製作、監督、撮影、編集:真喜屋力
ナレーション:木村あさぎ
音楽監督:上地 gacha 一也
演奏:kgk 川崎巽也(guitar)、上地 gacha 一也(bass)、城間和広(drum)
音楽録音(kgk):森脇将太
劇中歌:『祝日』タテタカコ、『夢のなかでないた』とんちピクルス
エンディング曲:『ダニーボーイ』 真喜屋志保(トランペット)& kgk
出演:石川真生、金城政則、牧瀬茜、ほたる、とんちピクルス、平良竜次、佐久田立々夏、金城裕太、仲田幸子(特別出演)、仲田まさえ
1950年に建てられた首里劇場は、沖縄最古の映画館。映画上映、沖縄芝居の上演など地域文化の中心だったが、やがて映画産業斜陽の時代を迎える。多くの映画館が閉館していく中、金城政則は赤字経営の劇場を父親から引継ぎ、三代目館長となった。80年代中頃から成人映画専門館に変えて、映画館を閉じずに守り続けてきた。2021年名画座へと転身を図るも、翌年4月癌のために急逝した。劇場も72年の歴史の幕を閉じる。
真喜屋力監督は、旧知の館長が亡くなった後「首里劇場調査団」のメンバーとして活動しながら、本作の制作を開始。沖縄を代表する写真家石川真生(いしかわ まお)さんに声をかける。石川さんは「私は写真を撮るから映像を」と提案。ひっそりと朽ちて消えゆく劇場、劇場と共に生きた金城親子、病を抱えながら写真を撮り続ける石川さんの人生が重なってゆく。1992年の『パイナップル・ツアーズ』の監督の一人でもあり、長く映画に関わって来た真喜屋力監督の初長編監督作品。
首里劇場を一人で支えてきた三代目館長は、不調でも病院に行かずに仕事に打ち込み、入院したときにはすでに手遅れで数日後亡くなられます。ようやく名画座にしたばかりで、これから!と思うところあったはず。壁に残された写真や手書きのタイトル、甥御さんが語るエピソードに切なくなりました。来る人がいなくなって風化していく劇場は、人の想いやかつての喧騒もしみこんでいるような気がしました。大きな屋根は重機であっという間に落ち、世の儚さも感じます。
昨年夏に公開された石川真生さんのドキュメンタリー『オキナワより愛を込めて』でこれまでの人生や数々の写真を見て、圧倒されました。すごくパワフルな方と思っていましたが、今回印象が違うのはずっと闘病中だったのですね。痛みに耐えてカメラを構える石川さんが、「それでも写真が好き」と笑顔で言うのに、へたれな私は逆にエールをもらいました。(白)
沖縄を描いた映画をたくさん観ていたので、その中に「首里劇場」は出ていたのかもしれませんが、「首里劇場」のことを認識したのは、渡辺紘文監督主演、リム・カーワイ監督の『あなたの微笑み』(2022年11月12日公開)でした。渡辺監督が自分の作った映画を上映してもらうため全国各地のミニシアターを訪ね歩くという作品だったが、その中に首里劇場も出てきて金城政則館長も出演していた。そして、館長がこの年(2022)亡くなったということを知った。その後、首里劇場が出てくる映画を観るたびに、首里劇場は今、どうなっているのだろうと思っていた。リム・カーワイ監督は、その後、日本中のミニシアターを訪ね歩くドキュメンタリー『ディス・マジック・モーメント』も作り2023年11月25日公開しているが、ここにももちろん首里劇場は出てきた。
そして、奈須重樹さんの音楽活動30周年を記念して作られた『一生売れない心の準備はできてるか』(映画公開2024年4月26日)の中では、奈須さんが所属するグループ「やちむん刺激茄子」の25周年首里劇場ライブ(2016年)が出てきたし、今回出演している石川真生さんを撮ったドキュメンタリー『オキナワより愛を込めて』の中では、仲田幸子さんたちの舞台を首里劇場で撮った場面も出てきた。という具合に、映画だけでなく、数々の沖縄の芸能を支えた劇場だった(暁)。
2024年/日本/カラー/90分/PG12
配給協力:MAP
https://gekiowa.com/
★2025年5月24日(土)ユーロスペースほか全国ロードショー
【関連する記事】