2022年06月29日
エルヴィス(原題:Elvis)
監督:バズ・ラーマン
出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング、コディ・スミット=マクフィー
腰を小刻みに揺らし、つま先立ちする独特でセクシーすぎるダンスを踊りながら、禁断の音楽“ロック”を熱唱するエルヴィスに、女性客は大興奮。小さなライブハウスから始まったその熱狂は瞬く間に全米に広がり、エルヴィスはスーパースターになっていった。しかし、若者に熱狂的に受け入れられた一方、まだ保守的な価値観しか受け入れられなかった時代にエルヴィスのパフォーマンスは世間の非難を一身に浴びてしまう…。
世界で最も売れたソロアーティストとギネス認定されているエルヴィス・プレスリー。1日に売り上げたレコード枚数2000万枚、レコード総売り上げ30億枚、出演TV番組最高視聴率82%と他にも様々な記録を打ち立てているスーパースターです。そのエルヴィスのロック歌手としての軌跡をマネージャー、トム・パーカーの視点で描きました。
エルヴィスをリアルタイムで知らない私はエルヴィスと聞いたら、小太りのおじさんが派手でぴたぴたの衣装を身にまとって熱唱している姿を思い浮かべてしまうので、あの人がなぜスーパースターといわれるのか、長年ずっと謎でした。ところがこの作品を見て、疑問が氷解。デビューしたばかりのことは瘦せていて、すごくセクシーだったのですね。本作はブレイクする瞬間を描いたがクローズアップされていますが、空気が変わる一瞬をとらえたバズ・ラーマン監督の演出は見事。ブームってこうやって生まれるものなのねと目撃した気持ちになります。もう1つ、少年時代のエルヴィスが音楽に目覚めた瞬間もまるで神の祝福を受けたかのような演出で映し出し、秘密を見せてもらった気持ちになりました。
ゴスペルとR&Bにカントリーミュージックを融合させ、ブラックカルチャーをいち早く取り入れたエルヴィスの音楽はアメリカの若者たちに支持されていきます。しかし当時はまだ保守的な価値観が主流で、エルヴィスのパフォーマンスは世間の非難を浴びました。それでも自分の音楽を貫こうとするエルヴィスのカッコよさったら!世間に迎合することを勧め、サンタが編み込まれたカーディガンを着るマネージャーのトム・パーカーはまるでピエロのよう。一緒にそのカーディガンを着るエルヴィスでなくて本当に良かった。
世界的なスーパースターのエルヴィスでしたが、海外公演は一度も実現していません。映画の中で、ドイツと日本は1回100万ドルなんて話が出てきて、エルヴィスも乗り気になるのですが、悪役トム・パーカーがここでも暗躍。なぜエルヴィスの海外公演が実現できなかったのかはぜひ映画で目撃してください。セリフではなく、メモでその答えの1つが描かれています。(堀)
配給:ワーナー・ブラザース映画
2022年/アメリカ/159分
© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/elvis-movie/
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