2019年12月07日

つつんで、ひらいて 

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監督・編集・撮影:広瀬奈々子
出演:菊地信義、水戸部功、古井由吉
音楽:biobiopatata
エンディング曲:鈴木常吉

菊地信義は40年以上にわたり日本のブックデザイン界をリードしてきた稀代の装幀家。空前のベストセラーとなった俵万智「サラダ記念日」をはじめ大江健三郎、古井由吉、浅田次郎、平野啓一郎、金原ひとみら1万5千冊以上もの本を手掛けてきた。菊地が手作業で一冊ずつデザインする指先から、本の印刷、製本に至る工程までを丁寧に綴り、ものづくりの原点を探る。
第20回東京フィルメックスのコンペティション部門でスペシャル・メンションを受賞。

装幀家・菊地信義を追ったドキュメンタリー。
まずは製本の様子から。さまざまな機械がリズミカルに動き、流れるようにいくつもの工程を経て本が出来上がっていく。バックに流れる音楽が機械の動きにぴったり。まるで小人が機械を動かしているかのよう。見ていて楽しい。広瀬奈々子監督のセンスの良さを感じた。さすが是枝裕和監督の秘蔵っ子!
菊地は紙質、色、文字のタイプとサイズ、配置などを内容に合わせてトータルでデザインする。ピンセットを使っての細やかな作業。1ミリ、1%の違いに拘る。丁寧な仕事ぶりを丁寧に映し出す。これまで装幀した本の数は1万5000冊を超えた。長い付き合いの古井由吉が「作家は自己模倣を危惧するが、装幀も同じでは」と思いやる。最近は本を手にすることはなかったが、久しぶりに書店に行きたくなった。(堀)


高校生の3年間、図書局員で過ごしました。新聞・放送・図書は部活と違っていつでもいられる局室があったので、居心地が良くて。傷んだ本の修復をする製本の仕事もありました。ここにいる間に乱読して、読む本の分野が広がったかも。だからか、いまだに紙の本が好きで、デジタル図書は落ち着きません。書店には今もよく行って、棚や平台の本がずれているとつい直してしまいますし、どんな本が並んでいるのか見るだけでも楽しいものです。
そこでまず眼に入るのはやはり装幀。色と形とロゴのデザイン、手触り、厚さ、重さも重要です。著者を知らなくても、おお~という本に出会うとつくづく見入ってしまいます。これまで何度も出会った菊池信義さんの本がどうやって生まれてきたのか、この映画で細部まで見ることができました。本好きのみなさま必見です。(白)


東京フィルメックス2019でスペシャル・メンション受賞(2019.11.30) 撮影:宮崎
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2019年/日本/カラー/HD/16:9/ステレオ/94分
配給:マジックアワー
©2019「つつんで、ひらいて」製作委員会
公式サイト:https://www.magichour.co.jp/tsutsunde/
★2019年12月14日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 02:53| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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