2019年06月15日
カスリコ
監督:高瀨將嗣
脚本:國吉卓爾(『カスリコ』第26回新人シナリオコンクール 特別賞 大伴昌司賞準佳作)
撮影:今泉尚亮
音楽:辻 陽
出演:石橋 保、宅麻 伸、中村育二、山根和馬、鎌倉太郎、金児憲史、高橋かおり、高橋長英、小市慢太郎、西山浩司、高杉 亘、伊嵜充則、及川いぞう、西村雄正、大家由祐子、池上幸平、服部妙子
高知一と言われた板前の岡田吾一(石橋保)は賭博にのめり込んだ挙句に店を手放し、途方に暮れていた。そんなとき、ヤクザの荒木五郎(宅麻伸)から「カスリコ」の仕事を紹介され、常連客の引き立てや商売人の才覚もあり、少しずつカスリを増やしていく。
三年の歳月が流れ、すっかり賭博をやめた吾一は荒木から再び店を始めるよう勧められた。開店準備に取り掛かり、ようやく再起の道が見えた吾一に、再び思いもよらぬ事態が訪れてしまう。 吾一はどん底の己の人生に勝つため、最後の大勝負に挑んだ。
舞台は昭和40年代の土佐。タイトルのカスリコとは、賭場で客の世話や使い走りをして、僅かなご祝儀をめぐんでもらう下仕事。
手本引きと呼ばれる賭博で店を潰した板前が見栄を捨てて、カスリコとなって一からやり直す。当時を完璧に再現し、白黒で見せる映像は昭和の男のロマンたっぷりに展開。実直そうだが、大きな決断を厭わない主人公に石橋保。その主人公に目をかけるヤクザに宅麻伸。渋い着物姿が懐の深さを感じさせた。
ところで、原作は第26回新人シナリオコンクール準佳作受賞作。書いたのは高知在住の國吉卓爾で、放蕩三昧だった若い頃に目にした、賭場の人間模様を基にシナリオを執筆したという。70歳で初めて書いたシナリオがコンクールで受賞したのだから驚きである。「もう歳だから」は言い訳に過ぎない。いつからでも始められると背中を押された気がする。(堀)
2018年/日本/モノクロ/ビスタサイズ/5.1ch/114分
配給:シネムーブ/太秦
(C) 2018 珠出版
公式サイト:http://kasuriko.com/index.php
★2019年6月22日(土) ユーロスペースほか全国順次公開
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