェンダーの中途退学率は82%、そして平均寿命は35歳と言われている。
監督のカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス、プロデューサーで監督の姉であるエリカ・ペレイラ・ドス・サントスはともにLGBTQであり、自分たちのような人物たちを社会がもっと認識してほしいという望みから映画を作ったという。
主人公のヴァレンティナを演じているのは実際にトランスジェンダーのティエッサ・ウィンバック。77万人の登録者がいるYouTubeチャンネルを運営している。演技経験はなかったものの、ヴァレンティナの言葉にできない辛さや悲しみが全身からにじみ出ていたのは自身が経験してきたことだからだけでなく、YouTuberとして表現してきたことが活きているのだろう。
希望を感じるラストに後味はとてもいい。ただ、フィクションだからこういう風に終われたのではないか。いや、このラストがリアルに感じられるような社会が早く来るよう、社会全体の意識が変わることを切に願う。(堀)
2020年/ブラジル映画/ポルトガル語/95分/スコープサイズ/カラー
配給:ハーク
(C)2020 Campo Cerrado All Rights Reserved.
公式サイト:https://hark3.com/valentina/
★2022年4月1日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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