2019年07月13日
五億円のじんせい
監督:文晟豪(ムン・ソンホ)
脚本:蛭田直美
主題歌:「みらい」ZAO
撮影:田島茂
照明:山田和弥
録音:齋藤泰陽
音楽:谷口尚久
出演:望月歩、山田杏奈、森岡龍、松尾諭、芦那すみれ、吉岡睦雄、兵頭功海、小林ひかり、水澤紳吾、諏訪太朗、江本純子、坂口涼太郎、平田満、西田尚美
幼い頃に、善意の募金の五億円により心臓手術に成功し、命を救われた17歳の少年、高月望来(たかつきみらい)。健康に成長した望来は、五億円にふさわしい自分であろうとして周囲からの期待を引き受け、マスコミに晒されるという、窮屈な青春を送っていた。
ある日、とある出来事をきっかけに、SNSで自殺を宣言したところ、”キヨ丸“という見知らぬアカウントから「死ぬなら五億円返してから死ね」というメッセージが届く。望来は家を飛び出し、五億円の”借金“を返して自由になるための旅に出る。自分を押し殺して生きてきた少年が初めて自分で見つけたやりたいこと、それが「五億円返して死ぬ」ということだった。
計算したところ、高校生でもできる時給1000円のアルバイトをした場合、1日8時間365日働いても五億円が貯まるまでに171年もかかる。漫画喫茶も、ビジネスホテルも、17歳の望来を泊めてくれない。未成年の自分は一人でも何もできない…。はたして望来は五億円を稼ぐことができるのか?そして五億円を手にしたとき、本当に死を選んでしまうのか?
GYAOとアミューズがこれからの時代を担う新たな才能の発掘を目指して、オリジナル映画の企画、出演者、ミュージシャンのオーディションを開催し、オリジナル映画を作り上げるプロジェクト「NEW CINEMA PROJECT」を企画した。そして343本の応募から見事、第1回グランプリに選ばれたのが本作である。
五億円という金額は大きなインパクトを与えるが、監督が描きたかったのは、見知らぬ人を含めた周囲の期待に息苦しさを感じているかもしれない人への励まし。本作のように募金で手術を受けたり、また、多数の人がなくなった事故で奇跡的に助かったりした子には「自分が助けてもらったように、今度は自分が誰かを助けたい」と難関国立大医学部に進学して医者を目指すといったことを勝手に期待してしまう部分があった。この作品を見るまで考えが至らなかったが、それは押し付けに過ぎないと恥ずかしくなる。
主人公を演じたのは映画『ソロモンの偽証』で転落死する中学生・柏木卓也役を演じた望月歩。あの頃の幼さがなくなり、すっきりした面立ちで、すらっと背が高くなっていた。今後が楽しみである。(堀)
冒頭で望来(みらい)くんが語りかけます。人が一生で稼ぐのは約2億円…。そしてほぼ同じだけ消費しているそうです。
え、そんなに?と思いましたか?もちろん日本中の平均値、年収が億単位の人もいれば生活に汲々とする人もあり。それにしても短期間で稼ぐのは無理でしょ。もう人生黄昏時の私は残りの人生全部かけても無理です。望来くんはいったいどうするんだ?とハラハラしつつ見守りました。
さまざまな仕事をする(それは18禁では?!)。
これまで出会うはずもなかった人に出会う(この配役が良い!)。
それぞれから思いや言葉を贈られる(金言!)。
紆余曲折ありながら望来くんは成長したようです(良かった…涙)。
文監督と主演の望月歩さんお二人そろってのインタビューができました。すぐ後の会見にも参加しましたが、Q&Aがかなり被っていました。聞きたいことはみな一緒ですね。
インタビューにはなかった望月歩さんへの「役を演じるにあたって、ためらいや心配は?」という質問に「母がすごく厳しいので、そこを見られることだけがすごく心配でした」と答えて、会場が笑いに包まれました。ついに公開されましたので、お母さまの反応がどうだったか気になります。(白)
2019年/日本/112分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
配給:NEW CINEMA PROJECT
©2019 『五億円のじんせい』NEW CINEMA PROJECT
公式サイト:https://gyao.yahoo.co.jp/special/5oku/
★2019年7月20日(土)全国公開
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください