2019年03月17日

こどもしょくどう 

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監督:日向寺太郎 
脚本:足立紳、山口智之 
撮影:鈴木達夫 
照明:三上日出志 
美術:丸山裕司 
録音:橋本泰夫 
編集:川島章正 
音楽:Castle in the Air(谷川公子+渡辺香津美) 
主題歌:「こどもしょくどう」作詞/俵万智 作曲/谷川公子 編曲・演奏/Castle in the Air 唄/古川凛、田中千空 
出演:藤本哉汰、鈴木梨央、浅川蓮、古川凛、田中千空/降谷建志、石田ひかり/常盤貴子、吉岡秀隆

小学5年生の高野ユウト(藤本哉汰)は、食堂を営む両親と妹と健やかな日々を過ごしていた。一方、ユウトの幼馴染のタカシの家は、育児放棄の母子家庭で、ユウトの両親はそんなタカシを心配し頻繁に夕食を振舞っていた。
ある日、ユウトとタカシは河原で父親と車中生活をしている姉妹に出会った。ユウトは彼女たちに哀れみの気持ちを抱き、タカシは仲間意識と少しの優越感を抱いた。あまりに“かわいそう”な姉妹の姿を見かねたユウトは、怪訝な顔をする両親に2人にも食事を出してほしいとお願いをする。久しぶりの温かいご飯に妹のヒカルは素直に喜ぶが、姉のミチル(鈴木梨央)はどことなく他人を拒絶しているように見えた。
数日後、姉妹の父親が2人を置いて失踪し、ミチルたちは行き場をなくしてしまう。これまで面倒なことを避けて事なかれ主義だったユウトは、姉妹たちと意外な行動に出始める。

ここ数年、頻繁に「子ども食堂」という言葉を耳にするようになった。1人で食事したり、家庭の事情で食べられなかったりする子どもに、地域の大人が無料または低額で食事を提供する取り組みだという。そして、厚生労働省発表の「子供の相対的貧困率」によれば、6人に1人の子どもが貧困状態にあるという。これは40人学級だったらクラスの6~7人は貧困ということ。驚きである。
ただ、普段、聞くニュースなどは提供する側の視点で語ることが多い。この作品は子どもの視点で貧困問題に向き合っている。親から見放されても、誰に媚びることなく、辛い境遇から幼い妹と守り、矜持を持って生きようとするミチルを演じるのは鈴木梨央。テレビドラマ「明日、ママがいない」でもそうだったが、不幸な境遇に負けることなく、キッとにらんで生きていく役どころをやらせたら本当にうまい。この作品でもいちばん印象に残った。(堀)


2018年/日本/カラー/93分
配給:パル企画
(C)2018「こどもしょくどう」製作委員会
公式サイト:https://kodomoshokudo.pal-ep.com
★2019年3月23日(土)ロードショー

『こどもしょくどう』初日舞台挨拶レポート
3月23日(土)に岩波ホールで『こどもしょくどう』初日舞台挨拶が行われ、藤本哉汰、鈴木梨央、常盤貴子、吉岡秀隆 が登壇した。
以下はオフィシャルリリースから転載。 (提供:パル企画)

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満員の客席に上映後の感動の涙が溢れる中、舞台挨拶は、「映画館で育った人間なので映画館に来てくれて嬉しい」と日向寺監督(53)の観客への感謝の言葉から始まった。
W主演のユウト役を演じた藤本哉汰(15)は初めての主演を振り返り「色んなことを学ばさせていただきました」
同じくW主演で初の主役である・ミチルを演じた鈴木梨央(14)は満席の観客席を見渡して「多くの方にこの映画を見て頂けてうれしいです」と挨拶。
大山タカシ役・浅川蓮(14)、木下ヒカル役・古川凛(8)、高野ミサ役・田中千空(9)と挨拶が続き、ユウトの母親役を務めた常盤貴子(46)は、衣装の靴を忘れてしまったことを明かし場内を沸かせる。「この映画にこんなにたくさんの人たちが来てくれるなんて」と喜んだ。
ユウトの父親役を演じた吉岡秀隆(48)が「今日は寒いけど、この会場はとってもあたたかい。
心温まる何かを感じ取ってもらえたんだろうな」と語った。感想として観客から割れんばかりの拍手を頂き、シンプルに「うれしいです」と、日向寺監督。
続いて、日向寺監督が企画意図について「子ども食堂が最初からあるものではなく、できるまでの物語にしようと思った。企画がスタートしたのは2015年で、子ども食堂は今ほど知られていなかった」と語る。
監督の演出について藤本は「テストがなくすぐ本番という感じが多く、自然な感じで演じることができました」、鈴木は「自分が思うままに、自然と自分が出た感情で演じてほしいというアドバイスを頂きました」と語った。成長期真っ最中である浅川の急に伸びた身長や、俵万智が歌詞を担当した主題歌を歌う古川と田中の自由でカワイイふるまいに自然と笑顔になる登壇者たちと観客たち。
幼い頃からキャリアをスタートさせてきた藤本・鈴木だが、初めての主演には緊張もあったようで、鈴木は「最初、クランクインしたときは、少しだけピリピリしたかな」と。
藤本「ベテランさんに引っ張ってもらえました。はっきりと優しく教えてくれました」と、一生懸命だった撮影を思い出し合った。
吉岡は二人と同じく子役から活動した自身を振り返りながら、藤本と鈴木を素晴らしいと絶賛。「彼らの見つめる目線の先に、大人たちが作ったこういう時代があるとしたならば、子供は親だけが育てるものではなくて、大人全員で育てないといけない」と投げかけた。
常盤は、日向寺監督作『爆心・長崎の空』を見るために京都まで行ったという監督との最初の出会いに触れながら、出演の決め手を「現代社会が抱えている大きな問題を捉えていて、意義のある映画だと思う」と語り、自身が少女時代を過ごした関西で感じた、踏み込む精神の大切さ、「静観しているよりはまずは入っていってみるのもいいんじゃないかな。おせっかい心が、日本をより明るくするんじゃないかな」と問いかけた。
吉岡は「次の世代、子どもたちの笑顔が今よりも溢れる時代になれば、大人たちの心の余裕が生まれ、弱者と言われている存在にも目を向けられるのではないか、この映画と同じように次にくる時代は少しでもいい時代になればいいなと祈るような気持ちでいます」と訴えた。最後の挨拶として藤本は「この映画はとても考えさせられる映画です。見て見ぬふりをせず、勇気を持って関わってほしいと思います。いろいろな人に広めてほしいなと思います」と、鈴木は「みなさんがこの映画を見た後、みんなで話したり、考えたり、行動にうつしてほしいなと思います。子ども食堂で検索すると、子ども食堂ネットワークというサイトがあって、そこでどこの食堂で何が必要なのかと分かるので、みなさんが子供たちのために何か力になって頂けたら嬉しいです」と真っ直ぐな瞳で語りかけ、日向寺監督は「子ども食堂という新しくゆるやかな共同体ができたことがとても素晴らしいこと。映画を見て下さった皆さんともこの気持ちを共有できてうれしい」と締めくくった。
posted by ほりきみき at 00:06| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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