2020年03月14日
人間の時間 (原題/Human, Space, Time and Human)
監督・脚本:キム・ギドク
出演:藤井美菜、チャン・グンソク、アン・ソンギ、イ・ソンジェ、リュ・スンボム、ソン・ギユン、オダギリジョー
休暇へ向かうたくさんの人々を乗せ、退役した軍艦が出航する。 乗客には、クルーズ旅行にきた女性(藤井美菜)と恋人のタカシ(オダギリジョー)、有名な議員(イ・ソンジェ)とその息子(チャン・グンソク)、彼らの警護を申し出るギャング(リュ・スンボム)たち、謎の老人(アン・ソンギ)など、年齢も職業も様々な人間たちがいる。大海原へ出た広々とした船の上で、人々は酒、ドラッグ、セックスなど人間のあらゆる面を見せる。荒れ狂う暴力と欲望の夜の後、誰もが疲れて眠りにつき、船は霧に包まれた未知の空間へと入る――。
翌朝、自分たちがどこにいるのかわからず、そこから出られるのかもわからない状況に唖然とする人々は、生き残りをかけて悲劇的事件を次々に起こしていく。
キム・ギドク監督の作品は観るのに覚悟がいる。今作も「主演が日本人女優で、オダギリジョーが恋人役」と気安く考えて観たら、しっぺ返しに会うだろう。
退役した軍艦でクルーズ旅行に出掛けた人々が軍艦ごと異空間に閉じ込められる。極限状態に陥った人々は理性を失い、生存をかけた戦いは容赦がない。そして、自分もその場にいたら同じことをしてしまうのではないかという恐怖心が暗澹とした気持ちにさせる。
そんな状況でもキム・ギドク監督は希望を繋ぐ。ラストの軍艦の様子に天空の城ラピュタを思い出したのは私だけだろうか。(堀)
グンちゃん(チャン・グンソク)の熱烈ファンの友人に、『人間の時間』を試写で観たことを話したら、「え~ 日本で公開されるの?」と驚かれました。私は事情をすっかり忘れていたのですが、キム・ギドク監督のセクハラ問題やら、内容の強烈さで物議を醸した作品だったのでした。
アン・ソンギさんの静かな笑みには癒されますが、極限状態にある人間の本性むき出しの姿に目をそむけたくなる場面が多々あって、後味がいいとはいえません。
でも、主演の藤井美菜さんもすごく頑張っているし、その夫役でオダギリジョーも出ているし、なにより韓国の俳優陣アン・ソンギ、イ・ソンジェ、リュ・スンボム、チャン・グンソクと豪華です。勇気のある方は、どうぞ!(咲)
2018年/韓国/カラー/DCP/122分
配給:太秦
(C) 2018 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.
公式サイト:https://ningennojikan.com/
★2020年3月20日(金)より シネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国順次公開
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