100年前、日本の国家権力に全力で抗った虚無主義者/無政府主義者・金子文子。
死刑判決から獄中での自死に至る121日間を描く。
監督:浜野佐知
企画:鈴木佐知子 脚本:山﨑邦紀 撮影監督:髙間賢治(JSC)
音楽監督:吉岡しげ美 照明:上保正道 録音:山口勉 美術:佐々木記貴
セットデザイン:中嶋義明 制作:森満康巳 助監督:永関勇
衣裳:青木茂 ヘアメイク:小堺なな 編集:目見田健
出演:菜 葉 菜 小林且弥 三浦誠己 洞口依子 白川和子 結城貴史 白川和子 菅田俊 大方斐紗子 吉行和子 ほか
1923年9月、朝鮮人の朴烈と共に検束され、1926年3月、大逆罪で死刑判決を受けた虚無主義者/無政府主義者の金子文子。恩赦で無期に減刑され、栃木女子刑務所に送られたが、独房で自死した。没年23歳。
金子文子は、なぜ死んだのか?
本作は、残された生の声を伝える短歌をもとに、これまで空白であった死刑判決から自死に至る 121 日間の、文子のたったひとりの闘いを描く。
金子文子は1903年に生まれたが、父が出生届を出さず「無籍者」として育つ。9歳の時、植民地だった朝鮮に住む祖母の家に引き取られる。奴隷同然の虐待を受け、13歳で自殺を決意するが思いとどまる。16歳で山梨の母の実家に戻され、その後、東京で苦学し、キリスト教、社会主義、無政府主義とたどって、権力や生物の絶滅を謳う虚無主義に。そして、朝鮮で独立運動に身を投じ、日本に逃れて来た朴烈と出会い、同志であり恋人になった。
二人は不逞社を組織して、日本の帝国主義、植民地主義を批判する活動を開始した。しかし、関東大震災(1923)の際に混乱に乗じて、官民による朝鮮人虐殺を正当化するため、皇太子を狙った爆弾犯として「大逆罪」(天皇や皇族に対して危害を加えた、あるいは加えようとした罪)としてでっちあげられ検束された。日本の国家と対峙して思想的な闘いを展開したが、大審院で死刑判決が下される。栃木女子刑務所に送られた文子は、恩赦に感謝し皇室に恭順の意を示すよう強要されるが拒絶。1926年7月23日、独房で自ら縊死した。
メガホンを取ったのは、1971年にピンク映画で監督デビューし、300本を超える映画を監督・制作してきた浜野佐知。自主制作作品では、尾崎翠(作家)、湯浅芳子(ロシア文学者)、宮本百合子(作家)など100年前の日本で自らを曲げることなく生きた女性たちを描いてきた浜野監督が長年映画化を切望し続けた「金子文子の最後の孤独な闘い」を監督人生の集大成として完成させた。脚本は山﨑邦紀、撮影監督は高間賢治、音楽監督は吉岡しげ美。キャストには主演に菜葉菜。
主演には、菜 葉 菜。『百合子、ダスヴィダーニヤ』『雪子さんの足音』で浜野監督作品に出演し、その演技力 から文子役として抜擢。最後まで国家権力に叛逆した文子の魂の叫びを体現した。また文子の同志・朴烈には、 監督としても活躍している小林且弥。予審訊問で文子と問答を重ねる予審判事・立松懐清には、三浦誠己。
文子に転向声明を書かせるよう指示を受けた女子刑務所長に結城貴史。教誨師として文子と対話する片山和里子に洞口依子。他、浜野作品に馴染みの深い吉行和子、白川和子、大方斐紗子、鳥居しのぶに加え、和田光沙、 咲耶、佐藤五郎、菅田俊、足立智充など個性的な俳優陣が集結。長野県松本市にある戦前の裁判所や少年刑務所を移築した 「松本市歴史の里」などで撮影された。
金子文子が検束されたのは、1923(大正12年)9月1日に起こった関東大震災直後の9月3日。この時、「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」といった流言飛語が広まり、たくさんの在日朝鮮人たちが殺された。そしてそれに乗じて、官憲による労働運動家・無政府主義者らの逮捕、虐殺事件も起きた。大杉栄、伊藤野枝は憲兵隊特高課に連行され、憲兵隊司令部で甘粕正彦憲兵大尉らによって殺害され、遺体が井戸に遺棄された(甘粕事件)。金子文子はすぐに殺されはしなかったけど、でっち上げで刑に服すことになった。100年前のことだけど、今回の選挙後、かつてのような状況が出てこないとも限らない。民主主義の危機を感じる。小選挙区の形になってから、一人しか当選者がいない選挙区が増え、少数意見が抹殺されているのを痛切に感じる。日本はどうなっていくのだろう。戦前のように、自由にものが言えない時代が来るのではないかという不安がある(暁)。
