2020年02月23日
PMC:ザ・バンカー(原題:PMC: 더 벙커)
監督・脚本:キム・ビョンウ
出演:ハ・ジョンウ、イ・ソンギュン
日本語字幕:橋本裕充
韓国特殊部隊の元兵士エイハブ(ハ・ジョンウ)は民間軍事会社(Private Military Company=PMC)の傭兵で、作戦成功率100%とCIAから絶大な信頼を受けていた。
今回のミッションは韓国と北朝鮮の軍事境界線の地下30メートルに広がる巨大バンカーで捕らえた北朝鮮要人の安全な場所への護送だ。しかし、CIAの密かな策謀、仲間の裏切り、国家間の政治的な駆け引きによって孤立し、バンカー内で絶体絶命の窮地に陥る。暗殺者の汚名まで着せられたエイハブが死地を脱する唯一の道は、迫りくる敵の包囲網を突破し、捕獲した北朝鮮最高指導者“キング”を地上へと連れ出すこと。北朝鮮のエリート医師ユン(イ・ソンギュン)の協力を得たエイハブは、瀕死の重傷を負ったキングの蘇生に成功するが、すでに八方塞がりの彼らの行く手にはさらなる過酷な運命が待っていた。
「PMCって何? ザ・バンカーって銀行モノ? でもハ・ジョンウの服装はどう見ても戦闘服だよね?」と見るまで頭の中は?でいっぱいでしたが、作品が始まると物語に一気に引き込まれます。ちなみにあらすじにも書きましたが、PMCとは民間軍事会社(Private Military Company)のこと。ハ・ジョンウはここに属する傭兵なのです。そして、バンカーは「Banker」と「Bunker」の2種類あり、ここでのバンカーは「Bunker」でコンクリート製の防御建造物、避難用のシェルターのこと。「Banker」が銀行員でした。
ただ、これがわかっていなくても、まったく問題ありません。
北朝鮮を巡るアメリカと中国の覇権争い。アメリカに雇われた傭兵たちが保護するはずの北朝鮮有力者を誘拐・殺害したとして追い詰められていくのですが、緊張感が半端ない。仲間の命をどこまで優先するか。葛藤するリーダーにハ・ジョンウ。『神と共に』シリーズでスタイリッシュなアクションを見せましたが、本作では過去のミッションのため右足が義足で、派手なアクションはこなせない設定。しかし、苦悩をにじませた表情と決断がドラマ性を高めます。
そして、北朝鮮のエリート医師ユンの指示を仰ぎ、瀕死の重傷を負ったキングの蘇生に挑むのですが、戦闘シーンとは違う緊張感にハラハラドキドキ。このエリート医師を演じたのがイ・ソンギュン。話題作『パラサイト 半地下の家族』でIT企業の社長に扮しています。細面な顔立ちは確かに、ハ・ジョンウよりもエリート感があるかも。(堀)
軍事境界線の地下要塞で激務に就く傭兵たちの出自は様々。皆それぞれに事情を抱えています。中には前科者もいます。エイハブは不法移民で、任務を遂行する見返りにアメリカの居住権を得て、生まれてくる我が子と暮らすことを心の支えにしています。でも、雇った側にとって傭兵は使い捨て。命を落とそうと知ったことじゃないのです。
極限状態の中で何とか生き延びようという、北の医師ユンとの間で生まれる一体感には、ほろりとさせられます。
エイハブ役のハ・ジョンウは、アメリカに1ヶ月以上滞在してスラング混じりの英語をマスター。一方、北のエリート医師役のイ・ソンギュンは、ソウル標準語混じりの北朝鮮方言を身につけて撮影に臨んだそうです。二人の言語対決も見所です。
地下要塞で繰り広げられる死闘の背景には、北朝鮮の非核化を実現して大統領再選を有利にしようとする米国大統領や、北朝鮮を裏で操ろうとする中国民間軍事企業の思惑が見え隠れします。「自分のことしか考えない奴らが戦争を起こす」という言葉に、まさにそうだ!と感じ入りました。(咲)
2018年/韓国/125分/ビスタ/5.1chデジタル
ⓒ 2018 CJ ENM CORPORATION, PERFECT STORM FILM ALL RIGHTS RESERVED
配給:ツイン
公式サイト:http://pmcthebunker.com/
★2020年 2月28日(金)シネマート新宿 ほか全国順次ロードショー
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