2019年05月12日
コレット(原題:Colette)
監督:ウォッシュ・ウェストモアランド
脚本:リチャード・グラッツァー、ウォッシュ・ウェストモアランド、レベッカ・レンキェヴィチ
出演:キーラ・ナイトレイ、ドミニク・ウェスト、フィオナ・ショウ、デニース・ゴフ、エレノア・トムリンソンほか
フランスの田舎町サン・ソヴールで生まれ育ったコレット(キーラ・ナイトレイ)。14歳年上の人気作家ウィリー(ドミニク・ウェスト)との結婚を機に、“ベル・エポック”真っ只中の活気にあふれていたパリへと移り住む。やがて、コレットの才能にいち早く気が付いたウィリーは、自身のゴーストライターとして彼女に自伝的な小説を書かせることに。その後、コレットが執筆した「クロディーヌ」シリーズは、社会現象を巻き起こすほどの一大ブームとなった。
こうして世間もうらやむようなセレブ夫婦として注目されるようになるコレットとウィリーだったが、コレットは自分が作者であることを世間に認められない葛藤と夫の度重なる浮気に苦しめられていく。その結果、自らの歩むべき未来を追い求めるようになるのだった。
フランスの片田舎に生まれ育った少女がベストセラー作家と呼ばれるようになり、自分らしい生き方を見つけるまでを描く。
コレットは作家だが、当時のファッションアイコンでもあったらしい。結婚前はどこにでもいそうな雰囲気の少女だったが、セレブとして注目されるようになってからは白、黒、紺、茶といった色合いのパキっとしたデザインの衣装を身にまとい、意志の強さを感じさせる。特にメンズスーツを着用したシーンでは、ウィリーに対する決別の意がびんびんに伝わってきた。次々と登場する衣装も作品の見どころ。キーラ・ナイトレイは何を着てもよく似合っていた。
あらすじを読むと、ウィリーはコレットの作家としての才能を利用しただけの男のように思えるが、ドミニク・ウェストが演じるとウィリーなりにコレットを愛していたことが感じられる。ドミニク・ウェストの為せる業か。
また、「クロディーヌ」シリーズがヒットするとブランドを立ち上げ、書籍だけではなく香水、メイク、石鹸などを売り出すなど、プロデュース力は目を見張るものがあるのだから、プロデューサーに徹することができれば、盟友としてずっとやっていけたのではないか。妻の名前が有名になることが我慢できなかったのだろうが、悔やまれる。
同じ頃、日本では与謝野晶子は自分の名前で作品を発表していた。コレットは1873年生まれで、晶子は1878年に生まれで同世代である。晶子は1912年に鉄幹を追ってパリに行った。コレットと晶子はどこかで会っていたかもしれない。もし、会っていたとしたら、最初から自分の名前で作品を発表していた晶子をコレットはどう思ったのだろうか。(堀)
フランス人女性で初めて国葬されたシドニー=ガブリエル・コレット。
本作は、フランス文学界で最も知られている女性作家コレットの物語。
なのですが、こんなに有名な人物のことを全く知りませんでした。
田舎町で生まれ育ったコレットが、人気作家と結婚することにより、その才能を開花させたのに、夫がその成果を奪う。おまけに堂々と浮気まで。まったくもって男ってけしからん! でも、彼女は屈せず這い上がります。生き様に勇気を貰えます。
イギリスとの合作故、フランス語ではなく英語なのが、ちょっと残念。(咲)
2018年/イギリス・アメリカ/カラー/英語/シネマスコープ/111分/5.1ch/PG12
配給:東北新社
©2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.公式サイト:https://colette-movie.jp/
★2019年5月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館 ほか全国ロードショー
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください