監督・脚本:谷口慈彦
撮影・照明:⼩林健太
⾳楽:⼭城ショウゴ
編集:磯部鉄平/⾕⼝慈彦
出演:西口千百合(嬉々)、川本三吉(父・賢介)、渡辺綾子(元担任・高妻)、毛利美緒(美優)、石橋優和(妹・杏奈)、竹内大騎(弟・諒)、中田彩葉(母・真弓)、辰寿広美/デカルコ・マリィ/時光 陸、内田周作(住民)
中学3年の嬉々(きき)は両親と妹、弟の5人家族。団地での幸せな暮らしは、母の急死で一変した。気落ちした父は万年床から出られない。家族の世話や家事は嬉々の肩にかかってきた。近所の人たちから差し入れもあるが、家賃や電気代が必要だ。家計を助けるためにバイトを探すがうまく行かない。担任の高妻先生に借金を頼んだことから、心配した先生が家にやってくる。
家族5人の楽しそうな動画が冒頭に流れ、次の場面ではもう母はいません。わかりやすい葬儀や涙のシーンなどはありませんが、母の存在の大きさがわかります。嬉々は泣きごとを言わず、自分のできることを淡々とやっています。
沈んだままの父親に「お父さん、しっかり」と思ってしまう私、ご近所のおばさんが言ってくれています。しかし、うつ状態の人をそんな風に励ましても逆効果なのです。そっちの方は、パワハラでメンタル崩壊の担任の高妻先生が、フォローします。当人に言わせるのでなく、周りに配された人が様々な問題を浮き上がらせて、ポキリと折れてしまう大人、しなやかに生きる子供たちの対比も見せます。
構成や脚本のうまさ、演出の確かさに感嘆。子役には脚本どおりでなく、自然に出てくる反応や言葉を大切にしたそうで、これがリアルな空間を作ったのでしょう。
『魔女の宅急便』ファンで、ヒロインを同じキキ=嬉々にした谷口慈彦監督は、これが初監督作です。次作にも期待大。5年後に俳優になっていたいという嬉々役の西口千百合さんの今後も楽しみ。(白)
・SKIP シティ国際 D シネマ映画祭 2024:
審査員特別賞と SKIP シティアワードの W 受賞
・第 25 回 TAMA NEW WAVE コンペティション:ベスト⼥優賞(⻄⼝千百合)
・第 22 回うえだ城下町映画祭:実⾏委員会特別賞
2024年/日本/カラー/91分
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
(C)belly roll film
https://www.kikinaseikatsu.com/
★2025年8月29日(金)新宿武蔵野館ほか公開
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