2019年08月31日

ヒンディー・ミディアム(原題:Hindi Medium) 

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監督・脚本:サケート・チョードリー 
脚本:ジーナト・ラカーニー
出演:イルファーン・カーン、サバー・カマル ほか

デリーの下町で結婚衣装の店を営んでいるラージ・バトラ(イルファーン・カーン)は、妻のミータ(サバー・カマル)と娘のピアの3人暮らし。娘の将来のため、ラージとミータは娘を進学校に入れることを考えていた。そうした学校は面接で親の教育水準や居住地まで調べていることを知るが、ふたりの学歴は高くなく、2人は娘のために高級住宅地に引っ越して本格的に面接に臨むが、結果は全滅。落胆する2人に、ある進学校が低所得者層のために入学に優先枠を設けているという思わぬ話が舞い込む。追いつめられたラージたちは貧民街に引っ越して優先枠での入学を狙うのだったが・・・。

タイトルの“Hindi Medium”とは…
インドで“ヒンディー語で授業を行う公立学校”のことを指す。対して、英語で授業を行う私立の名門校は“English Medium”とされ、ラージとミータはピアを“English Medium”に入学させようと奮闘する。


インドのお受験事情も熾烈。娘をエリート校に入れたい妻のため夫は奔走。高級住宅地に引っ越してハイソな家庭と交流し、受験塾に同伴して模擬面接を受け、願書をもらうために夜明け前から並ぶ。この辺りは日本と同じ。その立場のときは必死だが、こうやって客観的に見せられると笑ってしまう。最後の手段は低所得者枠で出願するため家族で貧民街に引越し。さすがにこの制度は日本にはない。しかし、貧民街での生活で夫婦は人生において本当に大切なことに気付く。。教育とは何なのかを改めて考えさせられた。

ラージを演じるイルファーン・カーンは本作でインド国内の映画賞である国際インド映画アカデミー賞、スター・スクリーン・アワード、フィルムフェア賞で主演男優賞3冠を果たした。また、ラージの妻でなりふり構わない教育ママのミータを演じたのはサバー・カマル。パキスタンで最も活躍するトップ女優のひとりで本作がインド映画初出演。2017年にインドで公開されると年間興収トップ10入りの大ヒットを記録した。
(堀)


せっかく本作でインド映画に進出し人気を博したパキスタンのトップ女優サバー・カマルだが、残念ながらカシミールの緊張が解けるまでインド映画への出演はお預けになった。
インドとパキスタンの映画人の交流が盛んになってきて、嬉しい兆候と思っていたのに、2016年9月、インドの映画製作者団体が、両国関係が正常化するまでパキスタン人俳優、歌手や技術者を起用しないとの方針を表明したのだ。
2019年8月17日、 ヒンドゥー至上主義のモディ首相が、北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪。カシミール問題は、さらに混迷を深め、両国の映画人の交流はますます遠のいた。残念なことだ。

本作で、もう一人注目した女優がティロートマ・ショーム。
『あなたの名前を呼べたなら』 (2019年8月2日公開)で主役の家政婦を演じた彼女が、本作では、お受験コンサルタントとして出ていて、それがもう、テキパキと仕事をこなすキャリアウーマン。相談に来たラージとミータの夫妻に、「あなたたちの英語のレベルがそれじゃダメ」と鼻で笑い飛ばして痛快。
インドでは、英語の能力はほんとに重要。口喧嘩した時にも、最後には英語でまくしたて、どちらの英語が上かで勝負が決まると聞いたことがある。
本作のヒットを受け、続編『Angrezi Medium(英語で授業を行う学校)』が製作されているとのこと。監督は違うが、イルファーン・カーンが引き続き主演。日本でまた公開されるのを楽しみにしたい。(咲)



2017年/インド/132分/ヒンディー語/シネマスコープ/カラー/5.1ch/映倫G
配給:フィルムランド、カラーバード
公式サイト:http://hindi-medium.jp/
★2019年9月6日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
posted by ほりきみき at 16:58| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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