2019年04月26日

バースデー・ワンダーランド 

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監督:原恵一
原作:柏葉幸子『地下室からのふしぎな旅』
脚本:丸尾みほ
音楽:富貴晴美
声の出演:松岡茉優、杏、麻生久美子、東山奈央、藤原啓治、矢島晶子、市村正親

誕生日の前日、学校を休んだアカネ(松岡茉優)は母(麻生久美子)に頼まれて、叔母のチィ(杏)が営む骨董屋に行く。そこで地下室の扉が突然開いて、謎の大錬金術師のヒポクラテス(市村正親)とその弟子の小人のピポ(東山奈央)が現れた。2人はアカネに「私たちの世界を救って欲しいのです!」と必死に請う。自分に自信のないアカネは断るが、好奇心旺盛で自由奔放な叔母のチィに促され、地下室の扉の先からつながっていた<幸せな色に満ちたワンダーランド>に行く。その世界は色が失われる危機に瀕していた。

勇気が必要なことはできれば避けたい。これは誰しもが思うこと。主人公のアカネは学校で仲のよかった友だちがイジメを受けるのに遭遇する。しかし「そんなこと、やめようよ」のひとことがどうしても言えない。そして、アカネがイジメを受けたわけではないのに、学校をずる休みしてしまう。そこでファンタジックな体験をするのである。
一般的なファンタジー作品の主人公は強い意志を持って、何かを成し遂げようとする。しかし、アカネにはそんな強い意志はない。流されるまま、自分の意志をはっきりと持つ叔母のチィとワンダーランドを旅していく。主人公らしからぬキャラクター設定だが、かえって見ている者に「自分もそういうところあるよね」と共感を呼ぶ。そして、ワンダーランドにも同じように勇気が必要なことから逃避している人物がいた。その人物をアカネが支えることでワンダーランドの危機を救う。アカネが精神的に成長し、バシバシ活躍することを期待していた人は肩透かしを食らうかもしれないが、このくらいの成長の方がリアルだろう。肝心なのは元の世界に戻ったときである。ワンダーランドを経験したアカネの成長を見てほしい。
ところで、本作の原恵一監督は『百日紅 Miss HOKUSAI』(15)で第39回アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門審査員賞を受賞しているが、本作も2019アヌシー国際アニメーション映画祭の長編映画コンペティションに正式ノミネーションされた。結果が楽しみである。(堀)


2019年/日本/115分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/birthdaywonderland/
★2019年4月26日(金) 全国ロードショー
posted by ほりきみき at 00:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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