監督・脚本:パク・ホンジュン
出演:チャン・ソンボム(カン・ジュニ代理)、ソ・ソッキュ(イ・ドンウ次長)、キム・ドヨン(チョン・ギュフン部長)、キム・ヨンウン(ペ・ホグン部長)、チャン・リウ(ソン・ギョンヨン代理)、イ・ノア(ホン・ジェイ)、カン・ジュサン(チャン・イルソプ部長)、キム・ナムヒ(イ・サンス課長)
2010年、韓国。造船業界は不況に陥り、人員削減を余儀なくされていた。入社4年目のジュニは、上司の推薦で人事部に配属された。最初の仕事が人員整理のためのリスト作りだった。最初は希望退職者を募るが、目標の150名には遠く及ばない。勤務評定や勤続年数などを参考にリストラ候補を選ばねばならないのだ。イ次長の「ここはいい部署じゃない」の言葉の意味がようやくわかってきた。人事部の先輩であるソン代理は、短大卒の女性社員であることで候補の一人だ。世話になった先輩や友人と気軽に話もできなくなった。結婚間近の恋人にも愚痴は言えず、ジュニの孤独感は日々募っていく。
パク・ホンジュン監督の長編デビュー作。造船会社の人事で働いた経験を基に執筆、映画となりました。これまでリストラを扱った作品は、される側が会社に抵抗し、粘り勝ちしたり悔し涙にくれたりというものが多かった気がします。本作はリストラする側の人事部社員が、職務と個人的感情の間で板挟みになる様を、圧倒的なリアリティで描いています。
その苦悩ときたら、営業の成績が上がらない、現場で納期に間に合わないというのとはまた違った辛さです。それこそ責任あるトップの経営陣がきちんと会社の苦しさを訴え、頭を下げてほしい仕事です。働く人間なら誰しも、せっかく得た仕事を失いたくありません。失わせたくもありません。人事部であるだけで、先輩や友人との間に溝も壁もできてきます。セリフの一つ一つ、表情の変化に感情の揺れが現れ、俳優たちの数々の受賞がうなずける作品でした。公開初日に朴監督とイ・ウンプロデューサーが来日し、ユーロスペースで上映後舞台挨拶がありました(画像は宣伝さんより)スタッフ日記はこちら(白)
パク・ホンジュン監督
パク・ホンジュン監督、ソ・ソッキュさん、イ・ウンプロデューサー
私は40代半ばに、勤めていた会社を希望退職で辞めた経験があって、この映画は身につまされました。それはまさに、私の希望ではなく、会社の希望でした。急激な業績悪化で大量の希望退職を募ったのですが、本部長が社員一人一人と面談し、個々人の仕事がどうなるかの説明と、辞めた場合の退職金が提示されました。私の場合は、部署がなくなると説明され、厚生年金受給資格がぎりぎりあるとわかり、将来は不安でしたが希望退職に応じる決断をしました。住宅ローンを抱えた男性の中には、引き留められたのに上乗せ退職金目当てで辞めた方もいました。この映画の中にも、そんな会話が出てきて、それ、あるあると。
面談してくださった本部長は、銀行からいらした役員の方でしたが、私もよく一緒に飲みにいき、部下との仲もよかったので、クビを切らなければいけないことを各人に説明するのは、どれほどつらかったことかと思います。
本作の主人公ジュニは、人事部に異動したために、リストラを担当することになって、年上のベテラン社員や、前に所属していた部の部長やチーム長にも対峙することになり、苦悩します。それは、会社から命じられたことなので、ただ淡々とやるしかないのかと。
人事部の唯一の女性社員ソン・ギョンヨンは、頑張って代理にもなったのにアシスタント業務ばかり。この機に及んで、希望退職対象の女性社員との面談を担当することになり、「やっと重要な仕事を任された」とつぶやきます。その彼女自身、短大卒で希望退職対象者。辞めて、労働監督官の資格を取って、この会社に来てやるという言葉に喝采でした。あ、私自身、思い切って希望退職に応じたお陰で違う人生が開けて、今や感謝しています。(咲)
2023年/韓国/カラー/101分
配給:太秦
(C)Nareun Cinema / Myung Films Lab.
https://worktodo-film.com/
★2026年1月17日(土)ユーロスペースほか全国順次公開


