撮影・編集・脚本・監督:越川道夫
音楽:斉藤友秋
出演:瀬戸かほ、深水元基、山田キヌヲ、縄田かのん、宇野祥平
ユリ(瀬戸かほ)は、小さな古本屋を営む一回り年上の夫、トモ(宇野祥平)と暮らしている。バイトをしているうちに強く請われ、一緒になった。
トモは車の事故で、前の妻(縄田かのん)を亡くしていた。今でも毎日、前の妻のことを思い出す一方で、ユリがいつか自分のもとを去ることには耐えられない。死ぬ時は、幸福のてっぺんで死にたいと思っている。
そこにトモの幼馴染のリュウタ(深水元基)が訪ねてくる。長い間会っていなかった父が亡くなり、遺品の本をトモに買い取ってもらうためだった。
ユリは初めて会ったときから、リュウタに抱かれたいと願い、トモへの罪悪感に苛まれながらも思いを募らせていく。そして、もう後戻りはできないとわかったとき、ユリはリュウタが待つ場所へと駆けつけ、夢中で自分のすべてを委ねるのだった。
夫の指先や唇が妻の体を伝い、歓びを導き、妻は大胆な言葉を口にする。一方で胸に重ねられた男の掌に愛を感じつつも踏み留まる。妻のぎりぎりの貞淑さが切ない。募りに募った想いの先の交わりより、その後に2人で葡萄を食べるシーンが官能的だった。越川監督が抜擢した主演の瀬戸かほは本格的演技が初めてながら大健闘した。
夫を演じたのは宇野祥平。てっきり凄惨な修羅場があるかと思いきや、最後までみなが愛にきちんと正面から向き合っていた。(堀)
2019年/日本/106分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch
配給:コピアポア・フィルム
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公式サイト:http://aireki2019.com/
★2019年10月19日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
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