2019年06月22日
ペトラは静かに対峙する(原題:Petra)
監督・脚本:ハイメ・ロサレス
撮影監督:エレーヌ・ルヴァール
出演:バルバラ・レニー、アレックス・ブレンデミュール、ジョアン・ボテイ、マリサ・パレデス
カタルーニャ州ジローナにある著名な彫刻家・ジャウメ(ジョアン・ボテイ)の邸宅に、画家のペトラ(バルバラ・レニー)がやってくる。ジャウメの妻・マリサ(マリサ・パレデス)に「アトリエでジャウメと作品制作をする」と挨拶するペトラだが、彼女の本当の目的はジャウメが自らの実の父親かどうか確かめることだった。創作活動のかたわら、マリサや、ジャウメの息子で写真家のルカス(アレックス・ブレンデミュール)、ジャウメ一家の家政婦・テレサとその家族など、ジャウメの周囲の人間と親交を深めていくペトラ。そのうちに、彼が権力を振りかざす、冷酷な人物であることが浮き彫りになってくる。ある日、テレサが謎の自殺を遂げる。皆が悲しみに暮れるなか、テレサの死に関係する、父ジャウメの非道な秘密を知ってしまったルカスは家族のもとから去っていく。やがてペトラは一家の悲劇の連鎖に巻き込まれていくのだった。
父を知らずに育った女性画家が高名彫刻家を父ではないかと探る。そこで起きた悲劇の連鎖。血の繋がりは無意識に気がつくものなのか。時系列を崩した構成が何気ないことを伏線のように際立たせ、物語を盛り上げる。この手法、噂話に似ていないだろうか。印象に残ったところをまず語り、後からそこに至る過程を説明する。監督は噂話をするときの人の心理がよくわかっているのを感じた。
主演のバルバラ・レニーは『マジカル・ガール』(2014年)でゴヤ賞主演女優賞を獲得し、本作でヨーロッパ映画賞最優秀女優賞にノミネートされた。彫刻家の妻役を演じたマリサ・パレデスは2018年に名誉ゴヤ賞を受賞したスペインの大女優。その2人に引けを取らない演技で彫刻家の驚くような下衆ぶりを表現したのがジョアン・ボテイ。元々はエンジニアで、77 歳にして本作で演技デビューしたという。このリアリティのある存在感は新人とは思えない。(堀)
2018 年/スペイン、フランス、デンマーク/スペイン語、カタルーニャ語/カラー/シネマスコープ/5.1ch/107 分
配給:サンリス
©2018 FRESDEVAL FILMS, WANDA VISIÓN, OBERON CINEMATOGRÀFICA, LES PRODUCTIONS BALTHAZAR, SNOWGLOBE
公式サイト:http://www.senlis.co.jp/petra/
★2019年6月29日(土)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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