2020年03月14日

もみの家 

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監督:坂本欣弘 
脚本:北川亜矢子 
音楽:未知瑠 
主題歌:羊毛とおはな 「明日は、」(LD&K) 
出演:南沙良、渡辺真起子、二階堂智、菅原大吉、佐々木すみ江、島丈明、上原一翔、二見悠、金澤美穂、中田青渚、中村蒼、田中美里、緒形直人

心に不安を抱えた若者を受け入れる〔もみの家〕に、16 歳の彩花(南沙良)がやってきた。不登校になって半年、心配する母親(渡辺真起子)に促され俯きながらやってきた彩花を、もみの家を主宰する泰利(緒形直人)は笑顔で招き入れる。慣れない環境に戸惑いながらも、周囲に暮らす人々と の出会いや豊かな自然、日々過ごす穏やかな時間が、彩花の心を少しずつ満してゆく。

「生きづらさ」を抱えた若者たちが集まるもみの家。「籾(もみ)」は硬い殻をかぶった米のこと。籾は脱穀機にかけられて殻が取れて玄米になり、精米して糠のとれた白米になります。町で暮らしていると白米しか見られません。不慣れな農作業に従事する彩花が少しずつ馴染んでいき、硬い殻が取れていくようすにほっとします。生きることはもっとシンプルなはず。みんな同じじゃなくていい、と思えたら心の荷物はぐんと減りそう。
中村蒼さん、もみの家の卒業生を爽やかに演じています。2011年の『ほしのふるまち』では、東京から富山に転校してきた高校生役。星空の美しい街で自分のやりたいことを見つけたんでした。佐々木すみ江さんが彩花を温かく包む近所のおばあちゃん役です。これが遺作となりました。富山の美しい四季の中で、1年間かけて撮影された丁寧な映画です。(白)


子どもの不登校が続いたら、どんな親でもうろたえるに違いない。自分をしっかり持った、強い女性を演じることの多い渡辺真起子が気に病む母親を演じることで、よほどのことだと伝わってくる。一方、娘を演じたのは南沙良。殻にこもってもがく彩花を繊細に見せた。『幼な子われらに生まれ』、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』、『無限ファンデーション』と心に葛藤を抱える役を演じてきたのは伊達じゃない。
本作で彩花が入ったもみの家は宿泊型の自立支援塾と呼ばれ、不登校やひきこもりなど、さまざまな問題を抱える人たちが共同生活を送りながら自立に向けて動き出すよう支援する施設。全国各地にあり、自立へのサポートは施設によってさまざま。もみの家が参考にしたのが、富山県富山市郊外の稲作が盛んな農村集落 大沢野の万願寺地区にある自立支援施設「Peaceful House はぐれ雲」。ここで共同生活を体験した若者は、27年間で400人を超えるという。
慣れない環境に戸惑いながらも、彩花はもみの家での生活に次第に慣れてゆく。こんな方法もあるのだとどこかで苦しむ誰かの支えになる作品かもしれない。
(堀)


2020年/日本/105分/5.1ch/シネスコサイズ/カラー/デジタル
配給:ビターズ・エンド
©「もみの家」製作委員会
公式サイト:http://mominoie.jp/
★3月20日(金・祝)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次ロードショー!富山県で先行公開中!

posted by ほりきみき at 18:20| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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