2025年06月30日
キャンドルスティック
原作:川村徹彦「損切り:FXシミュレーション・サクセスストーリー」
監督:米倉強太 脚本・チーフプロデューサー:小椋悟
出演:阿部寛、菜々緒、アリッサ・チア、サヘル・ローズ、津田健次郎、リン・ボーホン、YOUNG DAIS、マフティ・ホセイン・シルディ、デイヴィッド・リッジス、タン・ヨンシュー
日本、台湾、イラン、ハワイの4か国6都市を舞台にした、スリリングなマネーサスペンス
元天才ハッカー・野原(阿部寛)は、罠にはめられ、ハッキングでの株価操作の罪をひとりで被り、5年の刑期を終え出所してきたばかり。兜町のFX(外国為替証拠金取引)セミナーで、自分と同じく数字に色がついて見える“共感覚”を持つ女性・杏子(菜々緒)と出会い、恋に落ちる。
台湾の半導体メーカーの幹部リンネ(アリッサ・チア)はFX市場を利用し一攫千金を狙おうと、野原やかつての仲間たちに声をかける。その作戦は金融取引の番人、「AIを騙す」こと。
決行日は2019年5月7日。それは日本のゴールデンウイークが明けて、元号が平成から令和に変わり、最初にマーケットが開く日。金融機関のシステムが一番油断して混乱する、円が最も隙だらけの日だ。
一方、川崎工業地帯では難民・移民の子のための「夜光ハウス」が、巨額の負債で立ち退き寸前の危機に陥っていた。この施設の創業者は、少し前までFXセミナーの名講師・吉良慎太の亡き母。施設で育ったファラー(サヘル・ローズ)が、施設を守っていて、イランの凄腕ハッカーの青年アバン(マフティ・ホセイン・シルディ)と連絡をとって、返済のためのある計画を練る。負債の返済期限は、5月7日、昼12時。
これはねじれた偶然か? 2つの計画の日時は奇しくも一致していた・・・
タイトルの『キャンドルスティック』は、株売買のタイミングを判断する重要なサインを示す「ローソク足」のこと。数字に色が見える野原や杏子ならずとも、その図表はとても美しく見えます。
株や外国為替で儲けるには、瞬時の判断が必要。ハッキングしてまで儲けようとする人たちの駆け引きが、目まぐるしく展開して、くらくら。最後に笑うのは、いったい誰なのか・・・ そして、夜光ハウスは負債を払って存続することができるのか・・・ はらはらしながら見守りました。
日本、台湾、イラン、ハワイの4か国6都市を舞台にマネーゲームが展開する物語。日本語、中国語、ペルシア語、英語が飛び交います。
私にとっては、サヘル・ローズさんだけでなく、イランの俳優マフティ・ホセイン・シルディさんが出演しているのも気になりました。イランでの撮影は、監督がオンラインで指示して、イランのスタッフが撮ったもの。バザールの雑踏や、エマームザーデ(聖者廟)、壁にペルシア語の落書きがいっぱいの路地裏などが出てきました。イケメンのマフティ・ホセイン・シルディさんとサヘル演じるファラーとの会話はもちろんペルシア語ですが、夜光ハウスの子どもたちもイラン人らしく、ファラーはペルシア語で会話。思いのほかペルシア語が出てきたのも嬉しかったです。
台湾の名女優アリッサ・チアや、若手名優リン・ボーホンの登場や、台北の「101タワー」での初の映画撮影など、台湾が好きな方も楽しめます。(咲)
2025年/日本/93分
製作:ジャズフィルム/ジャズインベストメント
配給:ティ・ジョイ
協力:晶澈科技股份有限公司/台北101/美陸達股份有限公司
エンディングテーマ曲:「I need you」 DUAL
公式サイト:https://candlestick.jp/
★2025年7月4日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
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