2021年02月07日
秘密への招待状(原題:After the Wedding)
監督:バート・フレインドリッチ
プロデューサー:ジュリアン・ムーア、バート・フレインドリッチ
出演:ジュリアン・ムーア、ミシェル・ウィリアムズ、ビリー・クラダップ、アビー・クイン
インドで孤児たちの救援活動に人生を捧げるイザベル(ミシェル・ウィリアムズ)は、施設の維持費を集めるために日々駆け回っていた。そんな彼女のもとに、多額の寄付の話が舞い込む。ただし、メディア会社を経営する支援者のテレサ(ジュリアン・ムーア)にニューヨークまで会いに行くのが条件だった。話をまとめて一刻も早く孤児たちの元へ帰りたいイザベルを、娘の結婚式に強引に招待するテレサ。寄付金のために渋々出席したイザベルは、テレサの夫を見て驚愕する。それは21年前、イザベルが18歳の時にいさかいの果てに別れた恋人、オスカーだった。結婚式への招待状をきっかけに明かされる、家族の衝撃的な〈真実〉と、新たな〈秘密〉。この日を境に、彼女たちの人生は予想もしない未来へと転がっていく。
2006年にアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたスザンネ・ビア監督『アフター・ウェディング』に惚れ込んだジュリアン・ムーアと、彼女の夫で監督のバート・フレインドリッチが製作に乗り出して豪華にリメイクしたのが本作です。オリジナル版では主人公が男性でしたが、こちらは女性に変更。ジュリアン・ムーアがニューヨークで暮らす億万長者の会社経営者テレサを演じ、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などで4度アカデミー賞にノミネートされているミシェル・ウィリアムズが、インドで孤児たちの救援活動に人生を捧げるイザベルに扮しました。
オリジナル版と主人公の性別を変えたことで、秘密の設定にちょっと無理が生じたような気もしますが、そこに違和感を覚える間もなく、見る者の意識を本筋にぐいっと引っ張り込んでしまう辺りは演技派といわれるジュリアン・ムーアとミシェル・ウィリアムズだからこそ。舞台もインドはそのままですが、デンマークをニューヨークに変えたことで格差が際立ち、物語を盛り上げます。
人生、どこで何が起こるか、わかりません。後悔している黒歴史があっても、それからちゃんと地に足のついた生活を送っていれば、その黒歴史も明るい未来に繋がっていくと思えてくる作品です。(堀)
冒頭、上空から緑豊かな地にヒンドゥー寺院が佇む光景が映し出され、次には階段に囲まれた貯水池の水辺に民族衣装の女性二人。貯水池を囲む土手では、西洋人の女性と子どもたちが瞑想中・・・ ここはどこ?と一気に映画に惹き込まれます。ロケ地は、南インドのタミル・ナードゥ州カライクディという町。実は、シナリオはコルカタのスラム街で孤児院を営んでいるという設定だったそうです。モンスーンの季節でコルカタでの撮影が叶わず、代わりに探し出したのがカライクディ。素朴な店が並ぶ通りも味わい深いです。白人女性のイザベルは、どんな経緯があって、この自然豊かな中で、孤児たちの為に奔走しているのだろうと想像が膨らみました。
この後、孤児院の為に資金を出すという富豪からイザベル本人が来るようにとのご指名でニューヨークに飛び、イザベルの過去が明かされていきます。できれば、それ以上の予備知識を持たずに映画をご覧いただくことをお薦めしたいです。(咲)
オリジナル版の『アフター・ウェディング』を未見なうえ、ミシェル・ウィリアムズが若々しいので、ビリー・クラダップが元カレでなく、疎遠の父かと勘違いしてしまいました。ちょっと謎解きストーリーになっていて、なぜこんなややこしいやり方を?と最初解せません。今の地位も資産も自分の力で手に入れたテレサは、何にも動じない強い女性に見えます。それが本音を吐露して泣く場面に、やっと親近感がわいてきます。
娘グレイス役のアビー・クインはシンガーソングライターでもあり、この映画の中でも曲が使われているようです。後で知ったので確認してみなくては。(白)
2019/英語/アメリカ/112分/5.1ch/カラー/スコープ/ G
配給:キノフィルムズ
© ATW DISTRO, LLC 2019
公式サイト:https://afterthewedding.jp/
★2021年2月12日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
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