監督: ウ・ミンホ(『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』)
脚本:キム・キョンチャン、ウ・ミンホ
撮影:ホン・ギョンピョ(『ベイビー・ブローカー』、『パラサイト 半地下の家族』)
出演: ヒョンビン(『コンフィデンシャル:国際共助捜査』「愛の不時着」)、パク・ジョンミン(『密輸 1970』『ただ悪より救いたまえ』)
イ・ドンウク(「トッケビ ~君がくれた愛しい日々~」「殺し屋たちの店」)、リリー・フランキー(『万引き家族』『コットンテール』)
1909年10月、安重根(アン・ジュングン)と同志たちは
伊藤博文を追ってある使命を果たすため、
中国・ハルビンヘ向かった。
そしてハルビン駅に銃声が鳴り響いた…。
1908年、咸鏡北道(ハムギョンブクト)シナ山で、アン・ジュングン(ヒョンビン)率いる大韓義軍は劣勢にもかかわらず勇敢に戦い、日本軍に勝利を収める。万国公法に従って戦争捕虜たちを解放すると主張するアン・ジュングンに対し、イ・チャンソプ(イ・ドンウク)は激しく反論。結局、自らの兵を率いてその場を去ってしまう。
その後、逃した捕虜たちから情報を得た日本軍の急襲を受け、部下たちを失ってしまったアン・ジュングンは、なんとかロシア・クラスキノの隠れ家に帰り着く。しかし、彼を迎えた同志たちの視線は厳しかった。
1909年10月、日本の政治家である伊藤博文(リリー・フランキー)が大連からハルビンに向かうとの情報を得たアン・ジュングン。祖国の独立を踏みにじる「年老いた狼」を抹殺することこそが、亡くなった同志たちのために自分ができることだと確信した彼は、ウ・ドクスン(パク・ジョンミン)、キム・サンヒョン(チョ・ウジン)とともに大連行きの列車に乗るが、日本軍に察知されてしまう・・・
伊藤博文がバルビンで朝鮮人によって暗殺されたことを、日本史の授業で初めて知った時には、ただ単に歴史上の事件として「覚えた」だけだったように思います。
その後、日韓併合時代の様々なことを知り、独立に向けて抗日運動に身をやつした人たちが数多くいたこともむべなるかなと思うようになりました。
そんな中で、伊藤博文に銃を向けたアン・ジュングンは、韓国の人たちにとってまさに英雄。ヒョンビンもオファーされた時には、身の引き締まる思いだったと推察します。捕虜にした日本人を、「殺してしまえ」という血気溢れる同志には、万国公法に従おうと戒めるアン・ジュングン。そんな沈着冷静な彼も伊藤博文を銃弾で倒した時には、「Korea Ura」(大韓万歳)とロシア語で何度も叫びます。熱い思いを胸に秘めたアン・ジュングンを体現したヒョンビン、素敵です。
そして、チョン・ウソンが特別出演とあって、いつ出てくるのかと気になりました。
チョン・ウソンが演じたのはパク・ジョムチュルという人物。かつてアン・ジュングンと一緒に戦った勇敢な同志だったのですが、茂山での戦いで、片目と弟を失い、その後は吉林最大の馬賊団を率いる頭目になっているという役どころ。弟の妻がロシア語も堪能なウラジオストクの中国人通りで骨董品店を営むコン夫人。列車1両を爆破できる爆弾をコン夫人の仲介でアン・ジュングンはパク・ジョムチュルに調達してもらうという次第。チョン・ウソンの出番は短いのですが、強烈な印象を残してくれました。
映画『ハルビン』は、役者陣の魅力もたっぷりですが、一面の氷の上を一歩一歩踏みしめながら歩く場面や、馬で沙漠を行く場面、のどかな蔡家溝駅(東清鉄道と南清鉄道の交差する駅)や、趣のあるハルビン駅など、モンゴルやラトヴィアなどでのロケ地が素晴らしいです。
日本人にとっては、日韓併合時代を描いた胸にチクッと刺さる物語ですが、歴史の一幕として、目をそらさずに、ぜひ大きなスクリーンでご覧いただきたいです。(咲)

映画『ハルビン』ジャパンプレミア 2025年6月27日(金)
ウ・ミンホ監督、ヒョンビン、リリー・フランキー
第49回トロント国際映画祭GALAプレゼンテーション部門に公式招待
2025年 第61回 百想芸術大賞 2冠達成!
(最優秀作品賞/大賞:ホン・ギョンピョ撮影監督)
2024年/韓国/114分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
字幕翻訳:根本理恵
配給:KADOKAWA
公式サイト:https://harbin-movie.jp/index.html
★2025年7月4日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開