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製作・配給 旦々舎 映倫レイティング|PG12
日本 2時間1分
■浜野佐知監督コメント
私が金子文子と出会ったのは、文子が獄中で残した自伝『金子文子 何が私をこうさせたか』でした。読み進むうちに時代も年齢も違うのに、文子の魂が私の中で蘇ったかのような感覚を覚えました。日本という国からの、あらゆる差別に猛然と反発した文子、その怒りを、私は自分の怒りとして受け止めたのです。
無籍者として存在を消され、一時期奴隷同然の生活を強いられた文子とは比べ物にもなりませんが、私もまた、女は映画監督になれないと門を閉ざした日本映画界で、映画監督への道を歩み、生き抜いてきたからです。
100年後の「今」という時代にこそ、権力に抗い、たった一人で国家に戦いを挑んだ「文子」という爆弾を投げ込みたい。
その私の願いが、まるで文子が乗り移ったかのような菜葉菜さんという役者を得て、今作品で結実しました。
ぜひ一人でも多くの人に見ていただけることを願っています。
●舞台挨拶情報
◆東京
ユーロスペース(http://eurospace.co.jp/schedule/)
2026年2月28日(土)~ ゲスト舞台挨拶あり
◆静岡
静岡東宝会館(https://www.cine-7.com/)
2026年3月6日(金)~
3月8日(日) ゲスト舞台挨拶あり
◆浜松
シネマイーラ(http://cinemae-ra.jp/)
2026年3月6日(金)~
3月7日(土) ゲスト舞台挨拶あり
◆名古屋
シネマスコーレ(http://www.cinemaskhole.co.jp)
2026年3月7日(土)~ ゲスト舞台挨拶あり
◆京都
京都シネマ(https://www.kyotocinema.jp/)
2026年3月13日(金)~3月26日(木)
3月15日(日) ゲスト舞台挨拶あり
◆長野
長野相生座・ロキシー(http://www.naganoaioiza.com/)
2026年3月13日(金)~
3月20日(金・祝) ゲスト舞台挨拶あり
◆大阪
シネ・ヌーヴォ(http://cinenouveau.com/)
2026年3月14日(土)~3月27日(金)
3月14日(土) ゲスト舞台挨拶あり
◆神戸
元町映画館(https://www.motoei.com/)
2026年3月21日(土)~ ゲスト舞台挨拶あり
◆横浜
シネマリン(https://cinemarine.co.jp/)
2026年3月28日(土)~ ゲスト舞台挨拶あり
◆群馬
前橋シネマハウス(https://maecine.com/)
2026年3月28日(土)~
3月29日(日) ゲスト舞台挨拶あり
◆大阪
シネ・ヌーヴォX(cinenouveau X)
2026年3月28日(土)~4月10日(金)
◆広島
横川シネマ(https://yokogawa-cine.jugem.jp/)
2026年4月4日(土)~ ゲスト舞台挨拶あり
◆尾道
シネマ尾道(http://cinemaonomichi.com/)
2026年4月4日(土)~ ゲスト舞台挨拶あり
◆大阪
シアターセブン(https://www.theater-seven.com/)
2026年4月4日(土)~
4月5日(日) ゲスト舞台挨拶あり
◆長野
上田映劇(https://www.uedaeigeki.com/)
2026年4月10日(金)~
4月12日(日) ゲスト舞台挨拶あり
◆群馬
シネマテークたかさき(https://takasaki-cc.jp)
2026年4月17日(金)~
◆長野
松本CINEMAセレクト(https://www.cinema-select.com/)
2026年4月29日(水・祝)
まつもと市民芸術館小ホール ゲスト舞台挨拶あり
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