2019年05月25日

ずぶぬれて犬ころ 

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監督・プロデューサー:本田孝義
撮影:鈴木昭彦
音楽:池永正二
出演:木口健太、森安奏太、仁科貴、八木景子、原田夏帆、田中美里(特別出演)

2017年、中学校でいじめを受けている小堀明彦は掃除用具ロッカーに閉じ込められていたところを教頭の諸岡に助けられる。そして、諸岡から教室に落ちていた張り紙「予定は決定ではなく未定である」を書いた住宅春美についての話を聞いた。
高校に進学しなかった住宅春美は食堂で働いていたが、得度して「顕信」という法名になり「無量寿庵」という仏間を作った。しかし、22歳のときに急性骨髄性白血病を発症。家族の献身的な介護に支えられながら、句作に没頭していくものの病状が悪化し、句集「未完成」の原稿を握り締めながら1987年、25歳の若さで亡くなるのだった。
小堀は、諸岡から借りた住宅顕信の句集「未完成」を読み始め、住宅の句と生き方に感銘を受け少しずつ変わっていった。

俳句といったら、5・7・5と思っていたのだが、住宅顕信(すみたく けんしん)が詠んだ句は字数にとらわれない。自由律俳句というそうだ。顕信が生涯に残した俳句は僅か281句だが、日常をテーマにした俳句と生き様が注目を浴びている。
本作はいじめを受けていた中学生が顕信の俳句に出会い、いじめに負けない勇気を得るまでを描くが、その合間に顕信の生涯と俳句が挟み込まれる。この俳句の1つ1つが見事なくらい中学生の気持ちに寄り添い、中学生と顕信の心がリンクする。もしかすると顕信の句集を読む以上に、映画は俳句に込められた顕信の思いを伝えているのかもしれない。
気持ちが疲れているときにこの作品を見ると、自分も顕信にリンクして、心が癒されるような気がする。(堀)


2018年/日本/DCP/100分
配給:パンドラ
(C) 戸山創作所
公式サイト:http://zubuinu.com/
★2019年6月1日(土)〜ユーロスペースにてロードショー、以下全国順次公開

posted by ほりきみき at 01:51| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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