2025年11月29日

手に魂を込め、歩いてみれば  原題:Put Your Soul on Your Hand and Walk

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(C)Sepideh Farsi Reves d'Eau Produciton

監督:セピデ・ファルシ 
プロデューサー:ジャヴァド・ジャヴァエリー
登場人物:セピデ・ファルシ、ファトマ・ハッスーナ

廃墟のガザで撮影を続ける若きフォトジャーナリストと、彼女を見守るイラン人監督──
1年にわたるビデオ通話を通じて紡がれたドキュメンタリー


イスラエルによるガザ攻撃が続いていた2024年、イラン出身の映画監督セピデ・ファルシは、緊急に現地の人々の声を届ける必要性を感じていた。しかし、ガザは封鎖されており行くことは出来ない。そこで、知り合ったガザ北部に暮らす24歳のパレスチナ人フォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとのビデオ通話を中心とした映画の制作を決意する。
以後、イランからフランスに亡命したため祖国に戻れない監督と、監督の娘と同じ年齢で、ガザから出られないファトマとのビデオ通話が毎日のように続けられた。そして、ファトマは監督にとってガザを知る目となり、監督はファトマが外の世界とつながる架け橋となり、絆を築いていく。
ファトマは空爆、饑餓や不安にさらされながらも力強く生きる市民の姿や、街の僅かな輝きを写真に収め、スマホ越しにガザの様子を伝え続けた。監督が「彼女は太陽のような存在」と形容するように、彼女はいつも明るかったが、度重なる爆撃で家族や友人が殺されていくにつれ、表情を暗くしていく。そして悲劇はファトマをも襲う。2人が交流を始めて約1年後の2025年4月15日、本作のカンヌ映画祭上映決定の知らせを、ファトマは喜んだが、その翌日、イスラエル軍の空爆でファトマを含む家族7人が殺されてしまったのだ。25歳になったばかりのファトマの死は、本人が「もし死ぬのなら、響き渡る死を望む」と書いたように、世界中に波紋を広げることになる・・・

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(C)Sepideh Farsi Reves d'Eau Producitons

スマホの画面に現れるファトマは、いつもきっちりスカーフで髪の毛を隠して、溢れんばかりの笑顔で登場します。爆撃が続き、町は廃墟となり、食料も不足している中で、どうしてこんな笑顔になれるのでしょう。この笑顔こそ、爆撃を続けるイスラエルに向けての彼女なりの答えなのだと感じます。
一方のセピデ・ファルシ監督は、13歳の時にイラン革命、反体制派として16歳の時に投獄され、18歳の時にフランスに出国した方。イランの子守歌を口ずさんだり、猫ちゃんにペルシャ語で語り掛ける場面がありました。床には、もちろんペルシャ絨毯! イランを離れても、心はやっぱりイランにあるのだなと感じました。
それにしても、あまりに悲しい結末でした。いつになったら、ガザの人たちは平穏に暮らせるのでしょう・・・ (咲)


◆ファトマがギターの弾き語りで聴かせてくれた自作の詩がとても素敵でした。

「瞳をまとった男」
私の死はきっと今
始まるのだ
⽬の前の男が
全て終わらせようとする前に
ライフルを構えるより早く…
静寂
お前は⿂か?
海の問いに私は答えなかった
私の⾁の上に降りたカラスたちが
どこから来たのかも知らなかった
もし「そうだ」と⾔ったところで
私をむさぼるカラスたちを
道理といえただろうか
私は通り抜けた
通り抜けることなく
死が 鋭い狙撃⼿の弾丸が
私を通り抜けた
そして私はこの街の天使となった
無限に夢よりもなお⼤きく
この街そのものよりも広く
ーファテム
ガザ


セピデ・ファルシ監督 プロフィール
イラン人映画監督セピデ・ファルシは、13歳で革命を経験し、16歳で反体制活動のために投獄、18歳で故郷イランを離れた。以来パリを拠点に、数学を学び、写真を撮り、ドキュメンタリー、フィクション、アニメーションを含む15本の映画を制作している。『Tehran Without Permission』(ロカルノ映画祭)、『Red Rose』(トロント国際映画祭)、そしてイラン・イラク戦争を題材にした長編アニメーション『The Siren』はベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品となり、多くの賞を受賞した。現在はイラン・ウェスタン映画プロジェクトに取り組む一方、自身の生涯をもとにしたアニメーション作品『Memoirs of an Undutiful Girl』の制作を進めながら、イランの民主化運動にも力を注いでいる。


ファトマ・ハッスーナ写真展
開催場所:外国特派員協会(FCCJ)
東京都千代田区丸の内3-2-3の丸の内二重橋ビル5階(アクセス)
開催日:2025年11月29日(土)~12月5日(金)10時から午後9時
日曜閉館、土曜日の入館は地下一階エレベーターからお願いします。
入場料:無料(どなたでもご来場いただけます)
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ファトマさんは、当初、身の安全のため、名前を伏せて写真を発表していましたが、その後、覚悟を決めて記名で写真を投稿するようになりました。写真展には、無記名時代の写真も展示されています。ガザで生きる人々の笑顔をとらえていたものもあって、涙・・・(咲)



2025年/フランス・パレスチナ・イラン/113分
制作:Reves d‘Eau Productions、24images Production
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:https://unitedpeople.jp/put
★2025年12月5日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー



posted by sakiko at 01:12| Comment(0) | パレスチナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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