2025年12月30日
喝采 原題:THE GREAT LILLIAN HALL
監督:マイケル・クリストファー
脚本:エリザベス・セルデス・アナコーン
撮影:サイモン・デニス
出演:ジェシカ・ラング、キャシー・ベイツ、リリー・レーブ、ジェシー・ウィリアムズ、ピアース・ブロスナン
ブロードウェイの第一線で活躍してきた伝説の大女優リリアン・ホールは、チェーホフの戯曲「桜の園」の公演を間近に控えていた。ところが稽古中に突然言葉を失うアクシデントに見舞われたリリアンは、医師から認知症を患っていることを告げられてしまう。それは引退勧告に等しいあまりにも残酷な現実だった。人生のすべてを舞台に捧げてきた彼女は、病気の事実を胸の奥底に押しとどめ、「桜の園」をやり遂げる決意をする。しかし病状は悪化の一途をたどり、現実と妄想の境目さえも曖昧になっていく。はたして誇り高き大女優は、キャリアのフィナーレを飾る舞台に立つことができるのだろうか・・・
ブロードウェイの伝説的な女優マリアン・セルデスをモデルにしたヒューマン・ドラマ。
誰しもに訪れる老い。認知症にかかるかどうかは、人それぞれですが、困るのは、かかってしまったら、自分が認知症であることもわからないということかもしれません。
舞台女優リリアン・ホールは、台詞が出てこないことから、医者より認知症であることを告げられますが、まだ、自分でいられる時間がもうあまりないと判断できる状態でした。舞台女優として、いつも人に自分の姿をさらけだしている彼女にとって、いつ身を引くかの決断は勇気のいることだったと思います。
米アカデミー賞で6度のノミネート、エミー賞3回、トニー賞1回の受賞歴を誇るジェシカ・ラングが、舞台女優リリアン・ホールの思い惑う姿を体現しています。
さて、私自身、鏡をみる度、老いを隠せないことをひしひしと感じるのですが、それでもまだ人と会うのが楽しみです。もう少ししたら、人前に姿をさらしたくなくなるかもしれません。そんなことを考えられない状況になることも覚悟しなくては! (咲)
俳優にとってセリフが覚えられないのはどれほど辛いか、この映画の中で同じ女優としてジェシカ・ラングが気持ちを重ねながら演じたはず。リリアンはレビー小体型との診断、進行が速く良いときとそうでないときの差があると医師の言葉です。ジェシカ・ラングは病状が進んでいくことの恐怖や悲しみばかりでなく、幻視・幻聴で亡き人に再会する喜びをも見せてくれています。ラストまで彼女にひきつけられました。
避けられないことであれば、支える人や共に生きるための知恵が必要です。キャシー・ベイツ演じるイーディスに頼る気持ちがよくわかります。娘が言う「ただの使用人」ではなく、リリアンと長く歩んできた相棒なのでした。この二人の掛け合いもみどころ。
認知症は年齢を重ねるとともに罹患率が増え、高齢化が進む日本では65歳以上の高齢者の約8人に1人と推計されているそうです。珍しいことではなくなりました。症状には個人差もあるようですが、どんな人も心穏やかに残りの人生を過ごせる社会であってほしいものです。(白)
2024年/アメリカ/英語/スコープサイズ/110分
字幕翻訳:額賀深雪
配給:彩プロ
公式サイト:https://lillianhall.ayapro.ne.jp/
★2026年 1月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
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