2025年07月24日

『赤い柿』[デジタルリマスター版]  原題:紅柿子

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プロデューサー シュー・リーコン(徐立功)
監督・脚本 ワン・トン(王童)
撮影 ヤン・ウェイハン(楊渭漢)
録音 ヤン・ジンアン(楊靜安)
編集 チェン・ションチャン(陳勝昌) 音楽 ユー・グアンイェン(于光彥) 美術 リー・フーション(李富雄) 衣装 リー・バオリン(李寶琳)

おばあちゃん: タオ・シュー(陶述/陶姑媽)
お父さん(王将軍): シー・チュン(石雋)
お母さん: ワン・シュエン(王琄)
ラオヤン(老楊): ルー・ジー(魯直)
フーシュン(福順): チャオ・チェンピン(趙正平)
フォン(馮)副官: チャン・シー(張世)
長女(学生時代): レネ・リウ(劉若英)

1949年中国河南省。国民党軍の王将軍一家が慌ただしく旅支度を整えている。国共内戦に敗れ一時的に台湾へ逃れるためだ。一家はおばあちゃんとお母さんを筆頭に大勢の子供たちを連れて、将軍不在のまま副官らとともに家を出る。中庭の柿の木は枝いっぱいに実がなっていた。上海港では台湾へ渡る大きな船が出向の準備を整えている。従者のひとり福順は、おばあちゃんが大切にしている柿の書画を持ったまま乗り遅れてしまうのだった。
一家は軍の用意した台北郊外の広い日本家屋で暮らし始め、子供たちはすぐに台湾での日々に馴染んでいく。一家から遅れて負傷した王将軍も台湾へ。「大陸反抗」を掲げ大陸奪回の機会をうかがうも、やがて退役してしまう。家族を養うため、王将軍は慣れない商売や養鶏に手を出しては失敗を繰り返し、一家の暮しも次第に苦しくなっていく。そんなある日、上海港で生き別れになっていた福順と再会。柿の書画もおばあちゃんのもとに戻って来たのだった。
やがて困窮した一家は故郷から持って来た書画を売り払うことで、子供たちの学費をねん出しようとするが、そのほとんどが贋作であることが判明する。そんななか、鑑定士が目を付けたのがおばあちゃん部屋に飾られたあの柿の書画だった…。

1942年に中国大陸で国民党軍の将軍の家に生まれたワン・トン監督が、母方の祖母の所蔵していた斎白石の名画「五世(柿)其昌」にインスピレーションを得た自伝的作品。動乱の時代を背景に生活苦をユーモアあふれるアイデアで乗り切り、孫たちを連れて映画を楽しみ、芸術を愛するおばあちゃんの存在は、後のワン・トン監督の作品群に見られる高い美術センスと喜劇性の源を感じさせる。ワン・トン監督の父親がモデルの王将軍をキン・フー監督作品の主演で知られる名優シー・チュンが演じ、おばあちゃん役を戦前に中国大陸で演劇を学び、渡台後は1960年代からテレビドラマや映画で活躍し「陶姑媽」の愛称で知られたタオ・シューにとっては本作が遺作となった。チャン・シー、ウェン・イン、ファンロンといったワン・トン監督作品でお馴染の俳優や、『スーパーシチズン 超級大国民』 に主演し本作が映画出演最終作となったリン・ヤン、俳優のみならず歌手や映画監督としても活躍が目覚ましいレネ・リウ、2000年代のアイドルドラマの母親役で頭角を現すワン・シュエンや映画やドラマのバイプレイヤーとして活躍するチャオ・チェンピンも出演している。

国民党の人たちが船で台湾に逃げる場面といえば、『レッドダスト』(1990年 イム・ホー監督)の壮絶なラストを思い出します。混乱の中で船に乗れなくて、別れ別れになることも多々。 王将軍一家も、柿の絵を持っていた従者の福順は船に乗り損ねてしまいますが、10人兄弟が皆、無事に一緒に台湾に渡れたのはお見事! 子だくさんで、小学校も各学年に一人という王家。将軍は我が子の名前と顔が一致しないことも。台湾に渡ってからも、また一人子どもができるという王家。将軍の時代は豊かに暮らしていた一家も、生活が大変です。そんな中でも、おばあちゃんはいつも落ち着いて笑顔で皆を見守っています。
中国大陸で国民党軍の将軍の家に生まれたワン・トン監督が辿ってきた苦難の道のりが静かに伝わってくる味わい深い作品。(咲)



ワン・トン(王童)監督プロフィール
1942年中国安徽省大和県生まれ。国立台湾芸術専科学校卒業後、中央電影でキン・フー監督の『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(67)『俠女』(70)等に美術スタッフとして参加、その後リー・シン監督、パイ・ジンルイ監督らの下で美術を担当し、高い評価を得る。1981年『仮如我是真的』(If I Were for real・未)で監督デビュー、同作で第18回金馬奨最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀改編脚本賞を獲得。代表作に『海を見つめる日(看海的日子)』(83)『村と爆弾』(87)『バナナパラダイス』(89)『無言の丘』(92)など。『熱帯魚』(95)『藍色夏恋』(02)プロデューサー。自身の監督作品のほか、100を超える作品で美術指導にあたる。2007年に台湾文芸界における最高栄誉賞である国家文芸賞を、2019年に金馬奨の名誉賞である終身成就奨を受賞。現在はウェイ・ダーション監督が製作中の「台湾三部曲」にアドバイザーとして携わる

★第33回金馬奨最優秀美術設計賞受賞、最優秀監督賞・最優秀主演女優賞ノミネート

1995年/台湾/168分/中国語 
公式サイト:https://taiwan-kyosho.com/  台湾巨匠傑作選2025
★2025年7月26日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次開催!




posted by sakiko at 12:16| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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