監督:デスティン・ダニエル・クレットン
脚本:デスティン・ダニエル・クレットン、アンドリュー・ランハム
原作:ブライアン・スティーブンソン著「黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う」(亜紀書房刊)
出演:マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、 ブリー・ラーソン、オシェア・ジャクソン・Jr.
黒人への差別が根強い1980年代アラバマ州、犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルター(ジェイミー・フォックス)を助けるため、新人弁護士ブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は無罪を勝ち取るべく立ち上がる。しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正がブライアンの前に立ちはだかる。果たしてブライアンは、最後の希望となり、彼らを救うことができるのか。
弱者のために働きたい。ハーバード出身の黒人弁護士ブライアン・スティーブンソンの奮闘を殺人容疑で捕まった黒人男性ウォルターの無実立証を中心に描いています。
ブライアン・スティーブンソンとはどんな人なのでしょう。公式サイトには、このように説明されています。
Who is ブライアン・スティーブンソン?
アメリカの弁護士、社会正義活動家。アラバマ州モンゴメリーを拠点とする司法の校正構想(イコール・ジャスティス・イニシアチブ)の事務局長も務める。
アメリカでは「黒人男性の3分の1が刑務所に入ったことがある」という問題を抱えるなか、多くの死刑囚の救済措置を勝ち取る。貧困者や黒人に対する偏見に立ち向かうその姿勢は高く評価されている。マッカーサー財団の“天才”賞ほか受賞歴多数。
日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは有名な弁護士のようです。
ブライアンが接見を求めると、弁護士であるにもかかわらず下着まで脱ぐ身体検査を求められました。ここにまで差別があるのか! 組織を超えて蔓延る負の一体感に勝つには正義感だけでは足りない。強い信念が不可欠だとひしひしと感じます。しかし、ブライアンの正義感と信念が個々の心を動かしていく。
「この人までがこんな風に変わるんだ」とうれしい驚きも映し出していました。時間はかかっても未来に希望があると作品から伝わってきます(堀)
1988年のアラバマ州...、映画の主題、地理的な面からも、名作『アラバマ物語』を想起させる。’62年製作の’30年代を設定としていた先の作品以降も、米国の状況が変わらないという事実に慄然とする!
矛盾と義憤、犠牲の象徴である被告人に扮するジェイミー・フォックスの演技には震えを覚えた。登場時には絶望、諦念、シニカルさ、長年の拘禁反応によると思われる顔筋の弛緩が見て取れる。が、弁護士ブライアンの強靭な意思と努力、周囲の支援により、微かな希望が湧いてきた時に生じる眼光の変化にご注目頂きたい。終盤には大きなカタルシスが待ち受けている。
『ショート・ターム』『ガラスの城の約束』のデスティン・ダニエル・クレットン監督のストレートな話法、監督とは3回目のタッグであるブリー・ラーソンの自然体演技は本当に相性が良いようだ。(幸)
2020年/137分/G/アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/kuroi-shiho/index.html
★ 2020年2月28日(金)ロードショー