2019年07月13日

工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男(原題:The Spy Gone North) 

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監督:ユン・ジョンビン
脚本:クォン・ソンフィ、ユン・ジョンビン
撮影:チェ・チャンミン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:ファン・ジョンミン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、チュ・ジフン

1993年、北朝鮮の核開発をめぐって韓半島の危機が高まった。
情報社の出身で国家安全企割部(現在の国家情報院)にスカウトされたパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は“黒金星”(ブラックヴィーナス)というコードネームで北朝鮮の実態を把握するために北の上層部に潜入せよという指令を受ける。
国家安全企割部(通称:安企部(アンギブ)) 海外室長チェ・ハクソン(チョ・ジヌン)と大統領以外には家族すらも彼の実態を知らない中、対北事業化に偽装し、北京駐在 北朝鮮の高位幹部リ・ミョンウン(イ・ソンミン)に近づく黒金星。彼は数年にわたった工作活動の末、リ・ミョンウンの信頼を得て、リを通じて北朝鮮の権力層の信頼を得ることに成功した。
しかし、1997年、韓国の大統領選挙の直前、黒金星は南と北の首脳部の間の隠密な取引を感知する。
祖国のために固い信念で全てをかけて工作活動を遂行していた黒金星は、どうしようもない葛藤に苛まれるのだったが…

韓国人スパイが北朝鮮に潜入するが、大統領選が絡み、立場が危うくなる。展開が早く、政治的な駆け引きも多いので全てを理解するのは難しい。しかし、細かいことがわからなくても大筋はつかめるよう、エンタメ感たっぷりに作られているので問題ない。
作品当時はIT機器などなかった。音声の録音には小型のカセットデッキを使う。テープが反転するときの音で録音に気づかれるのではとハラハラする。カセットテープでの録音経験がない若い世代には、この気持ちが理解できなかっただろう。歳を重ねていることがちょっとうれしくなってしまう。
ところで、作品内で「車やたばこをメイド・イン・ノースコリアにする」という話が出てくる。これは1990年に制定された「南北交流協力に関する法律」によって、北朝鮮産の物品の搬入は「輸入」ではなく「内部交流」とみなし、関税をかけないものとされたことがベースにある。この制度が悪用され、中国産やロシア産のものを北朝鮮産と偽って韓国に持ち込み、関税を逃れていた商社が摘発される事件が起こったのである。このことを知っておくとストーリーがわかりやすいかもしれない。(堀)


韓国のスパイ史上、最も成功した対北工作員として知られる実在の人物をモデルに描いた物語。
国からの「工作員になれ」というひと言で、将校だった身分も、家族も捨てて、事業家として北に潜入する黒金星。3年の時を経て北朝鮮で信頼も得るが、その間に祖国の状況が変わってしまう。そんな悲哀をファン・ジョンミンが体現している。それでも、工作目的で近づいたリ・ミョンウンと心を通わせた一面も見せてくれて、ちょっと嬉しい。
北朝鮮の国家安全保衛部の真面目なエリート課長を演じるチュ・ジフンが、クラブで見よう見真似で踊る場面もなぜだか忘れられない。北朝鮮の人たちも、普通の人たちなのだと思わせてくれる。国家体制で、考え方がちょっと違ってるだけだと。
先日、テレビに黒金星のモデルになった男性が出ていた。敏腕スパイだったとは思えない温厚な方。国家への恨みつらみもあると思うのに、そんなことは口にしない。今は平穏な人生を送られているようだが心中どうなのだろう・・・(咲)


2018年/韓国/カラー/137分
配給:ツイン
ⓒ 2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://kosaku-movie.com/
★2019年7月19日(金)シネマート新宿ほか全国ロードショー




posted by ほりきみき at 18:39| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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