2025年10月24日

やがて海になる

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監督:沖正人
脚本:鈴木太一
撮影:彦坂みさき
出演:三浦貴大(修司)、武田航平(和也)、咲妃みゆ(幸恵)、山口智恵、緒方敦、柳憂怜、ドロンズ石本

広島県の西部、瀬戸内海島嶼部に位置する江田島市。修司はそこで生まれ育った。父が数年前畑で亡くなったことにずっと責任を感じ、島から出ることもなく生きていた。ある日、上京して映画監督になっていた幼馴染みの和也が、江田島を舞台に映画を撮るとテレビで知る。和也は高校時代、修司が思いを寄せていた同級生の幸恵と付き合っていたこともあり、今のうだつの上がらない自分と比べてすなおに喜べない。和也が故郷で映画を撮るのは、亡くなった母の願いを叶えるためでもあった。
幸恵は呉市のスナックで働き、江田島に残る母親の面倒を見に定期的に戻っていた。幸恵が妻子ある男性と、報われない付き合いをしているのを修司は知っている。

江田島は広島や呉に近いことからかつての日本軍、特に海軍の拠点のひとつでもあったそうです。今はなだらかな山を背に美しい海が目の前に広がる穏やかな場所です。稼業があるなら修司のようにずっとこの島で暮らしてもいいなぁと思ってしまいます。沖正人監督のこれまでの人生を投影したこの作品には、高校時代の友情、甘酸っぱい恋模様もこの島の風景の中に刻まれています。
島に残った修司、出て行って別の世界を切り開いた和也、行き来を繰り返す幸恵、三者三様の生き方が描かれ、誰もが思いを重ねられるのではないでしょうか。血のつながる人がいなくなっても帰りたいと思うところ、血縁でなくとも会いたい人がいるところ、そこが「故郷」だと思います。
修司を演じた三浦貴大さん、珍しくスーツを着ない役柄です。不器用な中年ニートとして生きていました。占部房子さん、白川和子さん、渡辺哲さんらベテランが場面を締めて印象的。(白)


☆JFFLA(ロサンゼルス日本映画祭)にてBest HeatWarming賞を受賞

2025年/日本/カラー/92分
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
(C)ABILITY
https://www.yagateumininaru.jp/
★2025年10月24日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

posted by shiraishi at 10:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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