監督:五百旗頭幸男(いおきべゆきお)
撮影:和田光弘、西田豊和
音楽:岩本圭介
音楽プロデューサー:矢﨑裕行
テーマ音楽「穴水ラプソディー」(作曲:岩本圭介)
プロデューサー:木下敦子
石川県穴水町は能登半島の中ほどに位置している過疎の町だ。人口は7000人を下回り、若者と高齢者の数がともに減りゆく「人口減少の最終段階」に入っている。元・中学校の数学教師の滝井元之さんは、中心部から悪路を進んだ限界集落に住んでいる。退職してから教育相談室を設け、手書きの「あした塾」だよりを毎月1 回作って手渡してきた。2020 年からは手書きの新聞「紡ぐ」を発行。地域の話題を拾うだけではなく、町の未来を憂い、警鐘を鳴らし続ける。
石川テレビのクルーはそこにローカルメディアの原点を見いだした。取材を続けているさなか、2024 年 1 月 1 日に能登半島地震が発生、穴水町は震度6強で建物の倒壊、土砂崩れが起きた。
ドキュメンタリー『はりぼて』(2020)『裸のムラ』(2022)の五百旗頭幸男監督は、今回も町議会が機能しているか、町民の関心はどうかを見つめます。冒頭は町会議員の選挙、初当選の議員が誕生するシーンです。新旧の町長をはじめ、古参の議員や町の人にも取材。問題点が見えてきます。
「権力をつかって」と某氏が口にしたのにびっくり! 公務員はどんな肩書がつこうが権力者でなく、公僕ではありませんか?「お上(かみ)」に従わざるを得なかったのは封建時代のこと。「主権在民」という言葉は今や消え失せたんでしょうか?
地震の後、毎日のようにボランティアで忙しかった滝井さん、心細くてたまらない奥さまをおいて(もすこし労わってあげて)、またボランティアで出かけます(自分も大切に)。
ようやく新聞を再開できるようになったとき、それまで一気に書き上げていた滝井さんの手が止まりました。文字通りしばらく頭を抱えた後、書いた言葉は「私たちは生きています 少しずつでも前に進みませんか」でした。いろいろな苦言も問いかけも自分の住む町を大切に思えばこそ。町民の方々の町議会への関心が高まってきたのは、テレビ放映の影響もあるでしょうが、滝井元之さんのこれまでの積み重ねの成果です。それにしても下書きなしの「紡ぐ」の文字は綺麗で読みやすい!!(白)
2025年/日本/カラー/101分
配給:東風
(C)石川テレビ放送
https://notodemocracy.jp/
★2025年5月17日(土)[東京]ポレポレ東中野、[大阪]第七藝術劇場、
5月24日(土)[金沢]シネモンドほか劇場公開
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