2025年05月24日
秋が来るとき 原題:Quand vient l'automne
監督・脚本:フランソワ・オゾン(『8 人の女たち』、『ふたりの 5 つの分かれ路』、『苦い涙』)
共同脚本:フィリップ・ピアッツォ
出演:エレーヌ・ヴァンサン、ジョジアーヌ・バラスコ、リュディヴィーヌ・サニエ、ピエール・ロタン
80歳のミシェル。パリのアパートを娘に譲り、今は、自然豊かなブルゴーニュの田舎で一人暮らしをしている。家庭菜園で採れた野菜で料理を作り、日曜日には教会へ。近くに住む親友のマリー=クロードとは姉妹のように仲がよく、収監されている彼女の息子ヴァンサンとの面会の為に、車で送っていくのもミシェルの役目だ。
パリに住む娘ヴァレリーから、秋の休暇を利用して孫ルカを連れていくと連絡をもらい、マリー=クロードと森にキノコを採りにいく。キノコ料理を振舞うが、唯一それを口にしたヴァレリーが食中毒を起こし、ヴァレリーはルカを連れてパリに帰ってしまう。孫ルカと過ごすのを楽しみにしていたミシェルは、パリに行くが・・・
母親がキノコで毒殺しようとしたと言うほど、ヴァレリーはミシェルのことを信用せず嫌っている理由が明かされた時、はっとさせられます。一方、マリー=クロードは息子が道をはずしたのは、自分のせいと悔やみ、それが身体にも出てしまいます。成人したら、もう本人の責任と思いますが、母親にとっては、いつまでも子どもなのですね。
登場人物のそれぞれが秘密を抱え、自分の人生のため、そして近しい人たちの幸せのため、秘密を封印します。これもまた処世術。
美しい撮影地は、ブルゴーニュ地方コーヌ=シュル=ロワール近郊のドンジー。監督が子供の頃、毎年休暇を過ごした場所だそうです。
そして、キノコ料理で中毒を起こしたエピソードは、子供の頃、叔母が自ら摘んできたキノコを料理して振る舞った時に、叔母以外の家族全員が中毒を起こしたという経験から着想。叔母だけがキノコ料理を口にしなかったのだとか。
1943年生まれのエレーヌ・ヴァンサンが、これまでの人生への複雑な思いを抱えたミシェルを気丈に演じて、素敵です。(咲)
第72回サン・セバスティアン映画祭 脚本賞&助演俳優賞受賞!
2024年/フランス/フランス語/103分/ビスタ/カラー/5.1ch
日本語字幕:丸山垂穂
配給:ロングライド、マーチ
公式サイト:https://longride.jp/lineup/akikuru/
★2025年5月30日(金)新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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