2020年01月11日

インディペンデントリビング

independent.jpg

監督:田中悠輝
プロデューサー:鎌仲ひとみ
撮影:辻井潔 田中悠輝 岩田まき子 小角元哉 マット・フィールド
構成・編集:辻井潔
音楽:ガナリヤ サイレントニクス Cloud Nine(9)

物語の舞台は大阪にある自立生活センター。ここは障害当事者が運営をし、日常的に手助けを必要とする人が、一人で暮らせるよう支援をしている。先天的なものだけでなく、病気や事故などにより様々な障害を抱えながら、家族の元や施設ではなく、自立生活を希望する人たち。自由と引き換えに、リスクや責任を負うことになる自立生活は、彼らにとってまさに“命がけ”のチャレンジ。家族との衝突、介助者とのコミュニケーションなど課題も多く、時に失敗することもある。しかし、自ら決断し、行動することで彼らはささやかに、確実に変化をしていく。

自立生活センターとは?
重度の障害があっても地域で自立して生活ができるように、必要なサービスを提供する事業体であり、同時に障害者の権利の獲得を求める運動体である。センターは障害当事者により運営され、身体障害に限らず、知的、精神の障害者のサポートもしている。1972年、アメリカ・カリフォルニア州に世界初の自立生活センターが誕生。1986年に日本でも初めての自立生活センターが生まれた。2019年現在、全国に121の自立生活センターがある。
(公式サイトより転載)

2018年に大泉洋主演で『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』という作品がありました。筋ジストロフィーに罹った鹿野靖明さんがボランティアの支えを受けながら、自らの夢や欲に素直に生き、皆に愛され、またボランティアも彼を支えることで自らの生きる姿勢を見つけていく姿を描いた人間ドラマです。この作品に近いのかなと思いながら試写を見ましたが、ちょっと違っていました。
日常的に介助を必要とする障碍者が、自らが自立して地域で生活するだけでなく、自分以外の障碍者が自立した生活を送れるよう、組織を作って積極的に活動していたのです。
登場人物の1人、渕上さんが終盤に語った「この仕事をやるために頸損になったんだと今は思える」という言葉に驚くとともに、自分の力で生きている人の力強さを感じました。
障害を持っていても自立した生活を送ることができる。この作品を見ることで、「介助は家族がするもの」という固定概念が変わっていくのではないかと思います。(堀)


試写を観ながらすぐ思い浮かんだのが、やはり『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』でした。このドキュメンタリーではセンターを運営しているのが、障がいのある当事者です。介護を受ける側でもありますが、受けるばかりでなく他の必要とする人のために、働いています。足りないもの必要なことが一番わかるのは当事者ですもんね。日本のお偉方の打ち出す政策やなんやかやが変なのは、自分が困ってもいなくて、体験もなければ想像することもできないからでしょう。体験学習ができないなら(お年寄りが多いからね)当事者の声をよっく吸い上げてほしいものです。
嘆きはさておき、この映画です。登場する人たちは元気でよく笑い、わがままだって言います。田中監督は介護ヘルパーとして働いていたときに、鎌仲ひとみ監督(今作はプロデューサー)のぶんぶんフィルムのスタッフになったそうです。至近距離から撮られた初監督作品。(白)


2019年/日本/カラー/98分
配給:ぶんぶんフィルムズ
(C) ぶんぶんフィルムズ
公式サイト:https://bunbunfilms.com/filmil/
★2020年1月11日(土)より、大阪・第七藝術劇場にて先行上映。2020年春、東京・ユーロスペースほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 10:38| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください