2019年09月14日
レディ・マエストロ(原題:De dirigen)
監督・脚本:マリア・ペーテレス
音楽監督:ステフ・コリニョン
出演:クリスタン・デ・ブラーン、ベンジャミン・ウェインライト、スコット・ターナー・スコフィールド
世界中どこを探しても女性のプロの指揮者は一人もいない時代。音楽への情熱だけは誰にも負けないアントニアは、ナイトクラブでピアノを弾いて稼いだ学費で、音楽学校に通い始める。だが、ある“事件”から退学を余儀なくされ、引き留める恋人を置いて、アムステルダムからベルリンへと渡る。そこでアントニアは女性に指揮を教えてくれる師と巡り合う。しかし、憑かれたようにレッスンに没頭するアントニアに、出生の秘密、恋人の裏切り、女性指揮者への激しいバッシングなど、次々とアクシデントが襲い掛かる。
【登場する主な楽曲】
マーラー「交響曲第4番」
ドヴォルザーク「ロマンス」
バッハ「オルガン・コーラル」
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第32番」
ビゼー「オペラ《カルメン》~ハバネラ」
ドビュッシー「夢」
ストラヴィンスキー「火の鳥」
ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」
女性指揮者アントニオ・ブリコの若き日を描く。1920年代後半、女性指揮者なんてありえないない時代。それでも指揮を学びたいと巨匠に直談判。
男性たちが「女は結婚して子どもを産んでこそ幸せ」としか考えていないことがガンガンに伝わってくる。それは「女性は底辺」と言い切る下衆な恩師だけでなく、著名な指揮者や愛する男性からも。いや、男性だけでない。愛する人の母親も恐らく同じ。そこに幸せを感じる人もいる。ただ、それが全てではないことを理解してほしいと主人公を通じて作品は訴える。
愛よりも音楽を選んだ代償は大きかったが得たものも大きい。「どうせ批判されるなら心の赴くままに」。大統領夫人の言葉は現代にも響くだろう。しかし、エンドロールに書かれた音楽界の現状にまだまだ男性上位の世界であることを強く感じた。(堀)
2019年/オランダ/英語・オランダ語/カラー/シネスコ/5.1ch/139分
配給:アルバトロス・フィルム
(C) Shooting Star Filmcompany 2018
公式サイト:http://ladymaestro.com/
★2019年9月20日(金)からBunkamura ル・シネマほか全国で公開
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