2021年06月11日

逃げた女(原題:도망친 여자 英題:THE WOMAN WHO RAN)

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監督・脚本・編集・音楽:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、ソン・ソンミ、キム・セビョク、イ・ユンミ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、ハ・ソングク

ガミ(キム・ミニ)は、5年間の結婚生活で一度も離れたことのなかった夫の出張中に、ソウル郊外の3人の女友だちを訪ねる。バツイチで面倒見のいい先輩ヨンスン(ソ・ヨンファ)、気楽な独身生活を謳歌する先輩スヨン(ソン・ソンミ)、そして偶然再会した旧友ウジン(キム・セビョク)。行く先々で、「愛する人とは何があっても一緒にいるべき」という夫の言葉を執拗に繰り返すガミ。穏やかで親密な会話の中に隠された女たちの本心と、それをかき乱す男たちの出現を通して、ガミの中で少しずつ何かが変わり始めていく。

5年間一度も夫から離れたことがなかったと語る主人公が3人の年上の友人の家を訪れる。よく食べ、よく語る。女子トークは盛り上がり、止まらない。しかし、みなどこまで本当のことを語っているのか。久しぶりの友人の手前カッコつけてはいないだろうか。その辺りのほんの少しの駆け引きが側から見ると興味深い。また自分のことをいかに語るかに気を取られ、他の人のことが見えなくなっている気もする。最初の訪問先の友人は野良猫にエサをあげないでほしいと遠慮がちに言ってきた隣人には、大切な猫だし、猫も生きていると言って取り合わないが、そんなに大切ならば家猫にすればいいではないかと思ってしまう。
ところでタイトルの逃げた女とはいったい誰のことなのか。見終わった今でもよくわからない。監督も恐らく答えを提示するつもりはなく、観る者の解釈に任せるつもりだろう。気になるとそこで考え込んでしまうことが多い私だが、本作は主人公の先行きが気になって、その場で考え込まずにすんだ。逃げた女は考えることから私なのかもしれない。(堀)


ホン・サンス作品では、いつもロケ地が楽しみだ。よく出てくるのが趣のある韓屋が並ぶ北村や西村。今回の舞台は、景福宮を見下ろす仁王山が間近に見える地区。西村(景福宮の西)より、さらに山に近いところらしく、韓屋も点在するが、畑地も残る合間にモダンなマンションやカフェがある、郊外だけど、ちょっとお洒落な地区のようだ。
これまでの作品と同様、似た会話の「繰り返し」で綴られる物語。
最初に訪ねた大学の先輩ヨンスンは、泥沼離婚の末、財産分与で郊外に家を買った女性。
翌日、会いに行った別の先輩スヨンは、母との暮らしから抜け出し一人住まい。歩いて15分程のところにある芸術関係の人がよく来る居酒屋で知り合ったハンサムな建築家(別居中の既婚者)が偶然同じマンションの上の階に住んでいて付き合っているという。勝手気ままな日々。
そして、偶然会った友人ウジン。かつて男絡みで何かあったらしいが「もう忘れた」と和解。ウジンの勤める映画館も兼ね備えたカフェを訪ねる。同じ建物の地下でウジンの夫チョン先生の「ブックコンサート」を開く準備中。最近人気のある夫のことを喜べないと、あまり夫と一緒にいたくなさそうだ。
こんな3人を相手に、ガミは「愛する人とは何があっても一緒にいるべき」と言うのだ。
一緒にいるべき?と自問し、相手の答えも求めているようにも思えるが、ホン・サンス監督が「キム・ミニは僕の愛する人」と2017年カンヌ国際映画祭の公式記者会見で公言したことを思うと、キム・ミニ自身、ホン・サンス監督と離れられないということかと!
さて、「逃げた女」は誰?という疑問。
ウジンの夫チョン先生とばったり出会ったガミ、「あなたに会いにきたワケじゃない」と言い放つ。付き合っていたチョン先生から逃げたのがガミ? チョン先生を演じてるのがクォン・ヘヒョで、逃げたくなるのもわかる・・・というのは失礼か?! (咲)


2020年/韓国/韓国語/77分/カラー/ビスタ/5.1CH
配給:ミモザフィルムズ
© 2019 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved
公式サイト:https://nigetaonna-movie.com/
★2021年6月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 00:00| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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