監督・脚本:香月秀之
主題歌:財津和夫
挿入歌:チューリップ
撮影:松尾誠
照明:小野村拡洋
美術:西沢和幸
録音:深田晃
出演:水野勝 剛力彩芽 松下由樹 高畑淳子 橋爪功
大原真一(橋爪功)と千賀子(高畑淳子)は、来年には結婚50年を迎える熟年夫婦。定年退職して自宅で趣味のプラモデル作りに熱中している真一は典型的亭主関白で、妻の千賀子とは事あるごとにすれ違い、夫婦喧嘩ばかりの日々を送っている。千賀子も頭の固い夫のことは相手にせず、趣味の健康コーラスに出掛け、練習後に仲間とお茶をしながらストレス発散していた。同居する独身の娘・亜矢(剛力彩芽)はどちらかというと千賀子の味方。真一のイライラは募るばかりで、友人の麻雀仲間たちと、妻に対する愚痴を言い合っている。
そんな折、娘の亜矢は自分が営むキッチンカーの客で、葬儀社に転職したばかりの菅野(水野勝)と出会う。菅野から終活フェアに誘われた亜矢は母親の千賀子に行くことを勧める。そこで菅野の上司でもあり一級葬祭ディレクターでもある桃井(松下由樹)から最新の終活情報を得た千賀子は前向きに今後のことを考えようとするが、真一は縁起でもないと嫌がり、新たな危機が生まれる。 亜矢や桃井を巻き込んだ、大原夫婦の“お終活”の行く末は!?
終活という言葉を大分前から耳にするようになってきました。必要なことだとは思うものの、死ぬ準備って何だか楽しくないと思って見始めたら、実は熟年を活き活きと過ごすコツを伝授してくれる作品だったのです。いい意味で予想を大きく裏切られました。
劇中に何度か繰り広げられる熟年夫婦の他愛もない夫婦喧嘩はどこの家庭でもある話。橋爪功と高畑淳子がコミカルに演じているのでつい笑ってしまいます。「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」で大ベストセラー作家となった黒川伊保子の「定年夫婦のトリセツ」(SB新書)が参考図書として使用されているとのこと。夫たちの愚痴話のときに大和田伸也が演じた大学教授が「女は共感を求め、男は解決を求める」と男女の違いを解説していましたが、きっとこの部分がそうなのでしょう。大きく頷く方が多いのではないかと思います。夫婦で見に行き、会話のきっかけにすることで夫婦のあり方にいい変化が生まれるかもしれません。
そうそう千賀子が入っているコーラスグループの練習風景が何度か登場しますが、歌っているのはチューリップの名曲「虹とスニーカーの頃」。熟年世代にはうれしい選曲。思わず一緒に口ずさんでしまいたくなること請け合いです。(堀)
2021年/日本/カラー/113分
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021『お終活』製作委員会
公式サイト:https://oshu-katsu.com/
★2021年5月21日全国公開
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