2026年01月04日

おくびょう鳥が歌うほうへ(原題:The Outrun)

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監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
原作:エイミー・リプトロット「THE OUTRUN」
出演:シアーシャ・ローナン(ロナ)、パーパ・エッシードゥ(デイニン)、スティーヴン・ディレイン(アンドリュー)、サスキア・リーヴス(アニー)

ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナ(シアーシャ・ローナン)は10年ぶりにスコットランド・オークニー諸島の故郷へと帰ってくる。かつて大都会の喧騒の中で、自分を見失い、お酒に逃げる日々を送っていた彼女は、ようやくその習慣から抜け出した。
しらふの状態で、心を新たに生きるロナ。だが、恋人との関係に亀裂を生み、数々のトラブルも引き起こした記憶の断片が、彼女を悩ませつづける……。

ロナは飲酒後の高揚感を忘れられません。アルコー依存症から何度も立ち直ろうとしては、また逆戻りをくり返します。ロナの父もそうやって家庭を壊し、母は宗教にすがりました。身近で体験していても、抗えないお酒の魅力は下戸の私には理解不能です。ほどほどならば機嫌よく過ごせる人生の楽しみとなるでしょうに。ロナは深く愛し合っていたはずの恋人をも傷つけてしまいました。
タイトルのおくびょう鳥とは「ウズラクイナ」のこと。日本にもいるクイナの仲間です。羽色はウズラに似ていますが、ウズラはキジの仲間、ウズラクイナは首が長めでほっそりしたツルの仲間に分類されています。危険を察するとすぐに藪に逃げ込んで隠れてしまうそうです。
ロナは故郷からさらに北の小島でその調査をします。自然は厳しく、風は吹きすさび、海は荒れ狂います。まるでロナの逃れたい過去が立ち上っているようでした。エイミー・リプトロットが自身の過去を書いた原作はベストセラーになり、シアーシャ・ローナンは製作にも名を連ねました。激しさと静けさが交互に現れるロナを熱演し、観客はロナと共にその軌跡を体験します。(白)


この人が出ているのなら、観てみたい・・・ シアーシャ・ローナンはそういう俳優の一人。アルコー依存症に苦しみ、そこから抜け出した原作者エイミー・リプトロットの思いを細やかに体現しています。その時、その時の気持ちが青や赤に染めた髪にも表れています。ウズラクイナのギィギィという声を聴いた時の、ふっとした笑顔が素敵でした。
ノラ・フィングシャイト監督は、1983年ドイツ、ブラウンシュヴァイク生まれ。
彼女の卒業制作である長編ドキュメンタリー『WITHOUT THIS WORLD(原題:OHNE DIESE WELT)』は、アルゼンチンに暮らす保守的なメノナイト共同体を題材にした作品。長編劇映画デビュー作『システム・クラッシャー』は、制御不能で攻撃的な子供を主人公にした、強烈な映画でした。
『おくびょう鳥が歌うほうへ』では、スコットランド北部のオークニー諸島の神話や方言も取り入れ、詩情豊かな作品に仕上げています。 これからの作品が楽しみな映像作家です。(咲)


2024年/イギリス、ドイツ/カラー/シネスコ/118分
配給:東映ビデオ
(C)2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
https://www.outrun2026.com/
★2026年1月9日(金)新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 09:23| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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