2020年06月12日

アンティークの祝祭(原題:La derniere folie de Claire Darling、英題:CLAIRE DARLING)

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監督・脚本:ジュリー・ベルトゥチェリ 
原作:リンダ・ラトレッジ著「La derniere folie de Claire Darling」
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、キアラ・マストロヤンニ、アリス・タグリオーニ、ロール・カラミー、サミール・ゲスミ

意識や記憶がおぼろげになることが増えてきたクレール(カトリーヌ・ドヌーヴ)は夏のある朝、突然「今日が私の最期の日」と確信。長年かけて集めてきたからくり人形、仕掛け時計、肖像画など数々のコレクションをヤードセールで処分することにする。見事な品々の大安売りに、庭先はすぐにお客と見物人で賑わいはじめた。大きな家財から小さな雑貨まで家中を彩り続けたアンティークたちは、いつもクレールの人生と共にあった。それは、彼女の劇的な生きざまの断片であり、切なく悲劇的な記憶を鮮明に蘇らせるものでもあった。
そこに、疎遠になっていた娘マリー(キアラ・マストロヤンニ)は、母のこの奇妙な行動を友人のマルティーヌ(ロル・カラミー)から聞きつけ、20年ぶりに帰ってくる。

ドヌーヴの毅然とした表情を見ていると「今日が人生最後の日なんてわかるもの?」という疑問も払拭されてしまいます。
クレールがなぜ1人で暮らしているのか。家族はどうしたのか。最初は分からないことばかりですが、少しずつ明らかになっていきます。それとともに浮かび上がってくる娘との確執。圧倒的な存在感を放つ母親とうまくやっていくのは難しかったことでしょう。娘マリーを演じたのはドヌーヴの実の娘のキアラ・マストロヤンニですが、マリーの寂しさはそのままキアラの寂しさではないかと思ってしまいました。実際にはどうなのでしょう。
クレールの邸宅は監督の祖母が遺したもので、作品を彩るティファニーやバカラなどの高級アンティークもその祖母や監督の私物だそう。この点でも見応えたっぷりの作品です。(堀)


「こんなヤードセールがあったら私も行きたい!」と誰しも思うはず。それほど素敵な品々が並んでいました。ロケーションも、屋内の撮影も美しいです。初という白髪も似合って、あたりを払うような貫禄のカトリーヌ・ドヌーヴでした。
マストロヤンニそっくりの実の娘キアラとの共演が久しぶりです。記憶を一番確かにとどめるのはやはり我が子か?親が消えてもたしかに続いていきます。
刻み込まれた記憶はその人のもの、墓に持って行けるのはそれだけです。その記憶も混濁してきたら、執着も消えていくのでしょう。断捨離進まず、まだ執着するものがある私、あともうしばらくの時間はほしい。(白)


2019/フランス/スコープサイズ/94分/カラー/フランス語/DCP/5.1ch
配給:キノフィルムズ/木下グループ   
©Les Films du Poisson - France 2 Cinema - Uccelli Production - Pictanovo
公式サイト:http://clairedarling.jp/
★2020年6月5日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 21:33| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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