2025年11月06日
旅と日々
監督・脚本:三宅唱(『夜明けのすべて』『ケイコ 目を澄ませて』)
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
出演:シム・ウンギョン、堤真一、河合優実、髙田万作、佐野史郎、斉藤陽一郎、松浦慎一郎、足立智充、梅舟惟永
強い日差しが照りつける夏の海。夏男(髙田万作)はどこか陰のある女・渚(河合優実)に出会う。何を語るでもなく、島を散策する二人。翌日、浜辺で会った二人は、台風が近づくなか雨に打たれながら、波打つ海で泳ぐのだった......。
海で出会った二人の姿が、大学の講義室のスクリーンに映し出されている。つげ義春の漫画「海辺の叙景」を原作に脚本家の李(シム・ウンギョン)が脚本を書いた映画を、授業の一環で上映していたのだ。上映後、李は学生から映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える。講義を終えた廊下で、李は魚沼教授(佐野史郎)と立ち話をする。浮かない顔の李に「気晴らしに旅行にでも行くといいですよ」と飄々とした口調で声をかける教授。ほどなく、魚沼教授が急逝したという知らせが届く。李は弔問のため、教授の双子の弟の家を訪れる。あっけない最期に戸惑う李に、弟は教授の形見のフィルムカメラを半ば押しつけるように手渡す。
そのカメラを携え、李は思い立って旅に出る。長いトンネルを抜けると、そこには一面の銀世界が広がっていた。無計画のまま降り立った町で、宿も見つけられずにさまよううち、李はひとつの古びた宿にたどり着く。屋根には雪が積もり、今にも崩れそうなその宿を営むのは、ものぐさな主人・べん造(堤真一)。暖房もなく、まともな食事も出ず、布団すら自分で敷かなければならない。ある夜、べん造は「錦鯉のいる池を見に行くか」と李を夜の雪の原へと連れ出す......。
冒頭の夏の場面は、神津島で撮影されたもの。自分の脚本による映画に満足できない李が、思い立って旅に出た先の庄内地方は、一面の銀世界。夏と冬の対比が見事です。
三宅唱監督は、つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」の2作品を、佐野史郎演じる魚沼教授の急逝という形で繋いでいます。魚沼教授の形見のカメラを持って、ふらっ~と旅に出た先の温泉で、どの宿も満室。この先の山の奥に1軒空いているかもと教えられ、半信半疑で歩いていくのですが、無精髭を生やした男一人が営む宿ともいえない宿に女一人で泊まるなんて・・・と心配になってしまいます。でも、襲われることもなく、数日過ごす李。最後の錦鯉の場面には、もう呆れれるしかなく・・・! どうぞ劇場でご確認ください。(咲)
2025年/日本/1.33:1/89分
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/tabitohibi/
★2025年11月7日(金) TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国ロードショー
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