2019年06月29日
田園の守り人たち(原題:Les Gardiennes)
監督・脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ
原作:エルネスト・ペロション
脚本:フレデリーク・モロー
脚本・編集:マリー=ジュリー・マイユ
撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:ナタリー・バイ、ローラ・スメット、イリス・ブリー、シリル・デクール
第一次世界大戦下のフランス。ミレーの絵画を思わせる美しい田園風景。2人の息子を西部戦線に送り出した農園の未亡人オルタンス(ナタリー・バイ)は、やはり夫を戦場にとられている娘ソランジュ(ローラ・スメット)とともに、冬を前に種まきに備えなければならない。オルタンスは若い働き手フランシーヌ(イリス・ブリー)を雇い入れる。誠実な彼女は女主人の信頼を得て、家族同然に暮ら始める。女たちだけでなく、前線から一時休暇で帰ってくる次男ジョルジュ(シリル・デクール)もまた慎ましやかなフランシーヌに惹かれてゆく。
第30回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門出品(TIFF上映タイトルは『ガーディアンズ』)
女はたくましい。特に子を守る母の強さを強烈に感じる作品だった。ラストに流れた歌の歌詞は男を頼らず生きていく女の強い意志を感じさせる。が、愛を信じる幸せも切り捨てないでほしいと思う。
家を守る母親にナタリー・バイ。先を見越して的確な決断ができるが、時に理不尽を承知で信頼する使用人を切り捨てる気丈さを持つ。背筋が伸ばして毅然とした表情からそれがにじみ出ていた。使用人を演じたのは新人女優のイリス・ブリー。奉公先の次男と初めて愛を交わした日の夜、ひとり振り返って微笑む顔は愛の喜びにあふれていた。新人とは思えない演技に将来が楽しみである。
残された女性たちが畑を守る姿は戦時下の日本と似ている気がした。子どもたちが学校でドイツ兵を罵るシーンは鬼畜米英という言葉を思い出す。(堀)
2017年/フランス=スイス映画/シネマスコープ/カラー/135分
配給:アルバトロス・フィルム
(C) 2017 - Les films du Worso - Rita Productions - KNM - Pathe Production - Orange Studio - France 3 Cinema - Versus production - RTS Radio Television Suisse
公式サイト:http://moribito-movie.com/
★2019年7月6日(土)岩波ホールほか全国順次公開
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