2020年11月03日

トルーマン・カポーティ 真実のテープ(原題:The Capote Tapes) 

The Capote Tapes poster.jpg

監督:イーブス・バーノー
出演:トルーマン・カポーティ、ノーマン・メイラー、ジェイ・マキナニー、アンドレ・レオン・タリー

『ティファニーで朝食を』(58)、『冷血』(66)など多くの名作を残した20世紀を代表する文豪トルーマン・カポーティ。流行作家でもあり、マスメディアの急激な発展と共にあった戦後アメリカの代表的なセレブリティでもあった。『冷血』の大成功を経て、長年出版が待ち望まれた新作『叶えられた祈り』は、ニューヨークのハイソサエティの実態を描いた最高傑作となるはずだった。しかし「エスクァイア」誌に章の一部が発表されるや否や、そのスキャンダラスな内容によって激しい論争を巻き起こす。社交界から追放され、多くの友人を失ったカポーティは、アルコールと薬物中毒に苦しみ、作品の完成を待たずして60歳を目前にこの世を去ることとなる。

ジョージ・プリンプトンがカポーティの関係者や友人、約170人にインタビューした音声テープの音声をイーブス・バーノー監督が新たに取材した映像に挟み込みながら、トルーマン・カポーティの人生を紐解きました。
カポーティが親に捨てられ、親戚に育てられたという不幸な境遇からニューヨーカー誌で雑用係として働いていた過去やその後の起伏に富んだ生き様がさまざまな証言から炙り出されます。
カポーティの代表作『ティファニーで朝食を』『冷血』のエピソードをふんだんに盛り込み、カポーティの人となりが明らかに。そして、彼の人生を大きく左右した問題作『叶えられた祈り』がどのようにして書かれ、周囲にどんな影響を与えたのかへと繋げていきます。カポーティを知っている人には興味深く、知らない人には興味を持たせるでしょう。
カポーティは『叶えられた祈り』で彼がスワンと呼んだNYのセレブたちのスキャンダラスな内輪話を書いています。夫たちから精神的に虐げられているスワンたちの鬱憤を晴らしてあげたいという思いから執筆したようですが、思いとは裏腹に彼女たちをより傷つけてしまいました。もし、カポーティが現代に生きていたら、SNSでの炎上を頻繁に引き起こしていたのではないかと、ふと思ってしまいました。本作から書くことの難しさや怖さも伝わってきます。私たちもSNSでの発信が気軽にできるがゆえにそれを読んで傷つく人がいないか、送信前に一度考えたほうがいいかもしれません。(堀)


2019年/アメリカ=イギリス/英語/98分/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1ch
配給:ミモザフィルムズ
© 2019, Hatch House Media Ltd.
公式サイト:http://capotetapes-movie.com/
★2020年11月6日(金)からBunkamuraル・シネマほか全国で順次公開

posted by ほりきみき at 00:29| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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