2025年10月18日
ハード・トゥルース 母の日に願うこと(原題:Hard Truths)
監督・脚本:マイク・リー
撮影:ディック・ポープ
出演:マリアンヌ・ジャン=バプティスト(パンジー)、ミシェル・オースティン(シャンテル)
現代のロンドン。パンジーは配管工の夫カートリー、20代の無職の息子モーゼスと暮している。几帳面なパンジーは朝から夫や息子に小言ばかり。家族はいつものことと気分が悪くとも耐えている。外出しても、どこにいてもパンジーの怒りの種がある。
母は亡くなったが、美容師の妹シャンテルがいる。彼女は姉と違って陽気で人当たりも良く、お客はおしゃべりするのを楽しみにしている。
シングルマザーのシャンテルは娘のケイラとアリーシャ二人と暮らし、家ではいつも笑いが絶えない。母の日には母親の墓参りに行こうと誘い、しぶしぶ出かけたパンジーは自分の秘めていた感情と向き合うことになった……。
いつでもどこでも不満たらたらのパンジーは、怒りと不安に毛を逆立てた動物のようです。それともハリネズミ?周囲の人に怒りをぶちまけ、敵を作るばかり。理不尽にも罵詈雑言を受ける周りの人は災難です。
とはいえ、長い間胸に抱えていた怒りや悲しみは一朝一夕でとけるものではありません。当たり散らしておきながら「自分は嫌われている」と孤独に陥り、愛されたいと願いながら、愛することができないパンジーが痛ましくなります。救いは「あなたを理解はできなくても愛している」というシャンテルです。パンジーは小さな一歩を踏み出しますが、まじめな働き者の夫カートリーはどうなってしまうのと気になります。
マイク・リー監督の作品で拝見したのは『秘密と噓』(1996)『ヴェラ・ドレイク』(2004)『ハッピー・ゴー・ラッキー』(2008)と少ないのですが、観終わっていつまでも残ります。人間は不可解でとても複雑、人生も。(白)
2024年/イギリス/カラー/97分
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
(C)Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.
https://hahanohi-film.com/
★2025年10月24日(金)新宿シネマカリテほか全国順次公開
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