2019年06月01日
パドマーワト 女神の誕生 (原題:Padmaavat)
監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリー
出演:ディーピカー・パードゥコーン、ランヴィール・シン、シャーヒド・カプール アディティ・ラーオ・ハイダリー
13世紀末、シンガール王国の王女、パドマーワティ(ディーピカー・パードゥコーン)は、西インドの小国、メーワール王国の王、ラタン・シン(シャーヒド・カプール)と恋に落ち、妃となった。同じころ、北インドでは、叔父のジャラーウッディーン(ラザ・ムラッド)を暗殺した若き武将、アラーウッディーン(ランヴィール・シン)が、イスラム教国の皇帝(スルタン)の座を手に入れていた。
獰猛で野心に満ちた彼は、第二のアレキサンダー大王との異名を持つほどに、その権勢を広げていく中、絶世の美女、パドマーワティの噂をききつけ、メーワール国に兵を差し向けるが、堅牢な城壁と、誇り高いラージプート族の王であるラタン・シンの抵抗により、パドマーワティの姿を見ることも許されなかった。
一計を案じたアラーウッディーンは、ラタン・シンを拉致してパドマーワティを自らの城におびき寄せるが、彼女の勇気ある救出策によりラタン・シンは奪い返され、遂に総力をメーワール王国に向かわせる。 城を取り囲むアラーウッディーンの大軍勢と睨みあうメーワール王国の兵士たち。 やがて始まる、王と王の誇りと野望を懸けた最後の戦い。
そして、圧倒的に不利なその戦に、パドマーワティは、ある決意をもって臨んでいた…
13世紀のインドを舞台に、絶世の美女を巡って引き起こされた一国の尊奉劇。獰猛で野心に満ち、第二のアレキサンダー大王と呼ばれた王が他国の王妃に興味を持ったことがきっかけで争いは起こる。王妃の覚悟の決断は日本人には共感しやすいだろう。豪華絢爛な王妃の衣装は眩い。ディーピカー・パードゥコーンの美しさがより引き立つ。(堀)
映画の冒頭に、「サティーなどの慣習を支持する意図はない」と掲げられている。
サティー(またはサッティ)とは、ヒンドゥー社会において亡き夫の火葬の火に、残された夫人が飛び込んで殉死すること。古くから特に支配階級の間で行われてきた慣習。サティーの本来の意味は「貞淑な女性」とのこと。
映画の後半で、赤いサリー姿の女性たちが火にむかっていく場面があった。お腹の大きい女性もいた。かつてインドを旅した時、ジョドプールのお城で、女性たちが火に飛び込む前に残した手形を見たことがある。大きなものから小さなものまで、いくつもあって、何人もいた妻が皆、焼身自殺したのだと胸がしめつけられる思いだった。
『パドマーワト』のサティーの場面は、慣習としての史実として描いたということだろう。
本作は、ヒンドゥー教とイスラーム教の対立という側面もあるが、実は後に17世紀のムガル帝国では支配者層であったムスリムが、サティーを野蛮な風習として反対したそうだ。そも、イスラームにおいて火葬そのものが禁止事項なのだが。
本作では、部族による慣習の違いも垣間見れて興味深い。(咲)
2018年/インド/ヒンディー語/シネスコ/164分
配給:SPACEBOX
©Viacom 18 Motion Pictures ©Bhansali Productions
公式サイト:http://padmaavat.jp/
★2019年6月7日(金)より新宿ピカデリー他全国順次ロードショー
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