2025年07月06日
ザ・ウォーク ~少女アマル、8000キロの旅~ 原題:The Walk
監督:タマラ・コテフスカ(『ハニーランド 永遠の谷』)
出演:アシル・エルセプティ、ムアイアド・ルーミエ、フィダ・ジダン、マリア・アブドゥルカリム、ラナ・タハ、ローマ教皇フランシスコ
私は希望。新たな居場所を求めて、あなたと歩む。
戦争によって家や家族、日常生活のすべてを失った子どもたちの声を
伝えるため、3.5メートルの人形アマルがヨーロッパ横断の旅に出る──
現在、世界で1億人以上の人々が国内外に避難し、難民状態にある。
そして、その内の約4割が18歳未満の子どもである。戦争により子どもたちは住み慣れた家や大切な人、教育を受ける権利をも奪われ、貴重な子ども時代を失っている。そうした子どもたちの悲しみや願いを伝えるため、2021年、身長約3.5メートルの人形アマルの旅プロジェクトThe Walkが始まる。
アマルはアラビア語で「希望」を意味し、9歳のシリア難民の少女をかたどっている。本作はアマルがシリア国境からヨーロッパを横断する旅路を追いながら、アマルの眼差しから世界の実情を伝え、アマルとともに難民の人たちの声を聴いていく。
訪れた国々でアマルは世界のリアルと向き合うことに。トルコの難民キャンプでは、先行きが不透明なまま留まらざるをえない子どもたちや女性たちの想いに触れ、ギリシャでは難民受け入れに抗議する市民デモに遭遇し、憎悪がこもった言葉を浴びせられる。さらに、ローマ教皇やフランスの欧州議会なども訪ねていきながら、アマルは安心できる新たな居場所を探し続ける・・・
大きな人形のアマルに命を吹き込むのは、人形遣いのムアイアド(シリア出身の難民)とフィダ(パレスチナ人)。そして、アマルの声を表現するのはシリア難民の少女アシル。
ヨーロッパ各地で、大きなアマルは注目を集め、フランスではついにパスポートも貰うのですが、各地で目にするのは、残念ながら難民を受け入れたくない人たちの姿。アフリカなどからたどり着いた人たちからは、ひどい目にあった話を聞かされます。故国を離れたのには、皆、それなりの理由があるはず。強制送還という冷たい仕打ちでなく、難民も社会に一員として、なんらかの方法で共存できないものでしょうか。人形のアマルが、そのことを考えさせてくれる一助になることを願うばかりです。(咲)
タマラ・コテフスカ監督は、北マケドニア出身。長年、バルカン半島を通過する難民たちを目の当たりにしてきました。バルカン半島の人々自身、紛争を経験しているにもかかわらず、紛争を逃れてきた中東の難民たちに定住権を提供してこなかった事実を誇りに思えないと語っています。
★アップリンク吉祥寺でのトーク情報
7月11日(金) 上映終了後
登壇者:松永晴子(国境なき子どもたち)(オンライン登壇)
7月12日(土) 上映終了後
登壇者:瀬谷ルミ子(REALs理事長)
7月13日(日) 上映終了後
登壇者:村山祐介(ジャーナリスト)(オンライン登壇)
2023年/イギリス/80分/ドキュメンタリー
制作:Grain Media
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:https://unitedpeople.jp/walk/
★2025年7月11日(金)アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー
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