“てっぺん”に挑み続けた女性登山家と家族の物語
監督:阪本順治
原案:田部井淳子「人生、山あり“ 時々”谷あり」(潮出版社)
脚本:坂口理子
製作総指揮:木下直哉
エグゼクティブプロデューサー:武部由実子
プロデューサー:冨永理生子
アソシエイトプロデューサー:椎井友紀子
音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:笠松則通 照明:渡邊孝一 録音:照井康政
美術:杉本亮 編集:普嶋信一
音楽:安川午朗 音響効果:小島彩
製作担当:松田憲一良
出演
多部純子:吉永小百合 多部純子(青年期):のん
多部教恵:木村文乃 多部真太郎:若葉竜也
多部正明(青年期):工藤阿須加
北山悦子(青年期):茅島みずき
新井涼子:和田光沙
岩田広江:円井わん
北山悦子:天海祐希
多部正明:佐藤浩市
1975年、エベレストに女性として初めて登頂した田部井淳子さん。その後、世界七大陸 最高峰を制覇した世界初の女性登頂者でもある。その田部井淳子さんの原作を元にした物語。
1975年、エベレスト日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長として世界最高峰エベレストの女性世界初登頂に挑戦した多部純子。一歩一歩、山頂(てっぺん)を目指して登ってゆく。そして、純子は女性として初の世界最高峰登頂を果たした。世界中を驚かせた輝かしい偉業だったが、純子の山仲間や家族たちに光を与えると共に深い影も落とした。
晩年、がんで余命宣告を受けながらも「苦しい時こそ笑う」と家族や友人、周囲をその朗らかな笑顔で逆に励まし続けた。そして、東日本大地震で被災した東北の高校生を対象にしたプロジェクト「東北の高校生の富士登山」でのシーンも。
人生をかけて山へ挑み続けた。登山家として、母として、妻として、一人の人間として。純子が、最後に「てっぺん」の向こうに見たものとは。
主人公の純子を演じるのは今作で映画出演124本目となる吉永小百合。純子を支える夫正明を演じるのは佐藤浩市。取材から、純子の盟友になった新聞社の記者北山悦子役には、吉永と『最高の人生の見つけ方』以来6年ぶりのタッグとなる天海祐希。青年期の純子役は俳優以外にもアーティスト活動など多方面で才能を発揮するのん。また、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずきなど、実力派の俳優たちが揃った。
監督は、吉永主演の『北のカナリアたち』でメガホンを取った阪本順治。同作以来13年ぶりに吉永とタッグを組んだ。
田部井淳子さんは、生涯で76か国の最高峰・最高地点を登頂。ネパール王国から最高勲章グルカ・ダクシン・バフ賞をはじめ、文部省スポーツ功労賞、日本スポーツ 賞 大賞、朝日体育賞(現在朝日スポーツ賞)など数多く、受賞している。
1970年に登山を始めた私は、1975年5月16日に「エベレスト日本女子登山隊」(久野英子隊長)の田部井淳子さんがエベレスト(標高8848m)に登頂したというニュースを見て、とても誇らしかった。1975年は国際婦人年で、この「女性の活躍」のニュースは世界の女性たちにも勇気を与えた。彼女たちが「女子登攀クラブ」というのを作って、エベレスト登頂を目指しているというのは知っていたけど、まさか登頂できるとは思ってもみなかったのでとてもうれしかった。私自身は山頂登頂が目的ではなく山の自然を楽しんだり撮影したりという登山をしていたので、彼女たちのようなロッククライミングとかサミッターを目指すという山登りの形とは違う山の登り方をしていたけど、こういう登り方をできる方たちはすごいなと思っていた。
登山隊の中で、田部井淳子さんはエベレストのサミッターになれたけど、その他の方は、実力はあったのに天気が左右して登頂には恵まれなかった。田部井さんはユーモアもあり、とても好感度で大好きだったけど、その後「エベレスト日本女子登山隊」として語られなくなり、田部井さんだけが取り上げられ語られていくのを見て、私はどうなんだろうと思っていた。そういうこともあり、仲間たちとの別れがあった。そういうこともこの映画では描かれていてよかったと思う。エベレストに登れたのは、彼女だけの手柄ではないのだから。
夫の協力のこともしっかり描かれていた。そして、私がいつかお会いしたいと思っている北村節子さんのことも描かれていた。最初は新聞記者として取材に行ったけど、一緒にエベレストに行くことになり、その後、田部井さんと親しい山仲間になっていったのですね。そんなこともちゃんと織り込まれていた。
そんな、田部井さんの生きて来た道、やってきたことが描かれていた。最初、吉永小百合さん、のんさんが田部井さんの役?、全然違うイメージなので、どうなんだろうと思ったけど、登山シーンも様になっていたし、相当頑張って山に登ったのだな、彼女たちの努力が素晴らしい。
実は田部井さんには2回会っています。また、2016年、ピースボートで世界一周しようと思った時、田部井さんがゲスト乗船するというので申し込んだのですが、半年くらい前に申し込んだので、船室のことや、オプショナルツアーなども希望のようにいかなくてキャンセルしました。田部井さんが参加できなくなったのも大きな要因でした。彼女はその年の10月20日に亡くなりました。とても残念でした。田部井さんのエベレスト登頂から50年の今年、このことを忘れないためにもこの映画の意味は大きいと思う(暁)。
公式HP https://www.teppen-movie.jp/
2025年製作/130分/G/日本
配給:キノフィルムズ
*シネマジャーナル田部井さん関連記事
『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』公開記念
女性世界初エベレスト登頂者 田部井淳子&エドモンド・ヒラリーの子息 ピーター・ヒラリートークショー
http://www.cinemajournal.net/special/2014/bte/index.html
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