2019年05月25日

二宮金次郎

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監督:五十嵐匠
脚本:柏田道夫      
原作:「二宮金次郎の一生」(三戸岡道夫栄光出版社刊)
音楽:寺嶋民哉      
出演:合田雅吏、田中美里、成田浬、榎木孝明(特別出演)、柳沢慎吾、田中泯

二宮金次郎は幼い頃に、両親を亡くし、兄弟とも離れ離れになった。青年になった金次郎(合田雅吏)は、文政元年(1818年)、小田原藩主・大久保忠真(榎木孝明)に桜町領(現・栃木県真岡市)の復興を任される。金次郎は妻・なみ(田中美里)とともに桜町領に赴き、”仕法”と呼ぶ独自のやり方で村を復興させようとした。一部の百姓達は金次郎が思いついた新しいやり方を理解するが、五平(柳沢慎吾)ら保守的な百姓達の反発に遭う。そんな中、小田原藩から新たに派遣された侍・豊田正作(成田浬)は百姓上がりの金次郎が藩主に重宝されていること不満を感じ、次々と邪魔をし始める。はたして、金次郎は、桜町領を復興に導けるのか。

薪を背負って本を読みながら歩く少年。小学校にあった銅像の人物が何をしたかを知る。一家離散した貧農から帯刀を許される身に。それでも土を大事にする気持ちは忘れない。身の程をわきまえた生活をし、倹約から蓄財を。堅物すぎる主人公を柔軟な対応をする妻が支える。生涯に600ヶ所以上の町村の財政再建を成功させ、多くの農民たちを救い、藩の財政立て直しに貢献。死後は神様にあがめられた。その姿勢は現代の経営者にも気がある。57歳で二宮尊徳と名を改めたので、そちらの名前で語られることが多いかもしれない。あのドラッカーも晩年に尊徳の文献を集めたという。身のほどのわきまえた生活をするという分度、小さなことから行うという積小為大(せきしょういだい)、敵も味方も1つの円の中に入れて見るという一円融合など尊徳の考え方はトップだけでなく、私たちの生活にも参考になりそうだ。
初めは敵対していた小作人の五平を演じた柳沢慎吾が役者として渋い魅力を発しているのに驚いた。(堀)


薪を背負って本を読みながら歩く姿が、歩きスマホに見えると揶揄される今日この頃ですが、二宮金次郎さんといえば、勤勉の象徴。家が貧しくて、子どもの頃に苦労した話は覚えていても、実際、どんな功績を残した方なのかすっかり忘れていました。
小田原藩主から桜町領の復興を任された時に、自分の家を処分してまで資金を作り赴きますが、”仕法”という独自のやり方は、地元の人になかなか理解してもらえません。「他人を信じるな。自分を信じろ」という母の遺言でしたが、「信じられる人がいて、思いは成し遂げられる」と金次郎は思うのです。人を信じてこそ、和が保て、事がスムーズに運ぶことを教えてくれます。
五十嵐匠監督は、これまでにも日本の近代史の中で静かに光る人物を描いてきましたが、また一人、その系譜に加わりました。『HAZAN』『アダン』『半次郎』でタッグを組んだ榎木孝明さんが、小田原藩主・大久保忠真役で出演しているのが嬉しくて、思わず観にいった一作です。(咲)


2019年/日本 /カラー/ アメリカンビスタ/ 5.1ch/113分
配給:株式会社映画二宮金次郎製作委員会
(C) 映画「二宮金次郎」製作委員会
公式サイト:https://ninomiyakinjirou.com/
★2019年6月1日(土)~6月28日(金)東京都写真美術館ホールにて公開ほか全国順次

東京都写真美術館ホール 上映スケジュール
火・水・日 10:30〜、14:00〜
木・金・土(22日(土)を除く) 10:30〜、14:00〜、18:30〜
休館日:月曜日及び6月22日(土)




posted by ほりきみき at 01:48| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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