2020年03月14日

CURED キュアード(原題:The Cured)

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監督・脚本:デイヴィッド・フレイン
出演:エレン・ペイジ、サム・キーリー、トム・ヴォーン=ローラー

人間を凶暴化させる新種の病原体、メイズ・ウイルスのパンデミックによって大混乱に陥ったアイルランド。6年後、治療法が発見されたことで秩序を取り戻し、治療効果が見られない25%の感染者は隔離施設に監禁され、治癒した75%は“回復者”として社会復帰することになった。回復者のひとりである若者セナン(サム・キーリー)は、シングルマザーの義姉アビー(エレン・ペイジ)のもとに身を寄せるが、回復者を恐れる市民の抗議デモは激しさを増すばかり。やがて理不尽な差別に不満を募らせ、過激化した回復者のグループは社会への復讐テロを計画する。その怒りと憎しみの連鎖はセナンやアビー親子を巻き込み、新たな恐怖のパンデミックを招き寄せるのだった……。

あまたあるゾンビ映画でこれまで描かれなかった「その後」です。フィクションとはいえ、辛いのは元ゾンビだった治療済みの人たちの記憶が鮮明であり、PTSDに苦しんでいること。戦争中に命令のまま行ったことに苦しむ帰還兵士たちが重なります。記憶が日ごとに薄れても、あったことをなかったことにできないのは本人です。主演のエレン・ペイジが製作にあたっています。
つい先日、新型コロナウィルスのパンデミック宣言が出たばかりなので、なんだか身近な感じがしてしまいます。今、電車内や映画館で咳き込んだら…みんな離れていきそうです。マスクはもちろんお茶やのど飴必携な今日この頃。早く終息させるにはどうすれば?(白)


感染者のうち、75%は治癒したとされ、回復者として社会復帰するのだが、家族はそれをすんなり受け入れられるのだろうか。若者セナンはジャーナリストである義理の姉アビーが身元引受人になってくれたが、元弁護士のコナーは父親から拒否される。父親は妻を襲った息子が許せないのだ。しかし、義弟を受け入れたアビーも不安がないわけではない。当然である。彼女は感染パニックの中で夫を喪っており、セナンを受け入れたことで、自宅に差別的な落書きをされた。とはいえ、ジャーナリストとして、理性的な選択をしなくてはいけないという思いもある。その苦悩はいかばかりか。エレン・ペイジが揺れる心情を繊細に体現した。
本作はあくまでもゾンビ・ウィルスへの恐怖と不安を描いているが、これはさまざまな差別や対立に置き換えられる。立場の違いを乗り越え、みなが互いに受け入れて、手を取り合って生きていく社会の実現は難しい。しかし、本作のラストでアビーはセナンを信じ、未来を託す。どんな状況でも希望はあると信じたい。(堀)


2017年/95分/アイルランド・フランス合作
配給:キノフィルムズ
©Tilted Pictures Limited 2017
公式サイト:http://cured-movie.jp/
★2020年3月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開

posted by ほりきみき at 18:16| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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