2020年12月04日

夏、至るころ 

natsuitarukoro_poster_visual.jpg

原案:監督:池田エライザ 
脚本:下田悠子
撮影:今井孝博 
照明:長沼修二 
録音:菰田慎之介 
美術:松本慎太朗
音楽:西山宏幸
出演:倉悠貴、石内呂依、さいとうなり、安部賢一、杉野希妃、大塚まさじ、高良健吾、リリー・フランキー、原日出子

翔(倉悠貴)と泰我(石内呂依)は高校最後の夏を迎えていた。二人は幼い頃から祭りの太鼓をたたいてきた。だが、泰我が突然、受験勉強に専念するから太鼓をやめると言い出す。ずっと一緒だと思っていた翔は急に立ちすくんでしまう。自分はどうしたらよいのか、わからない……。
息子の将来を気にかける父(安部賢一)と母(杉野希妃)、やさしい祖父(リリー・フランキー)と祖母(原日出子)、かわいい弟。あたたかい家族に囲まれると、さらに焦りが増してくる翔。ある日、祖父のお使いでペットショップを訪れた翔は、ギターを持った不思議な少女・都(さいとうなり)と出会う。彼女は音楽をあきらめて東京から故郷に戻ってきていた……。

本作は地域の「食」や「高校生」とコラボした美味しい青春映画制作プロジェクト『ぼくらのレシピ図鑑』の第二弾として、福岡県田川市を舞台にして作られました。池田エライザ監督は地元でのオーディションやワークショップにも参加したそう。
翔を演じたのは映画初主演の倉悠貴。映画『樹海村』(清水崇監督)、『街の上で』(今泉力哉監督)、主演作『衝動』(土井笑生監督)の公開が控えています。泰我役には全国2012人の中からオーディションで選ばれた石内呂依。
主人公の父親役には大分県出身で、『ガチ☆星』の主演を務めた安部賢一、母親役は自身もプロデューサーや監督として評価の高い杉野希妃、祖父役に是枝作品常連のリリー・フランキー、祖母役に2019年、映画『鈴木家の嘘』(野尻克己監督)で第33回高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞した原日出子と実力派が脇をがっちり支えています。
翔は将来を決める時期に差し掛かったけれど、どうしたらいいかわからない。両親は幸せになりなさいと言ってくれるけれど、幸せって何だろうと悩みます。18歳には難しいですよね。私がその年齢の頃、高校の先生から「今はまだ決められなくて当然。だからこそ、親御さんが大学に進学してもいいといってくれるなら、モラトリアム期間として、もう4年、自由に過ごしてみたら」と言ってくれたのを思い出しました。
悩んだ翔は祖父や母に幸せって何?と聞くのですが、2人の答えに胸がほっこりしました。特にリリー・フランキー演じる祖父の答えは妻にとって最高の言葉でした。あ~私もそんな風に言われてみたい!(堀)


池田エライザさんの出演作を高校生役から観ていて、いろんな顔を見せる方だなぁと思っていましたが本作では初監督。きちんと作られた青春映画でした。これまでのモデルや女優の経験も生かして、出演者によりそって作られたのでしょう。ベテラン俳優陣が初々しい初主演の二人を盛り立てていました。さいとうなりさんの不思議少女も独特。映画と同じく一生忘れられない夏になったはず。
太鼓は三味線と同じくなぜか心ざわつかせるのですが、この作品でも始まりからラストまでストーリーを貫く役割を果たしています。同じ福岡が舞台の『無法松の一生』松五郎の男気あふれる太鼓を思い出しました。(白)


2020年/104分/G/日本
配給:キネマ旬報DD 映画24区
©2020「夏、至るころ」製作委員会
公式サイト:http://www.natsu-itarukoro.jp/
★2020年12月4日(金)公開
posted by ほりきみき at 18:46| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください