2019年06月13日
The Crossing ザ・クロッシング Part II(原題:太平輪 彼岸 The Crossing 2)
監督・脚本:ジョン・ウー
原案:ワン・ホエリン
出演:チャン・ツィイー、金城武、ソン・ヘギョ、ホアン・シャオミン、トン・ダーウェイ、長澤まさみ
1949年、1,000人近い乗客乗員を乗せて上海から台湾へ向かっていた大型客船「太平輪」。船にはユイ・チェン(チャン・ツィイー)、イェン・ザークン(金城武)、トン・ターチン(トン・ダーウェイ)が、それぞれに違う目的で乗船していた。深夜、付近を航海中の貨物船と衝突した事で船内はパニックに陥り、それまでお互いを知る事の無かった男女の3組の運命が交差する―
1945年国共内戦下の中国が舞台。Ⅰでは戦場の描写が多かったが、Ⅱでは純愛の側面にフォーカス。戦争によって引き裂かれた男女たちの届かない想い、切ない叫びが聞こえてくる。クライマックスは上海から台湾に向かう客船の沈没シーン。非常時とはいえ、とんでもないほどの人と貨物を載せて出発したこともさることながら、乗務員の常軌を逸した気の緩みに絶句。海に投げ出された人々の阿鼻叫喚ぶりに驚くが、それぞれの愛をうまく着地させた脚本に心が安らいだ。
ところで、ジョン・ウーといえば白い鳩と二丁拳銃が必ず出てくることで有名。本作でも、「ここはカモメでは?」という場所に鳩が飛んでいた。しかし、二丁拳銃を見落としてしまった! どなたか、ご覧になったらぜひチェックして、コメントでお知らせいただけると幸いです。(堀)
国共内戦が激しくなり、台湾に逃れようと上海の港に停泊している船に殺到する人たちの姿を観て、にわかに思い出した映画があった。タイトルが思い出せなくて、居心地が悪かったのだが、やっと思い出せた。1991年に日本で公開された『レッドダスト』。監督はイム・ホー。ブリジット・リン演じる女性作家と、日本への協力者として忌み嫌われていた男(シン・ハン)。1938年、日中戦争の時期から、1945年の日本敗戦後の国民党と共産党の内戦、1949年、国民党が台湾脱出するまでの時期を背景にした恋の物語。ラストが人々が船に殺到する場面だった。『レッドダスト』を、今再び観たくなった。
そして、本作で描かれた台湾の部分では、戦前、基隆に住んでいた亡き母のことを思い出した。細い入江が深く入り込んだ基隆港は天然の良港。本作では船が基隆に着く場面が出てきた。
外国航路の船長をしていた母方の祖父は、家族と過ごせる水先案内人の仕事を基隆港に見つけ、昭和6年から終戦まで基隆に住んでいた。高収入の仕事で、北投温泉にも別荘を持っていたそうだ。本作では、日本人が去った後の屋敷が出て来る。母が暮らした基隆の家は戦後もそのままあったのを台湾人の同級生から聞いたという。母たちが去った後、どんな人たちが住んだのだろう。そんなことにも思いを馳せた。
ジョン・ウー監督、壮大な物語を多謝~! (咲)
2015年/中国/カラー/126分
配給:ツイン
©Beijing Galloping Horse ・ All Rights Reserved.
公式サイト:http://thecrossing.jp/
★2019年6月14日(土)シネマート新宿・心斎橋他にてロードショー!
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